Reolが自戒を込めて選ぶ『ボヘミアン・ラプソディ』の名場面

上映と共に注目を集める、クイーンを描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』。リアルタイムでクイーンを知らない世代にクイーンはどう見えるのか? カラーの違うアーティスト3組に映画を観賞してもらい、それぞれの目線で思いのままに意見してもらった特別インタビュー。

【映画『ボヘミアン・ラプソディ』インタビュー】
Reol

リアルタイムでクイーンを知らない世代が映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観て何を感じるのか? この特別インタビューにシンガーソングライターであり、自身の活動をセルフプロデュースするReolが参加。アーティスト活動を多面的に捉える彼女ならではの視点で語られる、クイーンの魅力とは?


脚光を浴びるフロントマンに感情移入するReol

ソロで活動してますけど、普段関わるメンバーはほぼほぼ固定してやっているので、自分のことをソロアーティストというよりは、リードシンガーみたいに思っているところが強くて。だから、『ボヘミアン・ラプソディ』を観ているうちに、フレディ・マーキュリーが抱える、バンドのフロントマンならではの苦悩にすごく共感できる映画でした。

「バンドも続けるけどソロもやる」って内容を言っていたフレディが、そうは言いつつも結局ソロ活動に没頭していくシーンがあるんですけど、ソロの話題を挙げた時にバンドメンバーからは「君は僕たちがいないと何もできないぞ」って言われてるんですよね。

自分は、結構フレディに立ち位置を重ねて観ていたので、わたしにとっても耳が痛い言葉でした。

ボーカリストっていちばん日が当たるポジションだから、クイーンを知らずにこの映画を観た人も“フレディ・マーキュリー”の名前は覚えて帰る人が多いと思うんですよね。

でも実際は、フレディというアイコンを支えるために、いろんな人がまわりにいて。それに気づけなかったフレディの振るまいがまさにそうでしたけど。それを観て、自分も改めて気を引き締めないといけないなって思いました。

最後のライブシーンは、ずっとフレディに対して意地を張っていたら叶わなかったわけじゃないですか。そう考えると、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンのバンドメンバー3人の器の大きさに感銘を受けました。

実際、ソロ活動に移行してからのフレディはクイーンのことはほったらかしになってたわけだし。もっと大きなわだかまりになってもおかしくなかったと思うんだけど、クイーンは『ライヴ・エイド』のステージに立った……だから、フレディと同じくらいこの3人も讃えられるべきですね。

不敵さや余裕を持ったアーティストでありたい

今の音楽シーンは「これをすると、こう言われるかもしれないから避けておこう」と、アーティスト側が保守的になっている気がします。

SNSでも、始めた最初の頃はみんな思ったことをそのまま言ってたけど、今は拡散されちゃうからすぐ炎上して、一蹴されちゃうような世の中で。それを打破するぐらいのエンタメ性が必要だなって。

そういう点からもクイーンから教わるじゃないですけど、学ぶことは多いんじゃないかな? 例えば、タイアップが付いた場合、自分のカラーをなくしてまで寄せていくんじゃなくて、「この曲はすごく良い曲だからタイアップついて当たり前でしょ?」って言い切っちゃえるぐらいの不敵さや余裕を持ったアーティストがいっぱい出てきたほうが面白い。

どんな時でも己を貫いたクイーンはその最たるものだったんじゃないかって感じますし、自分自身そうでありたいなと思いました。

なので、アーティストこそ観るべき映画だなというか。音楽を本気でやっている人が観ると、すごく初心を思い出す映画じゃないでしょうか。

フレディの、マイクスタンドを半分だけ持つパフォーマンスだったり、タンバリンを叩くとか、ピアノの弾き語りをしているかと思ったら、ステージの最前でお客さんを煽ったりとか。ああいうのって全部、お客さんが「これをやったら沸く」っていう嗅覚を研ぎ澄ましたところから逆算で生まれてる行動だと思うから……ボーカリストであると同時に、パフォーマーなんだなって。

私も常にライブではショービズを心がけています。ミッキーに出会っただけで“うわ!”ってなりません? で、手を振ってもらえたらすごく嬉しくなったり。存在するだけでお客さんが期待してくれる、そしてその期待を上回っていくアーティストでありたいですね。

ライブってやっぱり、同じ時間を共有して、同じ空間にいるから。その人が、人生の最後、走馬燈を見る時に、「あのライブが良かったなあ」と微笑むことのできるライブをひとつでも多く残したいです。

最新技術をもって、『ライヴ・エイド』当時の熱量を再現

『ボヘミアン・ラプソディ』は撮影技術もすごいなって。例えば、もしフレディが亡くなってすぐに映画を作っていたら、ここまで臨場感あるライブ映像は観れなかったはず。お客さんの上をバーっとドローンを飛ばして見せる映像美とか、今の時代まで発展したからこその技術を使いつつも、当時の空気感をちゃんと切り取った演出はすごく良いと思いましたね。

どこから音源に切り替わったかわからないくらい、フレディを演じたラミ・マレックが歌ってるじゃないですか。それも良かったです。

実際に存在した、しかも世界中で知られるシンガーの役ってすごい難しいと思うんですけど、そこを違和感なく演じられた、彼の技量が素晴らしかったです。歌で気になる箇所がないのは本当にすごい!

それに、ちゃんと人間の汚い部分というか、人の思惑みたいな部分も描いてるじゃないですか。クイーンの軌跡を美談にしていないところに信頼のおける作品だなって思いました。

アルバムの記者会見のはずがプライベートなことまでズケズケ訊かれるシーンがありましたけど。目立つ人のことを知りたいという欲求は人の性とはいえ、やっぱり人だから傷つくわけですよ。そういう心理が描かれているのが良かったです。

時が経っても色褪せることのない名曲、そのわけとは?

私はSUM 41が好きで、高校生の時よく聴いてたんですけど、SUM 41もイギリスのバンドだから、きっとクイーンを通ってきてる部分もあるんじゃないかなって思うんです。

SUM 41のメンバーが生まれた頃なんかもうクイーン全盛期とかじゃないですか。やっている音楽は違っても、アーティストの想い、みたいなものがちゃんと受け継がれていく感じというか、続いていく感じが結構良いなあって。不思議な気持ちになりますね。

※編集部補足: 2017年に開催された『ロック・アム・リング』にて、SUM 41がクイーンの代表曲のひとつである「We Will Rock You」のカバーを披露。

やりたいことを貫いた結果、大勢の心を動かした例だと思うんですよね、クイーンは。私も、そういう音楽を作っていきたいですね。だって、今聴いてもまったく古臭さを感じない曲ばっかりじゃないですか。それってちゃんと作ってきた瞬間瞬間でやりたいことだったり、自分たちを貫き通した証でもあるなって。

自分も求められることに応えてきたタイプでもないんで、「なんで自分が音楽を始めたか?」 とか、「何のために歌っているのか?」っていう純粋な気持ちをいつまでも忘れたくない。

音楽に対しても、それ以外の部分でもちゃんと自分を貫いていたいなって思います。そういうクイーンが貫いた美学をカッコ良いなって映画を観て感じたので、自分もそうでありたいですね。

INTERVIEW & TEXT BY ジャガー


映画情報

『ボヘミアン・ラプソディ』
大ヒット上映中
監督:ブライアン・シンガー
製作:グレアム・キング/ジム・ビーチ
音楽総指揮:ブライアン・メイ(クイーン/ギター)/ロジャー・テイラー(クイーン/ドラマー)
出演:ラミ・マレック/ジョセフ・マッゼロ/ベン・ハーディ/グウィリム・リー/ルーシー・ボイントン/マイク・マイヤーズ/アレン・リーチ
配給:20世紀フォックス映画
(C)2018 Twentieth Century Fox

映画『ボヘミアン・ラプソディ』OFFICIAL WEBSITE


ライブ情報

Reol Japan Tour 2018 MADE IN FACTION
11/30(金)東京・Zepp Tokyo

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Reol MADE IN FACTION in KOREA
12/15 (土) 韓国・HONDAE MUVHALL

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Reol MADE IN FACTION in CHINA
[2019年]
01/10(木)中国・広州 Mao live house
01/12(土)中国・上海 Modernsky Lab
01/13(日)中国・北京 Tango live

詳細はこちら


プロフィール

レヲル/1993年11月9日生まれ。シンガーソングライター。自身のアーティスト活動全般をセルフプロデュースする、マルチクリエイター。2012年頃よりインターネットを通じ音楽制作始動。

Reol OFFICIAL WEBSITE


リリース情報

2018.10.17 ON SALE
ALBUM『事実上』
CONNECTONE

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この記事を書いた人

  • ジャガー

    ジャガー

    「M-ON! MUSIC」の編集/ライター/小言を言う係。音楽フリーペーパー「music UP's(現okmusic UP's)」の編集を経て、音楽雑誌「ワッツイン」へ。前身サイト「DAILY MUSIC」 への参加をきっかけにWEBの人になりました。