『メン・イン・ブラック』シリーズで育ってきたアーティストが最新作を観に行った!

邦ロック界で一二を争う映画論客とも言われるBase Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。

今回はなーんも考えなくても楽しめちゃうSF映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』を、男子ミュージシャン3人で劇場観賞してきました!

みんなの映画部 活動第54回[後編]
メン・イン・ブラック:インターナショナル
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)


小出&ハマ、レイジと感想が分かれた
[前編]はこちらから

『メン・イン・ブラック』シリーズ、過去3作について

小出 『メン・イン・ブラック』シリーズって20年くらい経ってるんですけど、過去作では1作目がぶっちぎりで出来が良いと思ってるんですよ。内容もそうですけど、映像的にも。『1』は1997年だよね。だからちょうどVFXの過渡期というか、デジタルの特殊効果が行き渡り始めた頃なんですよね。

だから『1』だと、フルCGのエイリアンもいるんだけど、エイリアンをバンって撃って、エイリアンの内臓が顔にぐしゃってかかるとかの描写は、アナログに人物がゲル浸しになったりする。だからなのか、ちょっと描写が怖かったりもするんですよね。それが良いスパイス。そういうアナとデジの同居している感じが、今観ると味わい深いんです。

だけど2作目は2002年で、VFXの導入もどんどん進んでるんだけど、今と比べたら妙にツルツルなCG加工のシーンが多くなる。仮面ライダーで言ったら『仮面ライダークウガ』(2000年~2001年)第1話の変身シーンよ。

レイジ 「変身シーンよ」って言われてもわかんないです(笑)。

ハマ 僕は大丈夫です(笑)。

小出 プレイステーション2みたいなね。2作目を今ブルーレイとかで観ると、プレステ2懐かしいなぁって気持ちになる。

──CG初期時代の悲しさですね……。

小出 そう。でも3作目はなかなか面白い。前作から10年空いて、2012年に久々に発表された。

ハマ 『3』は良かったですよね。

小出 タイムトラベルする話だし。まさかあのふたり、J(ウィル・スミス)とK(トミー・リー・ジョーンズ)にこんな因果関係があったんだって。7年前だからCGの質もだいぶ向上しつつ、どこか1作目のアナログの良さに回帰した作りでもあった。

それが今回の4作目では、開き直ったオールCGだし、技術もすごい上がってるじゃないですか。一個一個のガジェットや空間など細かいデザインが洗練されていて、僕は2以降のシリーズではデザインまわりはいちばんしっくりくる。

ハマ なんならシリーズ中、いちばん違和感ないですよね。描きたい未来のビジョンと、今の技術力のつじつまがぴったり合ってる感じ。

 

クリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソンのバディ感問題

小出 今回、観る前にちょっと危惧していたのが、海外のレビューサイトに“バディ感がない”って書いてあったんだよね。『メン・イン・ブラック』ってJとKのバディものとしての要素も相当高い作品だから。

ハマ 今作はそもそも、そこに重きを置かれてない感じがした。

小出 そうなんだよね。やっぱ間にちっちゃいあいつ(エイリアンのポーニー)が入ることで、H(クリス・ヘムズワース)とM(テッサ・トンプソン)のバディ感が薄れちゃったんだよ。そこはちょっともったいないと思いつつも、あくまでバディものとしてのMIBはJとKに渡しといて、みたいなことかなとも思ったし。

ハマ ハリウッド映画のバディものって、人種とかジェンダーの問題がすごい絡んでくるじゃないですか。そんななか、どういうコンビにすれば今の時代にふさわしいのか。なんとか新しい組み合わせを見つけようと模索してるんだろうなあって、この映画問わず感じますけどね。

──その意味ではHとMのコンビネーションはすごく愛嬌があって、僕は好きですけどね。

ハマ テッサ・トンプソンがすごくかわいらしい。この人、女剣士系の役が多いですよね。

小出 MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)だとヴァルキリーだからね。奇しくもヴァルキリーとマイティ・ソー(=クリス・ヘムズワース)がコンビってわけですよ(笑)。『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年)状態。

ハマ トンプソンはHBOの『ウエストワールド』っていうSFドラマにも出てくるんですけど、それも強い会社のCEO役みたいな。ちょっとマッチョ系なイメージが多かった。

小出 アドニス・クリードの嫁とかね(『クリード』シリーズ)。

ハマ クリス・ヘムズワースも笑えますよね。ほとんど使い物にならないキャラっていう。

小出 『マイティ・ソー バトルロイヤル』にしろ『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)にしろ、めちゃめちゃイジられてる(笑)。『ゴーストバスターズ』のリブート(2016年)で底が抜けた頭カラッポ男の役で出てたんだけど、あの辺りから流れが変わったよね。

『マイティ・ソー』の1作目と2作目では王道のマッチョなイケメンヒーローだったけど、3作目からちょっとバカなイケメン筋肉くんみたいにしたらめっちゃ面白くなってきて。今回もまったくそういう使い方。元カノに会いに行くときのファッション、石田純一さんじゃん。

ハマ イジられてましたしね、セリフで。

レイジ なんでピンクのパンツなんだって(笑)。

ハマ でもあの人は、実際は賢いんですよ。自分のイジられ方を全部わかってるんですよね。その辺のセルフコントロールはすごく利いていて、だから最近、しばらく家族とゆっくり過ごしたいって言って年内いっぱいの休業宣言をしたじゃないですか。

──私生活ではオーストラリアに住んでいて、3人のお子さんのパパなんですよね。

小出 MCUを終えてね。その意味でも『メン・イン・ブラック』シリーズは、製作総指揮がスティーヴン・スピルバーグだし、全体的にちゃんとしたプロの仕事だっていう気がする。今回の監督は『ストレイト・アウタ・コンプトン』(2015年)のF・ゲイリー・グレイ。

ハマ 『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年)もやってる。『ミニミニ大作戦』(2003年)も面白かったよね。

小出 すっごい大きいわけじゃないけど、映画好きにはちゃんと刻まれてる作品を堅実に手がけている名職人。だから小鉢がうまい。

ハマ まさしく。

小出 わざとなのかわからないけど、ラストカットがなぜか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)と同じ(笑)。

レイジ 水の上をホバー的な乗り物でビューって行くのも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的でしたよね。

ハマ そこはスピルバーグ印ってことで(笑)。

TEXT BY 森 直人(映画評論家)

平日真っ昼間の渋谷で観賞。せっかくなので感想会をHOOTERSでやったのですが、タンクトップ店員さんに目を合わせることなくずっと『メン・イン・ブラック』と『ウィーアーリトルゾンビーズ』の話をする映画部男子。

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