この時期にハロウィン? 殺人鬼マイケルを邦ロック界随一のホラー映画マニア・小出祐介が解説!

邦ロック界で一二を争う映画論客とも言われるBase Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。

今回は、ホラー映画『ハロウィン』を4人で観賞。屈指のホラー映画マニアと称されるようになった小出部長の超絶解説が炸裂します!

みんなの映画部 活動第52回[前編]
ハロウィン
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)


襲ってくる行動原理がわからないほうが絶対怖い

──『みんなの映画部』第52回です。皆さんツアーなどでご多忙ななか、人気ホラーシリーズ最新作『ハロウィン』をゴールデンウィーク前に観てきました。まずは小出部長、恒例のひと言をお願いします。

小出 最高でした!

ハマ シブい映画ですよね。僕も最高でした。

小出 僕はめっちゃ最高! って感じです。

レイジ こいちゃんは『ハロウィン』自体、大好きなんですか?

福岡 何、その質問?

レイジ いや、ホラー映画っていっぱいあるから、そのなかで『ハロウィン』自体がどのくらい好きなのかなって。

小出 もちろん大好きですよ。

ハマ シリーズの過去作(※10作あります)って全部観てるんですか?

小出 観てます。

福岡 全部観てるんだ。そんな人、他にいるの?

小出 いっぱいいるよ(笑)。

レイジ 俺らの周りにはこいちゃんしかいない。やっぱり本当はこれまでの10作全部観ておいたほうがいいんですか?

小出 いや、そうでもない。なぜなら、今作は1作目の『ハロウィン』(1978年)の40年後を描く直接的な続編で、シリーズ第2作以降の流れは全部リセットされちゃってるから。

一同 へえ〜。

小出 なので、パラレルストーリーだと考えてもいい。ただ、今回は過去シリーズの世界線から重要な改変が一個あって。

レイジ 改変?

小出 うん、作品を重ねていくうえで『ハロウィン』っていうシリーズは、人気的も質的にも第1作を超えることができずに、徐々に低迷していってしまったのね。実際、迷走してる部分も大いにある。

その理由を考えると、マイケル・マイヤーズ(=ブギーマン)っていう殺人鬼と主人公・ローリーの因果関係、あるいは、なんで人を殺すのかっていうマイケルの動機、そこをどんどん説明していっちゃったってことが大きいと思うんですよ。

ハマ なるほど、謎の理由を身もふたもなく明かしていっちゃった。それ、シリーズ物の“あるある”のひとつですね。

小出 そう。でも、そうしないと話を何本も作れないからさ。すべてのシリーズ化したホラー映画が抱えるジレンマなんだけど、逆に言えば1978年の『ハロウィン』1作目では、マイケル・マイヤーズがなんでローリーを狙ってんのかっていう理由がマジでわかんない。

ハマ ローリーだけが執拗に狙われている。オリジナルではその意味不明なところ、不条理感も怖かったってことですよね。

小出 まさしく。最初の『ハロウィン』ってスラッシャー映画の流行の発火点で、これに影響を受ける形で、『13日の金曜日』(1980年)の殺人鬼ジェイソンが生まれたり。80年代は『エルム街の悪夢』(1984年)とかスラッシャー映画が量産されるのよ。

レイジ キャラ立ちしてる殺人鬼が出てくるものの原点。

小出 『悪魔のいけにえ』(1974年)のレザーフェイスと並んで、そのひとつと言えるかな。でね、『13日の金曜日』のジェイソンや『エルム街の悪夢』のフレディには、殺戮マシンになってる理由付けがあるのね。

『ハロウィン』シリーズも2作目以降はマイケルの行動に“意味”を持たせて説明している。だから、はっきり言って1作目とそれ以降ではキャラクターとしての見え方が全然違う。でもさ、行動原理がわからないのに襲ってくるほうが絶対怖いじゃない。

福岡 確かに。

小出 そんな理解を超えた不条理の恐怖を、今回は壊さずに受け継いでいるんです。マイケルはハロウィンの前夜になって、収容されていた精神病棟から外に出て、そしてまたローリーを延々追ってくると。

一方、第1作で生き延びたローリーは、なんと40年間、家族に疎まれながらもマイケルを迎え撃つ準備をしていたっていうものすごい設定を用意しているわけです。

執拗に追いまわす理由を2作目で説明してしまう

レイジ ローリー役の女優さんって第1作と同じ人なんですよね?

小出 そう、ジェイミー・リー・カーティスね。他の有名なやつでは『トゥルーライズ』(1994年)などで有名ですよね。

ちなみに『キャプテン・マーベル』(2019年)でブリー・ラーソン扮する主人公・キャロルが90年代の地球に落ちてきたとき、ビデオショップに墜落するんだけど、そこに『トゥルーライズ』のパネルがあって、敵だと思って主役のアーノルド・シュワルツェネッガーの顔をフォトンブラストで撃ち抜くの。そんな撃ち抜かれたシュワちゃんの横に立ってたのがこの人です。

あとあと考えてみるとすごく示唆的なシーンだったんだけど……っていう話は置いておいて、『ハロウィン』シリーズでは2作目もジェイミー・リー・カーティスが登場する。公開当時は『ブギーマン』(1981年)っていう邦題だったんだけど(パッケージタイトルは『ハロウィンII』)。

ハマ パート2でも同じローリー役なんですか?

小出 そうです。で、2作目で説明しちゃうんですよ。マイケル・マイヤーズがなんでローリーを追ってきてるのかを。実は、ローリーはマイケルの妹だったってことがわかるんです。

マイケルは最初に実の姉を殺害しているんだけど、そこから精神病院に入院して、脱走して、ローリーを見つけて執拗に追っかけてた。つまり、自分の血縁関係にある人間を殺すっていう法則だったと。

これ以降は血の因果関係の話になってくんです。でも、次作『ハロウィンIII』(1982年)は、完っ全な外伝!

一同 へえ〜!

小出 マイケル・マイヤーズもローリーも(カメオ出演はしているけど)いっさい関係ない、全く違うノリの映画で。ハロウィンの“カボチャ”“魔女”“ドクロ”っていうマスクそのものから始まる話。

僕は第1作目を除くと、この3作目が大好きなんですよ。先入観なく観れば、みんな大好き『ブラック・ミラー』にあってもおかしくないようなね。

だけど当時は興行的にも前作の半分くらい。何より作品の評価が悪くて。みんなブギーマンを期待してるから、そりゃそうかもしれないけど。

ハマ それもオリジナルの監督のジョン・カーペンターは携わってるんですよね?

小出 3まではプロデューサーでね。で、ジョン・カーペンターの手を離れて、やっぱりブギーマンだよねってことで、『ハロウィン4/ブギーマン復活』(1988年)でマイケル・マイヤーズが戻ってくるんです。『II』から話は続いてるんですけど、ローリーは交通事故で死んだことになってる。

代わりにローリーの娘……今回の新作ではカレンって名前でしたけど、この世界線の娘の名前はジェイミー。『ハロウィン5/ブギーマン逆襲』(1989年)と『ハロウィン6/最後の戦い』(1995年)はジェイミーに関する話になってくるんですよ。

そのあと7作目で『ハロウィンH20』(1998年)っていうシリーズ20周年記念作が作られるんですけど、そこで、4から6の話がリセットされます(笑)。ジェイミーはかなりひどい目に合うんですけど、全部なかったことに。で、この『H20』が『II』の続編になるんですよ。ローリーのその後ってことです。

ハマ また生きてんだ。

小出 そう。事故で死んだっていう設定がリセットされた。だからジェイミー・リー・カーティスが『II』以来、久々に出てくる。彼女は名前をケリーに変えて、高校の校長先生になっていて、あの忌まわしい事件を忘れようとして生きてきたんですけど、そこにまたマイケルが追っかけてくるっていうお話に。

ここでローリーはマイケルとかなり積極的に戦うんで、『H20』は今作とちょっと近い部分があるかもしれないですね。で、これの続編が『ハロウィン レザレクション』(2002年)っていう第8作目。

ハマ タイトルからして2000年代っぽいなあ(笑)。

小出 その冒頭でローリーがいきなり殺されるっていう。

ハマ あらら……また死んで、今回の新作でまた生き返って。マイケルとローリー、本当に長い付き合いのお友達ですね。

福岡 あははは。すごい腐れ縁だよね。

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)

観賞後、感想会会場(喫茶店)へ向かう途中、作品のことを話すのはもったいないので、『アベンジャーズ/エンドゲーム』への期待について話しているふたり。

映画を観ながら書いているという小出メモ。今回は2回目の観賞だったので、『ハロウィン』過去作についてのこともびっしり書かれている。真面目か!

[後編](5月1日(水)配信予定)につづく

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