あみだくじで作品決定!おうちでアーティスト4人が『アイアンマン』を観て感想会

邦ロック界で一二を争う映画論客とも言われるBase Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。

こんな時期だからこそのみんなで映画を楽しむ方法もある! それぞれの自宅にて「せーの!」で観始めて、終わったらオンラインで感想会。今月はMCUの記念すべき第一作目のあの赤いスーツのスーパーヒーローです!

みんなの映画部 活動第65回[前編]
『アイアンマン』
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)


アイアンマンを観たことがなかったレイジの感想からスタート

──『みんなの映画部』第65回です。これで三回目となるオンライン感想会ですが、今回はちょっと特殊な趣向が入っておりまして。簡単に申し上げますと、観る作品をあみだくじで決めました。1950年から2019年までの年数下1桁でハマくんが、下2桁目であっこちゃんがくじを作り、それぞれを小出部長とレイジくんが選んで公開年を決め、そして、決まった年の興行収入ランキングトップ10のなかからみんなで話し合い、候補作品を絞りました。


結果は、公開年が2008年。部長作成の決勝あみだくじにより、最終的に『アイアンマン』(監督:ジョン・ファヴロー)がめでたく選ばれました! 部員のなかで本作を観たことがなかったのは、今パジャマ姿のレイジくん。というわけで、今回はレイジくんから感想を聞いてみましょうか。

レイジ めっちゃ面白かったです。なんか“ほど良かった”なあ。

一同 (笑)。

レイジ もちろんツッコミどころはいろいろあるけど、テンポ感も良くて最高に面白かったです。「続き観てえ」って、今めっちゃ思ってます。

小出 良い感想だなあ。ちなみに次は『インクレディブル・ハルク』(2008年/監督:ルイ・レテリエ)だよ。

レイジ えっ、『アイアンマン2』(2010年/監督:ジョン・ファヴロー)じゃなくて?

ハマ MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)っていうか、この『アイアンマン』から始まる「インフィニティ・サーガ」の時系列的にはその順番なんだよ。

レイジ そうなんだ。その手ほどきをしてもらいたい。

福岡 インフィニティ・サーガって何本あるの? 全部で。

ハマ 今のところ「フェーズ3」までで計23本ですかね。コロナで一旦ストップしちゃいましたけど、『ブラック・ウィドウ』(2020年11月6日公開予定)から「フェーズ4」が始まる予定です。

小出 もうね、連ドラなの。

ハマ ただあそこまで露骨に「次へ続く」みたいな終わり方って『アイアンマン』の頃だけかもしれないですね。

小出 そうだね。初期のノリだよね。だんだんMCUはシリーズの連続性を保ちつつ、単体でも個性を強く出すようになってくる。

レイジ この一発目の『アイアンマン』は2008年の映像技術がやたら絶妙で。2020年になって観ると、よりリアルに見えるのが良かったっすね。(スタークの工房での)設計図とかがARじゃないですか。あれとかみんな、当時はなんとなく観てたと思うんですよ。でも今はARってものを結構知ってるからリアルに感じる。手を入れたら設計図も動くとか、なんか説得力あるなと思って。

小出 ちなみに『アイアンマン2』になると、持つのよ、ARを。同じ感じで設計図を作るシーンがあるんだけど、2では全部を手でやるの。

レイジ また進化させてるんですね。

小出 でもたしかにレイジが言うとおり、当時あの描写を観たときは「SFだね~」って思った。でも今だと「もう実用化されてるかも?」って思うね。

ハマ すげえ使い方がリアル。たぶん当時から単なる空想じゃなくて、実際の科学的検証に基づいて作ってるんでしょうね。当時開発されているテクノロジーの最先端のちょっとだけ先というか。それが今になってよくわかるという。

レイジ 10年ちょっと経って、やっと一般市民にも浸透してくるテクノロジーのイメージってことですよね、きっと。

小出 そうだね。

 

MCUスタートから11年を経て、改めて観て味わう最高感

──では改めて、“恒例の部長のひと言”ではなくなっちゃったけど(笑)、小出部長はいかがでしたか?

小出 やっぱり今の目でもう1回『アイアンマン』を観ると、まずは「映画冒頭の“レッド・ツェッペリン”最高だな」って感じです(笑)。

レイジ え? あれAC/DCじゃないですか。

小出 そう。AC/DCの「バック・イン・ブラック」なんだけど、のちにね、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年/監督:ジョン・ワッツ)でピーター・パーカーがスタークの聴いてた「バック・イン・ブラック」をかけて「レッド・ツェッペリンは好きさ」って言うシーンがあって(笑)。

ハマ なかなかの大ネタですよね。10年以上越しで、シリーズ一発目に使ってた曲を伏線にしちゃうっていう。

レイジ なるほど。ツェッペリンとAC/DCの区別もつかない新しい世代のヒーローが出てきたってことですよね。

小出 そうそう!

レイジ いやあ、なんかすごいですね、MCUって。随所随所では観てるんですけど、「これ、意味わかんねえ」みたいなところが必ずあるんですよ。

ハマ それこそ連続して観ていかないとよくわからない細かい小ネタがたくさん仕込んである。

──『アイアンマン』で有名なのは、テロ組織の捕虜になっていたトニー・スタークがアメリカに帰ってきたとき、いちばん食べたいものが「チーズバーガー」って言うところとかですね。

ハマ そう。改めて観ると、トニーのチーズバーガーが出た記念すべき一作目っていう感慨がありましたね。そうだ、ここが“チーズバーガー誕生”のシーンだった! っていう。

レイジ そんなキーになってくんの? チーズバーガーって。

ハマ みんなが忘れた頃にめちゃくちゃキーだったっていうか、感動的なシーンに繋がる。それは実際に続けて観ていってほしい部分かな。

レイジ なるほど。だから今回は一発目の作品ってことで、すげえディテールが気になりましたね。あとギャグセンスが古っぽいのも良かった(笑)。着地してズコーっとか、観覧車で子供がアイスをぼとって落とすとか。車に乗ってた家族が襲われて、うわーとかいう感じ。最近の作品のユーモアって結構シュールになってきてますよね。

小出 そうだね。MCUも後半に行くにつれて、笑いの質もどんどんブラッシュアップされているから。『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年/監督:タイカ・ワイティティ)なんか、ずーっとふざけてる。

ハマ ギャグ映画みたいになっちゃってる。

小出 『バトルロイヤル』の前の『マイティ・ソー ダーク・ワールド』(2013年/アラン・テイラー)から考えると、すごい変わりよう(笑)。やっぱり『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年/監督:ジェームズ・ガン)がひとつの変わり目だったんだろうね。初期の頃はかなり真面目にヒーローものをやってるというか。

ハマ そうっすね。ちなみにジョン・ファヴロー、意外と細かったっすね。

小出 細いね。当時はジョン・ファヴロー、だいぶ痩せてたんだね。ハッピーって運転手の人いたでしょ?

ハマ ちょっと小太りの。あの人がこの映画の監督なの。

福岡 そうなんだ。監督さんも出演してるわけね。

ハマ あの人の撮る映画、他のもほんと面白いよ。

小出 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2014年)とか最高だからね。

──あれは傑作ですね!

ハマ 『シェフ』は主演もジョン・ファヴローなんですよね。役者としての彼はそもそも『デアデビル』(2003年/監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン)に出てた。

小出 そうそう。『デアデビル』からマーベル作品に参加して。

ハマ あれをきっかけに、その後の役者選びにかなり貢献したっていうか。そもそもアイアンマン役に関して「ロバート・ダウニー・Jr.がいいんじゃない?」って言い始めたのがジョン・ファヴロー。監督としては『アイアンマン2』も撮った。あとは製作総指揮とか出演でMCUに長く関わってますね。

レイジ へえ~っ、すごい人だ!

TEXT BY 森 直人(映画評論家)

小出部長とハマくんが「MCUが映画の構造を変えた」と熱く話す[後編]につづく

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