今回もやってくれた!サカナクションとミュージックステーションの素晴らしき共犯関係

知らない人はいないであろう音楽番組『ミュージックステーション』を、音楽ブロガー・レジーが定点観測する連載コラム「月刊 レジーのMステ定点観測」。

2019年6月のMステは、5月と同じく計3回の放送でした(7日、14日、21日の通常放送)。前後編でお届けする今回、[前編]ではMステでは毎回かましてくれるこの人たちの話題からどうぞ。

 

インパクト大の演出!Mステ出演で見せたサカナクションの気概

21日のMステに出演したのが、ちょうどこの週に実に6年ぶりとなるニューアルバム『834.194』をリリースしたばかりのサカナクション。この日は最新作のリードトラックでもあり、ソフトバンクのCMでもオンエアされていた新曲「忘れられないの」を披露しました。

前作『sakanaction』リリース以降、紅白に初出場を果たしたりフェスでのヘッドライナーを務めたりとその活動範囲を広げてきたサカナクションですが、その一方ではバンドの状況が変化するなかでメンバーのスランプなどなかなかヘビーな局面が続いてきたことが『834.194』に関連するインタビューでは語られていますが、この「忘れられないの」にはそんな重苦しい空気を破る開放感に溢れています。

アルバム制作におけるひとつのテーマとなっていたという“AOR”というキーワードをサカナクションなりに咀嚼したこの楽曲では、ゆったりしたテンポのなかに的確に音を配置することで曲のグルーヴを生むという非常に難しい取り組みが見事に結実しています。おそらく今年のJ-POPを代表する一曲になっていくのではないでしょうか?

さて、「サカナクションとMステ」と言えば、視聴者の意表を突く演出の数々がお馴染みです。「新宝島」でのドリフターズのパロディミュージックビデオの再現や(2015年10月23日)複数の画面をメンバーが横断していくような不思議な映像効果の導入(2018年3月23日)だったり、また「さよならはエモーション」を披露した際にはバンドの周りにオーディエンスを座らせたうえで演奏させたりと(2014年10月31日)、Mステに出るからにはインパクトを残そうという気概がいつも感じられます。

今回の「忘れられないの」の披露でサカナクションが導入した演出は、「新宝島」の初披露時と同じくミュージックビデオの演出の再現でした。80年代風の真っ白な衣装に身を包んだ5人がリゾート風のヤシの木のある背景をバックに演奏し、ダンサーの雰囲気や歌詞のテロップに至るまでこだわったその映像世界は、かなりインパクト抜群。

特にボーカルの山口一郎は「杉山清貴をイメージした」という肩パットの入ったスーツを着込んでなんとも言えないぎこちないダンスを踊ってみたり、ビーチで出会った女性との絡みで鼻の下を伸ばしてみたり、演出にどっぷり入り込んだパフォーマンスを見せてくれました(ちなみに歌唱前のトークでは、この日出演していたゆずが杉山清貴と同じ中学校だという思わぬ事実が判明して盛り上がりました)。

 

ちょっとしたミス(?)はあったものの……

ただ残念なことに、「サカナクションの演出、面白かった!」で終わらせたいところなのにそうならないところが最近のMステっぽいと言いますか……というのも、この日のステージはメンバー5人の写真とともにフェードアウトで終わるというこれまた80年代っぽい仕かけで終わるようになっていたのですが、その後の番組上の繋ぎが不自然だったせいで曲の終了後に「???」という感じのなんとも言えない間が生まれてしまっていました(曲が終わった後に準備のできてない司会のふたりが映っていましたが、もしかしたら本来はそのまま直後のVTRコーナーに行く予定だったのかもしれません)。

先月の当連載でも令和最初のMステにおける音声トラブルについて触れましたが、ここ一年ほどでパフォーマンス中にカメラマンやスタッフが思いっきり映り込んだりと(2月の欅坂46「黒い羊」や昨年の『ウルトラFES』での水曜日のカンパネラなど)、番組進行上「あれ?」と思うことがちょこちょこあります。生放送でのパフォーマンスというのは裏方にも多大な負荷がかかるものだ思うのですが、なんとかアーティストの魅力に水を差さない体制になってほしいところです……。

とは言え、今回のサカナクションのようなチャレンジは、“アーティストと共犯関係を築きながら楽曲の良さを伝えていく”というMステが本来やるべきことなんじゃないかなと。こういった取り組みがもっともっと増えていくといいなと思います。

 

[前編]はここまで。[後編]では6月に多数出演したパフォーマンスグループの話題などを取り上げたいと思います。7月5日(金)の配信をお待ちください!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)

 

【2019年6月7日放送分 出演アーティスト】
GENERATIONS from EXILE TRIBE「Brand New Story」
V6「ある日願いが叶ったんだ」
MAN WITH A MISSION「Remember Me」
Superfly「Ambitious」
カーリー・レイ・ジェプセン「I Really Like You」「Now That I Found You」
平井 堅「いてもたっても」

【2019年6月14日放送分 出演アーティスト】
Foorin「パプリカ」
King & Prince「シンデレラガール」「君に ありがとう」
sumika「イコール」
NEWS「トップガン」
GENERATIONS from EXILE TRIBE vs THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「SHOOT IT OUT」
aiko「milk」

【2019年6月21日放送分 出演アーティスト】
IZ*ONE「Buenos Aires」
山下智久「CHANGE」
ゆず「SEIMEI」
サカナクション「忘れられないの」
高嶋ちさ子「彼こそが海賊<パイレーツ・オブ・カリビアン>」
中村倫也&木下晴香「ホール・ニュー・ワールド」
德永英明「レイニー ブルー」

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