宇宙まお、音楽家としてとても幸せでベストな歩みだった“これまで”と脱皮しなくてはいけない“これから”

誰もが抱く日常の感情や風景を歌に変えて、どこか懐かしみのあるメロディで話しかけるように歌うシンガーソングライター・宇宙まおがキャリア初のベストアルバム『Best Moment』を発表。次なる自分と出会うべく、すでに歩み始めた彼女の“これまで”と“これから”を語ってもらった。

【インタビュー】
宇宙まお

その幅自体が宇宙まおなんだなって

──初のベストアルバム『Best Moment』をリリース。2012年4月のデビューから、この8年間を振り返ると、ご自身にとってはどんな日々でしたか?

宇宙まお ずっと音楽のことを考えて生きてきたなって思いますね。自分の中ではいろんな試行錯誤をしてきて。つねに変わろうという意識で頑張ってきたんですけど、あんまり変わってないなっていう発見がありました(笑)。あくまでも結果的に、ということなんですけど、同じ箱に入ってたなって。

──それはどんな箱でしたか?

宇宙まお やっぱりロックが好きだし、バンドサウンドが好きだっていうところですかね。そのうえで、いかにポップでキャッチーにできるかっていうことを考えてきて。いつも、できるだけ幅を広げようとしてきたんですけど、その幅が最初からそんなに変わってないというか。その幅自体が宇宙まおなんだなって今は捉えていますね。

その空回りも含めて自分のアイデンティティーだと思っていた

──では、ベストアルバムに収録された全17曲の幅の両端と真ん中を象徴する曲を挙げてもらえますか。

宇宙まお サウンド的に対極なのは、「声」と「東京」。真ん中は「哀しみの帆」ですね。江口 亮さんにプロデュースしてもらった「声」はスタジアムに映える曲で、亀田誠治さんの「哀しみの帆」はホール、久保田光太郎(peridots)さんの「東京」はライブハウスでそれぞれ映える感じですね。

──「声」「哀しみの帆」が1stフルアルバム『ロックンロール・ファンタジー』、「東京」が最新作の5thミニアルバム『永遠のロストモーメント』に収録。歌声や歌い方は時代とともに変化しているなと感じます。

宇宙まお そうですね。「声」のときは力の限り歌ってて。その空回りも含めて自分のアイデンティティーだと思っていたんですけど、20代の後半で第二次思春期を迎えて、再び自我と向き合うことになって。そこで、より無理をしないようにしようって思ったんですけど、そう考えていること自体、もう自然体ではないんですよね。それでも、肩の力を抜こうと思っていたのが、『ベッド・シッティングルーム』の時期で、今、振り返って聴くと、頑張ってるなって感じますね(笑)。

無数の思い出を複雑にはらんだ、街としての東京が好き

──“頑張らない”をテーマにした4thミニアルバム『電子レンジアワー』を経て、『永遠のロストモーメント』に続くっていう流れですね。

宇宙まお 肩の力が抜けてるほうが自分には合ってるなと思って、いろいろやってみた中での、現時点での到達点が「東京」かなって思います。歌詞は、タイトル通り、東京のことを描いてて。私は東京生まれ東京育ちなんですけど、東京のことをよく言ってる人のことを聞いたことがないのがちょっと悲しかったんですね。いろんなところから東京に来て、変わっていく東京を楽しんだり、踏みつけたり、ぞんざいに扱ったりして、みんな、自分の故郷に帰っていく。東京という街そのものが悲しんでるのではないかという想像で描き始めた曲なんですけど、いろんな人の愛情や憎しみ、人それぞれにある無数の思い出を複雑にはらんだ、街としての東京が好きなので、そういう思いをまとまらないまま描いちゃった感じですね。

大人として、明るい未来を作って、見せないといけない

──さらに、ベストアルバムには新曲「君に幸あれ」を弾き語りで収録されています。

宇宙まお いつもライブに来てくれる子の卒業式がコロナで中止になってしまったっていう話を聞いて。そんな絶望的な状況ばかりを見せていたらダメだなと思ったんです。大人として、明るい未来を作って、見せないといけない。大人になると楽しいよ、と無責任に言えるほど楽しいものではないとわかってる……でも、朝起きた時に、今日は良い一日になりそうだなって思えた瞬間がいちばん幸せだってこともわかってる。そういう朝が一日でも多く迎えられる人生だったら良いし、そんな明るい未来が君に待ってると信じてるよっていうメッセージを込めました。

──たしかに“なんでもないような朝に”幸せを感じてますね。これはまおさんの幸福観でもありますか?

宇宙まお 「お金持ちになりたくないのか?」「武道館で歌いたくないのか?」と問われれば、もちろんなりたいし、したい。でも、朝起きて、コーヒーでも入れようかなっていう瞬間の幸せ……目先のことかもしれないけど、そんな瞬間を選択していく人生もいいんじゃないかって思ってます。すごくデカい夢を持つとか、突拍子もないことを言うことの価値も感じるんですけど、それとは別に、小さな幸せの連続を選ぶのも人生の過ごし方かなって。

意思がないと続けられないし、そろそろ脱皮が必要な時期

──“Best Moment”というタイトルとも通じますね。

宇宙まお そうですね。小さな瞬間瞬間の重なりが自分の人生だと思うし、できるだけベストだなって思う日が増えたらうれしいなっていう気持ちを込めてますね。こうしてまとめてみても、私は本当に価値のある一瞬一瞬を過ごしてきたなと思えたし、音楽家としてはとても幸せでベストな歩み方をしてこれたなって胸を張って言えます。

──「東京」と「君に幸あれ」では、少し歌の言葉の変化を感じてました。これまでのまとめの最後に次の一歩が見えるというか。

宇宙まお そうですね。ちょうど去年くらいから歌のテーマを変えていきたいと思うようになって。私が生きている社会という背景を無視することができなくなっているし、今の時代に歌う意味があるものを歌わなきゃいけないなって考えるようになってて。同時に、自分自身の過去や、自分が受けてきた影響、自分がいた環境や背景も見つめ直す作業をするようになったんですね。ここから音楽をやっていくには、意思がないと続けられないし、そろそろ脱皮が必要な時期なんだろうなと思っていたので、このタイミングでベストアルバムを出せることが良かったと思うし、本当に良い区切りができました。

──これから先の作品はどうなりそうですか。

宇宙まお いつも通りじゃんってなるかもしれないし、とんでもないことになるかもしれない(笑)。自分でもどう転ぶかはまだ未知数なんですけど、宇宙まおというひとりの人間の変化を楽しむという意味で待っててほしいなって願ってますね。

INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ

 

この投稿をInstagramで見る

 

宇宙まお(@uchumao)がシェアした投稿


プロフィール

 

この投稿をInstagramで見る

 

M-ON! MUSIC|エムオンミュージック(@m_on_music)がシェアした投稿


ウチュウマオ/5月8日、東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。テイラー・スウィフトと錦織圭と同い年のシンガーソングライター。2012年4月、デビュー。

宇宙まお OFFICIAL WEBSITE
http://uchumao.jp/

宇宙まお OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/uchumao

宇宙まお OFFICIAL Instagram
https://www.instagram.com/uchumao


ライブ情報

宇宙まお『Best Moment』発売記念 弾き語りライブ
「明るい未来」

10/24(土)開催
※新型コロナウイルスの感染拡大防止対策のため、客数制限を設けての開催。

公演詳細
http://uchumao.jp/live


リリース情報

2020.09.23 ON SALE
ALBUM『Best Moment』

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事を書いた人