ツッコミどころ満載だけど、愛嬌があるB級感。『ザ・プレデター』をアーティストがガチ観賞してきた

邦ロック界で一二を争う映画論客とも言われるBase Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載『みんなの映画部』。

今回は超強力凶暴な戦闘型宇宙人・プレデターが登場するSFアクション最新作『ザ・プレデター』。難しい理屈不要で無邪気に観賞してきました。チャットモンチー解散後の福岡晃子は久しぶりの参加です。

みんなの映画部 活動第47回[後編]
ザ・プレデター
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子

小出部長が『プレデター』の
トラウマを語った[前編]はこちら

『ザ・プレデター』は細かくツッコミ出すとキリのない映画だが……

小出 まあ、細かくツッコミ出すとキリのない映画ではあるよね。人を殺す描写に関して言うとさ、ローリー少年(ジェイコブ・トレンブレイ)がプレデターのマスクかぶってるシーンがあるじゃん。

そこで、彼に石を投げてきたヤンキーを、プレデターのマスクが反射で撃ち抜いて家も爆破。「うわっ、あの子が人殺しちゃったみたいになってるじゃん!」と思って。これはブラックなのか、いけると思ったのか、何も考えてないのか。

福岡 死ななくてもいい人いっぱい死んじゃってたよ。プレデター1号は人類への目的があるのに、特に何もしてない警備員とか殺しまくってるし。クイン(ボイド・ホルブルック)は自分の子供の前でバンバン人撃ってたからね。

小出 僕は主人公の兵士チームの仲間たちが、誰も死なないといいなと思って観てたのよ。その空気出してたから、みんな生き残って、笑いながらプレデター追い払ってくれたらいいなと思ってたら、結局こうなるんかい! と。

──見事なくらい人命大安売りの映画だよね(笑)。

小出 だいたい誰がいつ死んだのかもよくわかんないところが多いんだよね、描写が早すぎて。

福岡 なんならもう敵味方の区別すらよくわかんなかった(笑)。

 

ご飯をおごってあげたくなる愛嬌ある後輩のような作品

小出 まだまだあって、宇宙船が飛び始めたら、とりあえず飛びつくじゃん。あのさ、宇宙船が出てくる映画って、あのシーン絶対なきゃいけないの?(笑)。

福岡 たしかにめっちゃお約束やな。

小出 『天空の城ラピュタ』(1986年)からずっと思ってたんだけど(笑)。船が飛んで、加速する時に傾いて振り落とされそうになって、外壁の溝に指引っかけてふんばってさ。

しかも3人連なってね。どんな鍛え方してんだよ! 『SASUKE』制覇できるよ! で、それを敵側はどうするのかなって思ったら、船の表面にバリアを張って、ズサァー! となぎ倒しにかかってくるという。

福岡 バリアの上にさ、黒人の人が乗っかってたじゃん。ツルツルって滑っちゃうのかなと思ったら、結構乗りこなせてる。

小出 バリアの溝に指引っかけてね。

福岡 バリアの溝(笑)。

小出 超高度な技術があるのに、バリアの端には遊びがあるっていう(笑)。それに気づく主人公たち。表面も大事だけど、エンジンは死守だろ! っていう。

福岡 たしかに。設定もそうやけど、登場人物たちの行動原理がいちいちわからんからな。

小出 最終的には、エンジン部分に捨て身で飛び込んで、命と引き換えに船を落とすって力技に出るんだよね。それもさ、25年前の手口だよね。

──古いよね~。バードストライクと一緒だから発想が。

小出 あははは。近年の映画じゃなかなか観ない描写ばっかり。

福岡 こういう話ができるから、やっぱり大勢で観たほうがいいんじゃないですかね、ひとりで観るより。あの生物学者のヒロイン(オリヴィア・マン)もおかしいよね。麻酔みたいなやつ、自分に刺さってたじゃん。あの後普通に走れてましたよ。

小出 なんか体に作用するのかなと思ったら、ただ痛かっただけ(笑)。画びょう踏んじゃったくらいの。

福岡 なんだかんだ言いつつ、結局楽しい(笑)。この映画はこういう大雑把さが味なんだよね。背脂多めのラーメンみたい。

小出 だね。設定の雑さとか話のどうでもよさとか、話の進む速度と、描写のインフレの進行度が釣り合ってないとか、いちいち妙に面白い。良く出来てる! っていうわけじゃなくても愛嬌があるから、呑みに連れて行ってあげたくなる。

福岡 あははは。

小出 『ザ・プレデター』は面倒見ちゃうよね。ちょっと出来の悪いおバカなところがあるんだけど、お腹いっぱいにさせてあげたい後輩みたいな。「大丈夫? お前、飯食えてんの? 飯行くか。おかわりしろよ?」とか言って。でも『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』(活動第27回参照)、お前はダメだ。

──説教しちゃう。「お前の悪いところはだな……」っていう。

小出 全然愛嬌がないんですよね。『ザ・プレデター』はかわいい。ちゃんと出世すると思う。愛嬌って大事だね(笑)。

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)

小出部長の私服が最高でした。そのTシャツどこで買ったんすか?


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