『トイ・ストーリー』は『4』まで続く必要があったのか?アーティスト5人で観に行った

邦ロック界で一二を争う映画論客とも言われるBase Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。

今回は9年ぶりのシリーズ最新作となった『トイ・ストーリー4』。第一作目を幼少期から観ていてひときわ思い入れ強いメンバーたちから賛否が挙がっております。

みんなの映画部 活動第55回[前編]
トイ・ストーリー4
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子、世武裕子、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)


否定するわけじゃないが、うまく飲み込めなかった結末

──『みんなの映画部』第55回。今回は年明けのラジオ(特別活動参照)以来、久しぶりの全員集合で『トイ・ストーリー4』を観てきました。まずは小出部長、恒例のひと言をお願いします。

小出 これは……ひと言だと難しいなあ。「みんなどうでした?」って感じですね。(突然声を張って)皆さんどう思いましたか?

ハマ えっ、何、今読者に語りかけたの?

小出 そう、メンバーにも読者の皆さんにも。

ハマ 壁超えてきちゃった(笑)。まあ僕としては、『4』まで続く必要があったのかなってのはめちゃくちゃ思いましたけどね。

小出 まずそう思っちゃうよねぇ。

──『トイ・ストーリー3』(2010年)がシリーズの区切りとして完璧すぎた、と。

ハマ やっぱり僕なんかは子供の頃から、『トイ・ストーリー』の第一作(1995年)から第二作(1999年)、そして第三作へと、あの流れをアンディ(おもちゃの持ち主である人間の男の子)の成長と自分をダブらせて観てきたわけですよ。そうしたら、いきなり結論言っちゃうようですけど、今回のオチは個人的に納得できないですね。別に否定するわけじゃなくて、うまく飲み込めないというか。

福岡 まさにそれ核心やん(笑)。

ハマ すみません。でもそれしか残んなかったから。

レイジ じゃあオチが来るまでは大丈夫だったの?

ハマ 普通に楽しんでた。ボー・ピープが再登場して、こんな強気のヒロインとして活躍すると思わなかったな、とか。

小出 ボーは『3』に出てないんですよね。彼女はいつの間にかいなくなってたおもちゃの一個なんですよ。

福岡 私は結構最初から飛ばしてるなっていう印象があって。今までの『トイ・ストーリー』って人間目線から始まってたやん。動かないおもちゃが、実は動き出すワクワクみたいなところが助走段階やったけど、今回いきなりめっちゃ動いてたから(笑)。なるほど、もう『3』までとは別物かって。『4』から仕切り直しなんやねって最初で了解した感じ。

ハマ 時間経過的には『3』の直後的なニュアンスもあったよね。おもちゃの持ち主がアンディから、今回のボニーっていう女の子に変わったことで、作品の世界観自体も変えちゃったってことかな。

福岡 たぶん、あんまり子供目線の話じゃないよね。今までは童心に戻ってた感じで観てたんやけど、今回はずっと大人の自分目線で観た気がするから。最後は大人だと「人生いろいろあるよね」って思うけど、子供からしたら「え?」ってなるかもな。

ハマ そうですよね、だからウッディたちも大人になってしまったんだなと思いました。

福岡 ちなみに私と世武ちゃんが大好きなポテトヘッドがひと言もしゃべらんかったよね。

世武 いや、実は私、『トイ・ストーリー』ってちゃんと観たことないんですよ。あっこびんがポテトヘッドが好きだということに流されて、ノリで言ってた(笑)。

福岡 流されてたんかい。

世武 実は話はあんま知らんくて。今日もここは逆に観てないまま来たほうがいいなと思って、「観てない人目線」でしゃべろうと。

小出 貴重なサンプル!

世武 厳密に言うと『トイ・ストーリー』の一作目が日本公開されたとき、映画館に行ってるのよ。だけど私は『ジュラシック・パーク』が観に行きたかったのに(世武さんは大の『ジュラシック・パーク』好き)、祖母に子供やから『トイ・ストーリー』に行くよって言われて、「なんで!?」って思いながら観たんでロクに記憶がない。

ハマ 最初からもうつまづいてたんだ。

世武 あと私、そもそも、こういうこと言うと元も子もないんやけど、デザインが好きじゃなくて。

一同 (爆笑)。

──そもそもすぎる。

レイジ すげえなあ。

福岡 よく観に来てくれたね、今日(笑)。

 

「失くなったおもちゃ」側のストーリー

世武 だからそういう先入観っていうか、過去シリーズへの思い入れが全然ないまま今回観たら、結構良かったのよ。特にうさぎのふわふわのヤツ(バニー)が、中が綿毛なんだみたいな話になったときにグッときて。やっぱそうやねんと。お前らの中身は綿毛やねんって。

小出 あはははは。「お前らの中身は綿毛やねん」。

世武 でもそんなもんやろって。人間だってそんなもんやし。中身は所詮骨と肉やん、みたいな。

小出 でもその感じ、俺もよくわかるのよ。作り物のおもちゃが自我や魂を宿してるって、見方を変えれば『チャイルド・プレイ』に近いからね(笑)。

(後日、小出部長はリブート版『チャイルド・プレイ』は観に行き、「“裏トイ・ストーリー”として観てもめちゃめちゃ面白かったです!」とのこと)

世武 好きなキャラで言えば、綿毛たちとポー。あの人間の女の子(ボニー)がゴミを材料にしてちゃちゃっと手作りしたフォーキーが、いつまでも自分はゴミだと思ってるところが良かったね。

ハマ あのしつこさ、すげえ良かったですよね。

世武 そこは本当にリアルな気がする。トラウマとかコンプレックスとかってさ、なかなか取れんやん。「あなたは立派なおもちゃだよ」って言われても、自分のお里は変えられません、みたいな。

──アイデンティティの問題。差別とか階層の問題とも繋がりそうですよね。

世武 そこも含めて、全体に今っぽい映画やなと思う。強い女の子が出てきたりとかさ。

小出 おしとやかだったボーが、大胆にイメチェンして出てきたのは時代性をかなり意識してると思ったなぁ。

──人間の子供っていうご主人様がいるのではなく、自由を謳歌してる自立した女性像。

小出 でもさ、所有者のいないおもちゃっていう概念、ヤバくない?

ハマ フリーキースタイルですよね。ならず者でしょ(笑)。

レイジ ただ俺はそこに関してはちょっと違った解釈をしてるんですよ。

ハマ というと?

レイジ 実際、子供って突然おもちゃを失くしたりして、それっきり戻ってこなくなっちゃったりするじゃないですか。そういうおもちゃのことを、言い方は悪いけど美化してる物語っていうか。「失くなったおもちゃ」側にもストーリーはあるんだっていうことを、子供に向けて伝えているのが、今回の『4』だったのかなって。

これまでもアンディはおもちゃを失くしてきたけど、結局ウッディたちが助けに行って、仲間を回収してくるわけですよ。だけど現実世界の子供って、大事なおもちゃを本当に失くしちゃう。その二度と帰ってこないおもちゃも、きっと俺らが知らないところで、おもちゃはおもちゃなりに幸せになってるよって。そういう『3』までとは別の夢の話だったかなって思いましたね。

小出 ……なるほどな。

福岡 すごい説得力ある。

ハマ 今のレイジの話に重ねて言うと、過去シリーズでは持ち主とおもちゃが相思相愛だったじゃないですか。ただ、めちゃめちゃ大事にしてるおもちゃがなくなるパターンもあれば、今回は「飽きてる」っていうのがポイント的に高かったと思う。持ち主の子供が飽きたことによって、執着が薄れていなくなっていく。「俺、飽きられてるやん」って。その心情がもしおもちゃにあった場合、こういう気持ちになるのかなっていうのは目線としてありました。

レイジ 女の子のボニーからすれば、保安官のカウボーイ人形のウッディってモロに男の子用のおもちゃだし、あんまり興味ないのは仕方ないじゃないですか。最終的にボニーが「あれっ? ウッディがいない」って全然なっていない感じも切なかったですね。

世武 ウッディは最初からずっと蚊帳の外感あったよね。

ハマ あれはね、ほんと心が痛い。

レイジ 結構悲しい物語。でもおもちゃって悲しいよねってのが現実っていう。

TEXT BY 森 直人(映画評論家)

観賞後、グッズ売り場でバニーのポーチを買ったレイジくん。その場で即着用。

劇場にはウッディとバズの特大フィギュアが。記念撮影スポットになってました。

小出部長が
「トイ・ストーリー、すげえ」とうなった
[後編]

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事を書いた人