Mステ出演の欅坂46・平手友梨奈のパフォーマンスを観て危惧してしまうこと

知らない人はいないであろう音楽番組『ミュージックステーション』を、音楽ブロガー・レジーが定点観測する連載コラム「月刊 レジーのMステ定点観測」。

[前編]では2月1日に放送された3時間スペシャル全体について、およびそこでの嵐のパフォーマンスについてお届けしました。[後編]では15日と22日の出演者の様子を中心にお届けします。まずは新たなスター候補のMステ初登場の話題から。

 

IZ*ONE:日韓合同アイドルのMステデビュー

15日のオープニングに登場したIZ*ONE。昨年放送された日韓合同でのオーディション番組『PRODUCE 48』から飛び出したこのグループには、HKT48の宮脇咲良と矢吹奈子、AKB48の本田仁美も在籍。グループとしてのMステ初出演は3人にとっての“凱旋ステージ”ともなりました。

このグループは韓国の他のアイドルグループと同様に、グローバルを意識した楽曲と日本市場向けの楽曲を分けて考えるやり方をとっていて、この日披露された日本でのデビューシングルとなる「好きと言わせたい」は、これまでの48の楽曲の延長線上にあるようなJ-POP色の強いダンスナンバーです。

昨年リリースされた「La Vie en Rose」が海外のトレンドど真ん中のかなりかっこいい楽曲だったので、個人的にはそっち方向でのMステ出演もこの先期待したいと思います。

欅坂46、家入レオ×TAKAHIRO:TAKAHIROが開拓する危ういアイドル像

22日の放送に登場した欅坂46は2月27日リリースの新曲「黒い羊」を披露。現状グループの代名詞となっている“集団の中で抗う個人”といったメッセージを表現した楽曲で、そういう意味では非常に“欅坂らしい曲”と言えるのではないかと思います。

また、曲の途中の語りのようなパートは2ndシングル「世界には愛しかない」とのリンクも感じさせますが、「世界には~」では複数のメンバーが希望に満ちた言葉を放っていたのに対して、この日の「黒い羊」のパフォーマンスでは平手友梨奈のみが“夕暮れ時の商店街の雑踏を通り抜けるのが面倒で”と呟くのみ。約2年半の間に、グループとして伝えようとしていることやメンバー間のパワーバランスが大きく変わったことを改めて実感しました。

センターの平手友梨奈は、昨年12月にケガの影響などにより一部活動の休止を発表し、レコード大賞や紅白歌合戦といった年末の歌番組を軒並み欠席していました。この日は曲のメッセージを体現するダンス(20人近いグループのダンスで、ひとりを取り囲んで指をさす振り付けはかなり異様で迫力があります)において全体を引っ張る役割でしたが、歌唱前からどうにも体調が悪そうな雰囲気だったのが気になりました。心身ともに不要な負荷がかかっていないか心配です。

平手友梨奈が時に不安定な様子を見せる原因として、ここぞという時のパフォーマンスで文字どおり“爆発”してしまうことが挙げられると思います。昨年も9月に幕張メッセで行われたライブ中にステージから落下するという、ともすれば大事故に繋がりかねないことがありましたが、スイッチが入ると感情が制御できないレベルまで達してしまうのかなと。

そのリミッターの外し方こそが“天才”のなせる業なのだというのはよくわかりますが、それによって彼女自身が壊れてしまっては元も子もないですよね……。

そんなことを思ったのは、ちょうどこの前週、15日のMステに欅坂46の振り付けを手がけるダンサーのTAKAHIROが家入レオとのコラボで出演していたからです。

元Galileo Galileiの尾崎雄貴による「この世界で」を歌い上げる家入レオの後ろで披露されたTAKAHIROのダンスは、文字どおり鬼気迫るもの。歌詞に合わせて自分の顔を殴るしぐさを見せたり、この世の終わりを見たかのような表情を作ったり、完全に曲全体の雰囲気を支配していました。

平手友梨奈がTAKAHIROの薫陶を大いに受けているのは知られているところです。事実、15日にTAKAHIROが見せたパフォーマンスは、2017年のFNS歌謡祭にて平井 堅のバックでソロダンスを踊った平手友梨奈の姿とも大いにダブるところがありました。

TAKAHIROのダンスは、おそらく自身の奥底に潜って、その感情を解放することに重きが置かれているように思います。平手友梨奈もそういった流れのなかで自分の表現を突き詰めようとしているのではないかと思いますが、当然そういったパフォーマンスは精神を切り刻むようなものにならざるを得ません。

“アイドルとは若さを燃やしてあっという間に消えていくもの”という価値観もたしかにありますが、30歳になって結婚してもアイドルを続けるNegiccoのNao☆のような存在も現れ、様々なアイドル像というものが模索されるようになってきました。

平手友梨奈という才能を正しく輝かせるような、そして才能に目が眩んだ大人がひとりの少女を潰してしまわないような、そんなプロデュースの仕方をぜひ考えてもらいたいものです。

 

次回のMステは3月8日(金)。つまりは3月9日の前日ですが、藤巻亮太がレミオロメンの名曲「3月9日」を披露するとのことで、どんな演出になるかも注目したいと思います。それでは来月もよろしくお願いします!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)

 

【2019年2月1日放送分 出演アーティスト「テレビ朝日開局60周年3時間SP」】
THE YELLOW MONKEY「太陽が燃えている」
秦 基博「ひまわりの約束」
ジャニーズWEST「ホメチギリスト」
大塚 愛「さくらんぼ」
GENERATIONS from EXILE TRIBE「AGEHA」
ORANGE RANGE「花」
東京フィルハーモニー交響楽団「ドクターXのテーマ」
Superfly「Force」
ZARD・坂井泉水&倉木麻衣「負けないで」
乃木坂46「シンクロニシティ」
嵐「君のうた」「感謝カンゲキ雨嵐」

【2019年2月15日放送分 出演アーティスト】
IZ*ONE「好きと言わせたい」
Kis-My-Ft2「君を大好きだ」
あいみょん「マリーゴールド」
Nissy(西島隆弘)「Addicted」「トリコ」
家入レオ「この世界で」
HONEST BOYZ(R)「SAKURA feat. KOBUKURO」
山崎まさよし「One more time,One more chance」

【2019年2月22日放送分 出演アーティスト】
Sexy Zone「La Sexy Woman」
欅坂46「黒い羊」
King Gnu「Slumberland」
SEKAI NO OWARI「YOKOHAMA blues」
CHEMISTRY「もしも」
JUJU「ミライ」
THE YELLOW MONKEY「I don’t know」

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