『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』をバンドマンが観たら、思うところがあり過ぎて……

邦ロック界で一二を争う映画論客とも言われるBase Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。

今回は新作!キアヌ・リーヴスの出世作と言われる1989年公開のおバカ映画『ビルとテッドの大冒険』が、2020年に最新作を公開。当時のノリの直球世代ではないみんなの映画部メンバーはどう反応したのか……。

みんなの映画部 活動第71回[後編]
ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、オカモトレイジ(OKAMOTO‘S)


 

1と2は許容範囲だったんだけど……と語る[前編]はこちら

 

バンドマンだからこそ、ジミヘンの描写に腹が立つ

レイジ ビルとテッドが60年代にタイムトラベルして、ジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)に会いに行くじゃないですか。当時設定の楽器がちゃんとビンテージっぽいのを使っていたのは良かったなって。例えば『ジャージー・ボーイズ』(2014年/監督:クリント・イーストウッド)は傑作だったんですけど、そこの甘さはちょっと萎えたんですよ。

福岡 でもさ、ジミヘンの会場が横アリ(横浜アリーナ)の裏みたいな感じじゃなかった?(笑)

レイジ 会場の60年代っぽさは皆無でしたね(笑)。

ハマ あとさ、最近映画ってどのジャンルもクオリティーが上がってきていて、音楽ドキュメントもすごくて、ジミのやつで結構良いのいっぱい出てるじゃないですか。『JIMI:栄光への軌跡』(2013年/監督:ジョン・リドリー)っていう伝記映画もあったし。

──アウトキャストのアンドレ・3000がジミヘンをやっている作品ですね。

レイジ あれは再現度高かった。

ハマ そこからするとこの映画はGoogle画像検索で3つ引っ張ってきて、YouTube 2〜3本見たみたいなやつが作ったり演技してるジミヘンって感じでしたね。

レイジ すべてがアメリカンジョークなんですかね。アメリカ人にはクソウケるんじゃない?

福岡 ルイ・アームストロングのモノマネとか。

ハマ 「く、くだらね~」じゃん。『浦安鉄筋家族』みたいなレベルじゃん、全員がね。

一同 (爆笑)

小出 たしかに。キャラクターが全部『浦安鉄筋家族』だと思って観れば、なるほどって思う。特にジミヘンのシーンは真面目に観ちゃうと腹立つから、ちょっと気をつけてほしい(笑)。

 

名言、死神の「タンバリンなめんな!」

ハマ 殺人ロボット(アンソニー・キャリガン)のは好きだったな。あいつにちゃんと名前があるくだりとか。

福岡 あったね(笑)。デニスだったっけ。

小出 あの殺人ロボットさ、2で出た死神的なキャラかなと思ったら、ちゃんと死神(ウィリアム・サドラー)も出てきちゃう(笑)。

ハマ そもそもあのチープな特撮の感じがめっちゃ懐かしい。『パワーレンジャー』(日本の『スーパー戦隊シリーズ』の北米版)を観てるような気持ちになっちゃって。

小出 懐かしい未来のロボットのデザイン。

ハマ 久しぶりにこういうの観たなあって。

福岡 あの殺人ロボットのデニスがさ、「僕、タンバリンとかできそうです」って言ったときに、死神が「タンバリンなめんな!」って返すやん。あそこめっちゃ良かった。

ハマ たしかに! その通り。

福岡 あれ最高よ。「タンバリン、なめたらアカン!」って。

小出 バンドやってるとさ、音楽やってない同級生とかに、「俺もトライアングルで入れてよ~」とか言われるじゃん。あれ普通に腹が立つよね(笑)。

福岡 タンバリンもトライアングルもめちゃくちゃ難しい。そこは実際、真剣にやってみないとわかんないんから。

ハマ そこはしっかりと音楽愛を感じるシーンだったかもしれませんね。だからこの映画、あんまり“ユルいノリ”ってところに逃げすぎないで、核になる一曲をちゃんと仕上げて、すべての物語がそこの感動に向かっていく作りにしたらすっごく良い映画になった気がするんだけどな。

TEXT BY 森 直人(映画評論家)

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