サザンが歩んだ40年。その歴史を共にした“同志たち”へ贈る、数時間のラブレター【ライブオトネタ】

サザンオールスターズが6月16日、東京・東京ドームで全国ツアー『“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!』の最終公演を行った。

【ライブオトネタ】
サザンオールスターズ

2018年6月にデビュー40周年を迎えたサザンは、ベストアルバム『海のOh, Yeah!!』のリリースを皮切りに『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』『NHK紅白歌合戦』への出演など、アニバーサリーにふさわしい活動を展開。

6大ドームを含む全11ヵ所22公演過去最大の規模で行われた本ツアーでは、6月15・16日の東京ドーム公演で各日約5万人、ツアー全日程では約55万人を動員した。


サザンオールスターズ LIVE TOUR 2019
“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!
2019.06.16@東京ドーム

開演10分前になると手拍子が鳴り響き、スタンド席にウェーブが起きるなど、ライブが始まる前から東京ドームはとんでもない熱気に溢れていた。

会場の照明が落ち、「東京VICTORY」のイントロと共に紗幕にメンバー5人が拳を突き上げているシルエットが浮かび上がると、客席から凄まじい歓声が発生。このオープニングのやりとりだけでも、サザンとファンの強い繋がりを感じ、思わず胸が熱くなった。

続く、「壮年JUMP」では桑田佳祐(vo、g)が“全国巡り 今日は千秋楽 おこし下さいまして ありがとう”“みんなの笑顔に逢いたくて 東京ドームへ 帰って来たよ”という替え歌を披露。さらにヒット曲「希望の轍」で観客のテンションをさらに引き上げた。

ここからは40年のキャリアのなかで生まれたレアな楽曲、ディープな世界観を持った楽曲を次々と演奏。

ラテン経由の憂いを帯びたサウンドと叙情性に溢れたメロディがひとつになった「SAUDADE~真冬の蜃気楼~」、スティーリー・ダンの名作アルバムをオマージュしながら、どこか大陸的な旋律を響かせる「彩~Aja~」、レゲエとセカンドラインのリズムを融合させ琉球音階をのせた「神の島遥か国」、スパニッシュ・ギター風のギターを軸にした「赤い炎の女」──50年代から80年代あたりまでのソウル、R&B、ロックンロール、ラテン、レゲエ、ファンク、フォーク、サイケデリック、ジャズといった驚くほど幅広い要素を貪欲に取り込みながら、間口の広いポップスへと結びつけた楽曲によって、豊かで奥深い音楽世界が立ち上がる。

意外性に溢れたハイブリッド感覚、洋楽のエッセンスを換骨奪胎する妙はまさにこのバンドの真骨頂であり、日本のポップスの伝統を引き受け、巨大なエンターテインメントへと昇華してきたサザンの在り方そのものだと思う。イントロのたびに「おぉ」「うわぁ」という静かな歓声が起こり、音楽を介した純度の高い一体感が生まれていたことも心に残った。

 

それはまさに人間の業の肯定であり、人間賛歌そのもの

ディープな選曲ではあるものの、ただただとんでもなく豊かな音楽がそこにある──それはまるで『FUJI ROCK FESTIVAL ’18』で観たボブ・ディランのステージのようだったが、もちろん桑田佳祐はディランほど不愛想ではなく、「大丈夫? 飽きてない?」「ありがとね」「せっかく取ってもらった席なんだから、疲れたら座ってね」と観客に語りかけ、さらに曲を重ねていく。

そして、今回のツアーの見どころのひとつは新曲が披露されたことだろう。

「愛はスローにちょっとずつ(仮)」と題されたこの曲は、今はいなくなってしまった大事な人に思いを馳せ、“ここからゆっくりと愛を深めていきたい”という切なる希望を描いたであろうミディアムチューン。

人に恋し、愛することの素晴らしさ、切なさ、悲しさ、情けなさを余すことなく描いてきた──それはまさに人間の業の肯定であり、人間賛歌そのものだ──サザンのラブソングは今も深みを増している。そのことを確認できたことも、このツアーの収穫だったと思う。

 

40年の間に培ってきた音楽の重層を体感させた、サザンオールスターズ

「シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA」から始まったライブ後半は、セクシーな女性ダンサーが踊ったり、桑田がパンツを模したヅラを頭に被ったりと、まさに“アホ丸出しでマイクを握って”るド派手なステージを展開。“前半、中盤でじっくり時間をかけて愛撫し、本番は一気に盛り上がる”というライブの構成も素晴らしい。

アニバーサリーイヤーを飾るツアーで人気曲、定番曲を外し、40年の間に培ってきた音楽の重層を体感させる、きわめて質の高いステージを繰り広げたサザンオールスターズ。

それは「サザンにはこんなに良い曲がたくさんあるんだ」というバンドの確固たる意思表示であると同時に、40年に渡って、シングルのB面、アルバムの収録曲をじっくり楽しんできたファンに対するラブレターのようでもあった。

TEXT BY 森 朋之
PHOTO BY 西槇太一

SETLIST

01.東京VICTORY
02.壮年JUMP
03.希望の轍
04.闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて
05.SAUDADE~真冬の蜃気楼~
06.彩~Aja~
07.神の島遥か国
08.青春番外地
09.欲しくて欲しくてたまらない
10.Moon Light Lover
11.赤い炎の女
12.北鎌倉の思い出
13.古戦場で濡れん坊は昭和のHero
14.JAPANEGGE(ジャパネゲエ)
15.女神達への情歌 (報道されないY型の彼方へ)
16.慕情
17.愛はスローにちょっとずつ(仮)
18.ゆけ‼力道山
19.CRY 哀 CRY
20.HAIR
21.当って砕けろ
22.東京シャッフル
23.DJ・コービーの伝説
24.わすれじのレイド・バック
25.思い過ごしも恋のうち
26.はっぴいえんど
27.シュラバ★ラ★バンバ SHULABA-LA-BAMBA
28.マチルダBABY
29.ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
30.イエローマン~星の王子様~
31.マンピーのG★SPOT
[ENCORE]
01. I AM YOUR SINGER
02. LOVE AFFAIR~秘密のデート〜
03. 栄光の男
04. 勝手にシンドバッド
05. 旅姿四十周年


リリース情報

2018.08.01 ON SALE
ALBUM『海のOh, Yeah!!』
タイシタレーベル

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