星野源「画面越しでも別にいいじゃん!!」の言葉に集約された、パフォーマンスの凄まじさ

1stアルバム『ばかのうた』発売記念に2010年7月12日に行った初ソロワンマンライブから10年──。10年前と同じ7月12日、同じ会場・渋谷CLUB QUATTROでの、一夜限りのステージを配信した星野源。彼の音楽を前にすれば、リアルも画面越しも関係ないのかもしれないと感じた圧巻のパフォーマンスを紐解いていく。

【ライブオトネタ】
星野源

Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude”
2020.07.12@渋谷CLUB QUATTRO ※配信ライブ

星野源の音楽的なチャレンジの多彩さに耳を奪われる

「画面越しでも別にいいじゃん!!」

「Hello Song」の中でカメラに向かってこう叫んだ星野源。この日のパフォーマンスの凄まじさは、まさにこの言葉に集約されていたように思います。

ソロデビュー10周年を記念して、10年前の初のソロライブと同じく7月12日に渋谷CLUB QUATTROで行われた配信ライブ『Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude”』。インターネットを通じて世界中に届けられたこの日のステージには、まるで自分が会場最前列にいるような迫力と、オーディエンスそれぞれがプライベートな空間で観ているからこそ届けられる親密さ、そして社会に対する鋭い視線、そのすべてが過不足なく揃っていました。

デビューアルバム『ばかのうた』に収録された「老夫婦」など初期の楽曲から最新曲の「折り合い」まで、キャリアを横断して組み立てられたこの日のセットリスト。こうやって様々な時期の楽曲を聴くと、改めて星野源の音楽的なチャレンジの多彩さに耳を奪われます。

例えば、ソウルミュージックをいかにJ-POPの文脈に落とし込むかという挑戦の結実でもある「SUN」「恋」。また、海外のアーティストとのコラボレーションを通じて海の向こうで起こっている音楽の潮流を日本にさらっと紹介してくれた「Ain’t Nobody Know」「Same Thing 」。この日のライブを通して、星野源の存在が日本の音楽シーンのバリエーションを豊かにしているということを改めて実感することができました。

 

星野源とバンドメンバーによって組み上げられたこの日のライブ

そんなセットリストを星野源とともに形にしていったのが、長岡亮介(g)、河村 “カースケ” 智康(ds)、ハマ・オカモト(b)らによる“星野源バンド”とも言うべきお馴染みの面々。曲中のブレイクでお喋りに興じる息の合った雰囲気も醸し出しながらもそこで鳴らされる音はとにかくタイトで、音源以上にパワフルな手触りにビルドアップされた「桜の森」のアウトロでの演奏にはあと何十分でも聴いていたいと思うような気持ち良さがありました。

“星野源とバンドメンバーによって組み上げられるこの日のライブ”という側面を特に体現していたのが、ステージ中盤でドロップされた「うちで踊ろう」のバンド編成バージョン。元々“星野源の弾き語りにそれぞれが演奏や表現を加える”というフォーマットで広がっていったこの曲が、配信のステージとはいえ“ライブ”という形で星野源がバンドともに演奏しているさまに感動した人も多いのではないでしょうか。「うちで踊ろう」のバンドでのパフォーマンスは、社会の状況が変わってしまっても“人が集まって音を重ねることの美しさ”は奪われることはない、ということを力強く宣言しているようでもありました。

 

純粋に楽しむことも、推察することもできる、高度な取り組みの結晶

冒頭で紹介したMCにせよ、バンド編成での「うちで踊ろう」にせよ、この日の星野源は“今の社会において音楽(もしくはミュージシャン)がどういう役割を果たすべきか”についてかなり自覚的に振る舞っていたように思います。ライブスタート時の渋谷CLUB QUATTROのロビーの様子を映した演出は我々がともすれば忘れてしまいそうな“ライブハウスという空間の素敵さ”を届けてくれるものでしたし、社会の足場を取り戻すための問いかけを個人的には読み取りました。

ポップミュージックが持つ明るい要素を前面に出しながら、音楽を通じて世の中の空気に影響を与える。単純に素晴らしい音楽ショーとしても楽しめるし、そこにより深いメッセージを読み込むこともできる。この日のステージは、そういった高度な取り組みの結晶だったように思います。そして、そんな芸当ができるアーティストは、世界を見回しても限られるはずです。

社会の先行きはまだまだ不透明ですが、このタイミングだからこそ胸に刺さるパフォーマンスを星野源は十二分に展開してくれました。同時代に星野源というアーティストが存在することそのものに感謝せずにはいられない。この日のステージを観て、そんなことを思いました。

TEXT BY レジー
PHOTO BY 西槇太一

配信ライブ『Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude”』
本公演は視聴パス購入者(¥3,500税込 / 7月19日19:30まで購入可)に限り、7月19日23:59までアーカイブ視聴可能。
https://l-tike.zaiko.io/_item/327293

SETLIST

01.Pop Virus
02.地獄でなぜ悪い
03.湯気
04.ステップ
05.桜の森
06.肌
07.Ain’t Nobody Know
08.折り合い
09.老夫婦
10.未来
11.うちで踊ろう
12.プリン
13.Crazy Crazy
14.SUN
15.恋
16.Same Thing
17.Hello Song
18.私


プロフィール

星野源

ホシノゲン/1981年、埼玉県生まれ。音楽家・俳優・文筆家。2010年に1stアルバム『ばかのうた』にてソロデビュー。

星野源 OFFICIAL WEBSITE
http://www.hoshinogen.com/

星野源 OFFICIAL Twitter
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https://www.instagram.com/iamgenhoshino/

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星野源 OFFICIAL YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/hoshinogenCh


リリース情報

2020.06.19 ON SALE
DIGITAL SINGLE 「折り合い」

2020.10.21 ON SALE
SINGLES BOX『Gen Hoshino Singles Box “GRATITUDE”』

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