millennium paradeの演出は『ミュージックステーション』史上に残るものだった

知らない人はいないであろう音楽番組『ミュージックステーション』を、音楽ブロガー・レジーが定点観測する連載コラム『月刊 レジーのMステ定点観測』。

2月のMステは19日の“冬の恋うたスペシャル”と、5日・12日の通常放送の計3回。特に19日の放送は近年稀にみるバラエティに富んだラインナップで、様々な場所で起こっているムーブメントをテレビを通して広く伝えるというMステの心意気が感じられる内容でした。前後編でお届けする今回、まずはその19日の放送でも特にインパクトの強かったこの人たちの話題からどうぞ。

 

millennium parade:規格外の音、規格外の演出

番組全体を通じては「人気恋愛マンガ家20名が選ぶ恋うたランキング」という“まあ最近のMステっぽいな”的な企画がありつつも、出演者全体の広がりとしてかなり魅力的な並びを実現していた19日の放送。

そんなこの日のMステでより異彩を放っていたのが、King Gnuの常田大希率いるプロジェクトであるmillennium paradeの面々。常田以外にはKing Gnuのリズム隊、勢喜 遊と新井和輝のふたり(曲によってはボーカルの井口 理が参加していることもトークパートで説明されていました)、さらには音楽に関わるメンバー以外にも映像を作るクリエイターが参加するなど、型にとらわれることなくその世界を表現している彼らが1stアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』のリリースに合わせてMステ初登場を果たしました。

全員が派手なメイクで不気味な雰囲気を醸し出しつつ、トークパートではこの日出演していたひらめの楽曲「ポケットからきゅんです!」に合わせてきゅんですポーズをみんなで披露するなど番組を楽しむ姿勢も見せていた面々。

「Fly with me」のパフォーマンスでは、オリジナルの映像とロックにダンスミュージックやクラシックの要素が融合したクールなサウンドを披露しつつ、メンバーが車のボンネットの上に座ったりカメラにグッと近寄ったりと自由なステージングを見せてくれました。

前述したようなメンバーのメイクとも相まって、「これ、こんな時間に放送して大丈夫?」という感じのパンチのある画が各所で映っていました(その演出のリアルさゆえに放送後番組に苦情が殺到したという都市伝説もあるDir en grey「残 -ZAN-」を彷彿とさせるくらいの迫力でした)。

楽曲の世界観を手間暇かけて構築するタイプのパフォーマンスは、これまでもMステが何度も見せてくれてきたこと。この日のmillennium paradeの演奏は、Mステの歴史に刻まれていくであろう衝撃的なものでした。この先もこういったステージの時間をもっと増やしていってほしいです。

 

Official髭男dism、マカロニえんぴつ:多様化するバンドミュージック

19日のスペシャルに出演して『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』の主題歌にもなっている新曲「Universe」を披露したヒゲダンことOfficial髭男dism。アニメにもメンバーがキャラクター化して登場するなど、ますます活躍の場を広げています(『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』は残念ながらコロナ禍の影響で公開延期に。昨年の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の延期に引き続きドラえもんの映画シリーズは受難が続きます)。

「Universe」はイントロにおける鍵盤の使い方などレトロなソウルミュージックを今どき風にアップデートしたサウンドで海外の潮流とのリンクを示しつつ、メロディラインはどこか筒美京平的な雰囲気もある懐かしい響きで、和洋折衷・温故知新といった感じのヒゲダンらしい音の作り方が特徴的です。こういったハイクオリティな音楽が主に子供に観られるアニメ映画の主題歌になっている、というのは非常に良いことではないでしょうか。

ヒゲダンを筆頭に、バンドフォーマットの音楽でも狭義の“ロック”にとどまらず多様な音楽的アプローチを見せてくれる面々がメインストリームにおいても増えてきているように思います。12日のMステに出演したマカロニえんぴつもそんなバンドのひとつです(昨年10月のMステ初登場以来毎月のように出演しています)。

最新曲の「メレンゲ」は美しいメロディや流麗なストリングスをザクザクしたバンドサウンドが支える不思議なバランスの楽曲で、勢い一辺倒に終わらないグループとしての引き出しの多さを楽しめます。

一時は“バンド=フェスで盛り上がるノリの良いサウンドこそブレイクの早道”といった風潮もありましたが、そんなムードが一気に変わっていることを改めて感じさせてくれる2月のMステでした。

[前編]はここまで。[後編]は2月のMステに多数出演した「ネット発」のアーティストについて触れたいと思います!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)

 

【2021年2月5日放送分 出演アーティスト】
森内寛樹「アイノカタチ」(MISIAのカバー)
関ジャニ∞「ブリュレ」
SEKAI NO OWARI「Death Disco」「スターライトパレード」
池田エライザ「Imagine」(ジョン・レノンのカバー)
竹原ピストル「Amazing Grace」

【2021年2月12日放送分 出演アーティスト】
Novelbright「ツキミソウ」
関ジャニ∞「キミトミタイセカイ」
ファーストサマーウイカ「カメレオン」
マカロニえんぴつ「メレンゲ」
平井 大「Romeo+Juliet -Love goes on-」
優里「ドライフラワー」

【2021年2月19日放送分 出演アーティスト】
Kis-My-Ft2「Luv Bias」
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「SILVER RAIN」
平手友梨奈「ダンスの理由」
橋本 愛「木綿のハンカチーフ」
いきものがかり「BAKU」
ビリー・アイリッシュ「Therefore I Am」
DISH//「僕らが強く。」
millennium parade「Fly with me」
Official髭男dism「Universe」
yama「春を告げる」
りりあ。「浮気されたけどまだ好きって曲。」
ひらめ「ポケットからきゅんです!」
石崎ひゅーい「さよならエレジー」
森 七菜「スマイル」
SixTONES「僕が僕じゃないみたいだ」

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