”King Gnu”カウンターの賜物のバンド”が日本武道館に立つことの意義

怒涛のエネルギーを一心に感じた、King Gnu 武道館公演

2020年11月25日、King Gnu日本武道館公演2日目が素晴らしかった。怒涛のエネルギーを一心に感じた一夜。全国ツアー『King Gnu Live Tour 2020 AW “CEREMONY”』開催中の彼ら(※12月6日に千秋楽を迎えた)。本来、春から行われるはずだったツアーは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け中止となった。今回“AW”と名づけられた秋公演は、そのリベンジである。

2016年、彼らへ初取材したとき、首謀者である常田大希(g、vo)は「今って音楽の進化自体が止まっていて、音楽以外のことで差別化している表現者って多いじゃないですか? でも、まだ音楽だって発展する余地があると思っているんですよ。ポップミュージックをもっと進化させたいんですよね。それがバンドでやりたいことかな」と語っていた。

常田大希(g、vo)

当時、自分たちの居場所を切り拓こうとしていた頃。「カウンターカルチャーに居場所ができたらカウンターカルチャーではないんですよ。でも、カウンターカルチャーっていうか、カウンターの賜物のバンドだと思ってます」と、常田大希は言った。前身バンド、Srv.Vinci時代に“居場所はここにしかないでしょ?”と、問いかけた「ロウラヴ」を発表した際の話だ。

そんな唯我独尊のバンドが、日本を代表する国民的バンドへと成長し、巨大な日の丸が掲げられた日本武道館でライブを行う。鳥肌ものじゃないか。

セットリストは、骨太なアルバム『CEREMONY』収録曲が軸となったオールタイムベスト選曲。開演前、会場には1964年の東京オリンピックの実況音声がノイズとともに流れていた。陸上の結果を告げる内容だった。会場は、昭和の歴史を肌で感じられる日本武道館。一気にタイムマシンに乗ったかのような気分だ。

新井和輝(b)

定刻を過ぎて会場に響き渡る「開会式」のテーマ。聖火台に炎が灯され、まるでオリンピックを彷彿とさせるステージ。オープニングはアグレッシブなロックチューン「どろん」だ。King Gnuのライブ演奏は、メンバー一人ひとりのサウンドが一丸となり、まるでシンフォニーのように緩急をつけてスケールのでかい音像を鳴り響かせてくれる。没入感が半端ないのだ。

途中、長めのMCタイムでは井口 理(vo、key)が80歳を超える恩師のライブに足を運んだときに受けた心境を述べた。新井和輝(b)は、住み込み時代にパン屋でバイトをしていたエピソードを回想し、早朝にパンを作りながらバンドで武道館のステージに立つことを日々夢見ていたことを語った。さらに、お世話になった先輩のパートナーが病気のため手術を受けるという話へ。その手術を受けると聴力を失うのだとという。聴力を失う前にKing Gnu武道館でのライブを観ておきたいと手術を延期して今日この会場にいるのだと……。想定外のトークに、武道館の高い天井を見上げ、思いにふけるメンバーやオーディエンスたち。

井口 理(vo、key)

バンドは運命共同体であり、メンバーやスタッフはもちろん、会場へ訪れたオーディエンスそれぞれにバンドを通じたオリジナルの物語が存在する。そんな、様々な思いを持つリスナーがひとつの会場に集まり、一期一会の演奏へと心を震わせる。これがライブの醍醐味だ。今日のライブは今日しか味わえない。

アンコールで聴けた最新曲「三文小説」も素晴らしかった。King Gnuの音楽性は、ロックテイスト全開のアッパーチューン、重厚かつハード、そしてヘヴィなサウンド感、妖しげなミドルのシアトリカルなナンバー、深遠なるエモーショナルなバラードなどなど、様々な音像を楽しませてくれる。

勢喜 遊(ds、sampler)

「三文小説」では、エモーショナルなバラードというアンビバレントなKing Gnuならではの特異点を見つけた彼らのさらなる進化系ポップミュージックだ。フルのオーケストレーションで“クラシック”としてシンフォニックにアレンジしてもとてつもない歴史的名曲になるのでは、と思いながらも井口 理のハイトーンボイス、常田大希による荘厳なピアノフレーズが織りなすまるでオペラのような美しき音の調べ。そこに、リズム隊である勢喜 遊(ds、sampler)と新井和輝がどっしりとした展開を前へ前へと進めていく。こんな音楽、これまで聴いたことがなかった。サウンドはもちろん、構成のすごみ、体現するメンバーのプレイヤビリティの底力に感情を鷲掴みにされた。

King Gnuは、あらゆるサウンドを飲み込み僕らが知らない世界へと連れていってくれる。混沌という名の知性に、ポップという名の秩序を与えてくれる存在だ。そう、“King Gnu=ヌーの群れ”は、仲間を巻き込んでどんどん大きくなってきた。彼らにとって武道館公演とは通過地点であり、さらなる大きなステージが目の前に広がっているのだ。

TEXT BY ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
LIVE PHOTO BY 伊藤滉祐、小杉歩

 


番組情報

★MUSIC ON! TV(エムオン!)にて放送
M-ON! LIVE King Gnu 「King Gnu Live Tour 2020 AW “CEREMONY”」
【初回】
12/26(土)20:00~22:00
https://www.m-on.jp/program/detail/mon-live-kinggnu-2012/

MUSIC ON! TV(エムオン!)にて、スカパー!加入者対象プレゼント企画実施中!
https://www.m-on.jp/special/kinggnu-2020/

MUSIC ON! TV(エムオン!)視聴方法
https://www.m-on.jp/watch/

※MUSIC ON! TV(エムオン!)は、スカパー!やケーブルテレビでご覧いただける、音楽チャンネルです。


プロフィール

キングヌー/常田大希(g、vo)、勢喜 遊(ds、sampler)、新井和輝(b)、井口 理(vo、key)。『SXSW2017』『Japan Nite US Tour 2017』出演。2017年4月26日、バンド名をKing Gnuに改名し、あらたなスタートを切る。

King Gnu OFFICIAL WEBSITE
https://kinggnu.jp/

King Gnu OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/KingGnu_JP

King Gnu OFFICIAL Instagram
https://www.instagram.com/kinggnu.jp/


リリース情報

2020.12.02 ON SALE
SINGLE「三文小説 / 千両役者」

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