疑問だらけ。『Mステ ウルトラフェス2018』必然性って……?

知らない人はいないであろう音楽番組『ミュージックステーション』を、音楽ブロガー・レジーが定点観測する連載コラム『月刊 レジーのMステ定点観測』。

9月のMステは通常の1時間プログラム(7日)に加えて、ここ最近の恒例となっている10時間生放送の『ミュージックステーション ウルトラフェス2018』(以下ウルトラフェス)が19日に放送されました。前後編でお届けする今回、まずはそのウルトラフェスはどうだったの? という話題からどうぞ。

 

ウルトラフェス2018総評:“必然性”なき大型音楽番組の未来は?

「なんでダンスがテーマなんですか?」(宇多田ヒカル)

「10時間は長いと思います。勇気をもって今度は8(時間)にしよう」(マツコ・デラックス)

このふたつはいずれも今回のウルトラフェスの中での発言です。

前者は海外に拠点を置く彼女ゆえの素朴な疑問、後者は冗談めかしての発言ではありましたが、ここに今年のウルトラフェスに対する問題提起が集約されていた、といったら大げさでしょうか?

今年で4回目の放送を迎えたウルトラフェス。“ダンス”をテーマとして構成された10時間の中心企画は「この振付が好き ニッポンの名曲BEST50」。

振付にフォーカスしたランキングを発表し、番組ラストでは1位を獲得した星野 源が「恋」を披露。9月に引退した安室奈美恵のMステ全出演回ダイジェストや前述の通り宇多田ヒカルとタモリのマンツーマントーク、「U.S.A.」のヒットを受けて実に21年ぶりのMステ出演となったDA PUMP、「おどるポンポコリン」をB.B.クイーンズと同曲をカバーしているゴールデンボンバー、E-girlsが披露したさくらももこの追悼企画など、平成という年号の終わりも意識した面白いプログラムが複数あったように思います。

いっぽうで、最近のMステお馴染みの“テーマとまるで関係ないことをやる”という悪癖は健在。「ジャニーズメドレー」にバンドで登場した関ジャニ∞(彼らは通常のMステで行われた「ダンススペシャル」にもバンドで出演していました。何か意図があるんでしょうか?)、“高橋 優になりきったファン”がステージ前に並ぶという異様な演出(しかも全員格好が微妙にバラバラでアコギを持ってる人と持ってない人が混在)など、悪い意味での見どころもたくさんありました。

ダンスと掲げるわりには全体としての一貫性は薄く、関係のないコンテンツが続く。“10時間埋めるために何をするか”という発想で番組が作られているのではないか? という意地悪な見方をしてしまいそうになります。

 

大型音楽番組を“やらなければならない理由”とはなんなのか?

実は昨年の当連載においてもウルトラフェスに関しては似たような指摘をさせていただいていました。

今回のウルトラフェスが直面した「間延び」という問題は、今では各テレビ局ですっかり定番化した大型音楽番組すべてが抱えている課題です。長々と歌番組をやるということ自体の目新しさはもはやなくなり、コラボ企画に関しても当初より当たり外れが多くなっているように思います。おそらくウルトラFESは来年以降も続いていくと思いますが、次回こそはMステらしいやり方でマンネリを打破してほしいです。

『ミュージックステーション ウルトラFES 2017』、開始3年目でぶち当たった「長尺歌番組の壁」
(2017.10.11 M-ON! MUSIC 掲載)

結局のところ、今年のウルトラフェスにおいても、これとまったく同じ話をせざるを得ません。そしてこの問題はウルトラフェスのみならず、“長時間ぶち抜きで音楽番組をやる”というフォーマットのみが目的化しつつある他局の同種の番組に対しても言えることです。

この手の歌番組が各局で乱立する現在の状況は、元を辿れば「東日本大震災後の日本を励ます」という名目から始まったものでした。そういったルーツから鑑みれば、放送直前に起こった西日本の台風被害や北海道で起きた地震に対する何かしらのアプローチなどがもう少しあっても良かったと思うのですが……ゆずがトークで「自然災害で大変な思いをされている方にエールを送る気持ちで歌う」と言及していたのはさすがでした。

まがりなりにも社会的意義を背負って広まっていったものだからこそ、「大型音楽番組を“やらなければならない理由”とはなんなのか?」ということを再度考え直すタイミングに来ているのではないかと思います。

[後編]では、そのウルトラフェスでのパフォーマンスやついに松井珠理奈が復活したAKB48の話題などに触れたいと思います。10月12日(金)日の配信をお待ちください!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)

【2018年9月7日放送分 出演アーティスト「ウルトラフェス2018」】
きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」「キズナミ」
西野カナ「Bedtime Story」
CNCO「恋のレゲトン・レント」
sumika「ファンファーレ」
AKB48「センチメンタルトレイン」
NEWS「生きろ」
桐谷健太「海の声」

【2018年9月17日放送分 出演アーティスト「MUSIC STATION 2時間SP」】
嵐「Troublemaker」「Love so sweet」「truth」
E-girls「E.G. SPECIAL DANCE MIX ごめんなさいのKissing You~Highschool ♡ love~Anniversary!!~Show Time~DANCE WITH ME NOW!」
イル・ディーヴォ「故郷」
宇多田ヒカル「誓い」
AKB48「365日の紙飛行機」「恋するフォーチュンクッキー」
A.B.C-Z「テレパシーOne! Two!」
荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」
KAT-TUN「Real Face#2」
関ジャニ∞「ズッコケ男道」
キアラ・セトル×登美丘高校ダンス部「This Is Me」
Kis-My-Ft2「アイノビート」
木村カエラ「リルラ リルハ」
きゃりーぱみゅぱみゅ「原宿いやほい」
Kiroro「長い間」
King & Prince「シンデレラガール」
倉木麻衣「渡月橋 ~君 想ふ~」「Love, Day After Tomorrow」
劇団四季ミュージカル『キャッツ』「ラム・タム・タガー~つっぱり猫」「メモリー」他
CHEMISTRY「Wings of Words」
欅坂46「二人セゾン」「語るなら未来を…」「サイレントマジョリティー」
郷ひろみ「GOLDFINGER ’99」
ゴールデンボンバー「女々しくて」
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「100degrees」
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「R.Y.U.S.E.I.」
GENERATIONS from EXILE TRIBE「AGEHA」「Y.M.C.A. 」
島袋寛子+フェアリーズ「Body & Soul」
ジャニーズWEST「ええじゃないか」
ジャニーズミュージカル「JOHNNYS’ mini IsLAND」東山紀之・King & Prince・ジャニーズJr.
水曜日のカンパネラ「一休さん」
スキマスイッチ「ガラナ」
SEKAI NO OWARI「RAIN」
Sexy Zone「ぎゅっと」
高嶋ちさ子 12人のヴァイオリニスト「天国と地獄」
高橋 優「虹」
DA PUMP「U.S.A.」
ダン・バラン(O-Zone)「恋のマイアヒ」
TRF「EZ DO DANCE」
電気グルーヴ「Fallin’ Down」「Shangri-La」
東京スカパラダイスオーケストラ feat.さかなクン&白石麻衣「銀河と迷路」「Paradise Has No Border」
TWICE「Candy Pop」「TT -Japanese ver.-」
夏川りみ「涙そうそう」
西野カナ「パッ」
NEWS「チャンカパーナ」
乃木坂46「何度目の青空か?」「シンクロニシティ」
野宮真貴「東京は夜の七時」
Perfume「FLASH」
B.B.クィーンズ「おどるポンポコリン」
BEGIN「笑顔のまんま」
ピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン ~カナブンブーンデモエビインビン」
V6「愛なんだ」
Hey! Say! JUMP「Come On A My House」
星野 源「恋」「アイデア」
松平 健「マツケンサンバⅡ」
三浦大知「Cry & Fight」「Look what you did」「(RE)PLAY」「EXCITE」
宮沢和史「島唄」
ももいろクローバーZ「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」
ゆず「虹」
YOSHIKI feat.HYDE「Red Swan」
LiSA「DESIRE -情熱-」
Little Glee Monster「だから、ひとりじゃない」「Dancing Queen」
RADIO FISH「PERFECT HUMAN」
WANIMA「シグナル」

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