40年目にして最強なサザンオールスターズ。ポイントは“受け入れる姿勢”【ライブオトネタ】

【ライブオトネタ】
サザンオールスターズ

サザンオールスターズ、40年の時を経た今

ライブ序盤のMCにて、デビュー当時を述懐して「浮いていた」と笑う桑田佳祐。“異色”、ともすれば“色物”として扱われた事もあるこのバンドは、40年の時を経て日本のポップミュージックのど真ん中に鎮座するようになりました。

6月にNHKホールで行われたサザンオールスターズの『サザンオールスターズ キックオフライブ 2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」』。本来ならアリーナやドームを難なく埋められる彼らがいつもよりも小さいホール規模でのライブを行うということで、開演前から会場内の熱気は凄まじいものがありました。そして、ライブのスタートを告げるアナウンスが実は元NHKアナウンサーの有働由美子によるものだったといういきなりのサプライズで、オーディエンスの興奮はいきなり最高潮に達します。

セットリストの随所で見せる“両極端の振れ幅”

1978年リリースのデビューアルバム『熱い胸騒ぎ』に収録されている「茅ケ崎に背を向けて」で幕を開けたこの日のライブは、そこから「女呼んでブギ」「いとしのエリー」という初期楽曲が連なる流れへ。ヤケクソ感のある雰囲気で“女 呼んで もんで 抱いて いい気持ち”と歌う、とにかく下世話な「女呼んでブギ」と日本のポップスの歴史の中でも屈指の美しさを誇る「いとしのエリー」。この両極端の振れ幅こそがこのバンドの真骨頂です。

以降も、センチメンタルなメロディと力強いバンドアンサンブルの組み合わせがまさにサザン節とも言うべき「せつない胸に風が吹いてた」と何とも言えない不気味なムードが漂う「愛の言霊(ことだま) 〜Spiritual Message〜」(桑田佳祐のソロ楽曲「ヨシ子さん」の影響か、パフォーマンスの妖しさが増していました)、原由子ボーカルが醸し出す湿った雰囲気の「私はピアノ」と現代社会を生きる人々を鼓舞する新曲「闘う戦士たちへ愛を込めて」など、セットリストの随所で“両極端の振れ幅”を見せてくれたこの日のサザン。切なくて、パワフルで、エロくて、ピュアで、詩的で、ナンセンスで……あらゆる形容詞を飲み込みながら、彼らは2時間半のショーをあっと言う間に駆け抜けていきました。

サザンの“受け入れる姿勢”にグッとくる

楽曲の素晴らしさはライブが始まる前からある意味では保証されていたわけですが、そういった音楽的な魅力に加えてこの日特にグッときたのは、サザンの“受け入れる姿勢”です。

例えば、ライブの中盤には波音のSEがたびたび使われ、「真夏の果実」「太陽は罪な奴」「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」といった夏にまつわる楽曲を多数披露。世間が求めるパブリックイメージに変に反抗することなく、そのうえでサザンにしか作り出せないキラキラした夏の光景を描き出していました。

また、バンドとして40周年を迎える、それと同時に自分たちも年齢を重ねている、という事実に対しても、とても自然体なスタンスが目立ちました。昔話に花を咲かせながら、「(女性で)還暦過ぎても学生みたいなバンドをやっているのは私くらいになったけど、サザンが続く限り頑張ります」(原 由子)「めざせ50周年!」(松田 弘)とここまでのキャリアを受け止めたうえで未来への展望を語る5人の姿は、いつまでも若者でいようと思えば成熟せずにいられる今の時代において“理想的な歳の取り方”に見えます。

まだまだ成長期。“40年目にして最強”な存在

一方で、年寄りは控えめに……なんて殊勝な素振りを見せるかというとそんなことはなくて、本編ラストの「みんなのうた」やこの日最後の楽曲となった「勝手にシンドバッド」では、どんなバンドにも作れないであろう強烈な一体感をNHKホールに呼び込んでいました。“大人として振る舞いつつ、仕事では大人気ないくらいの結果を出す”といった趣だったこの日のサザンの立ち振る舞いは、ポップミュージックを志すすべての人が目指してしかるべきものだ、と断言しても決して言い過ぎではないように思います。

この日のライブを皮切りに、プレミアムアルバム『海のOh, Yeah!!』のリリース、2005年以来となる『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』への出演、そして来春のドームおよびアリーナツアーなど、精力的な活動をスタートしたサザン。本日放送のTBS系音楽特番「音楽の日」にも出演するとのことで要注目です。大ベテランとしての貫禄とフレッシュでエネルギッシュな勢いが同居する今の彼らこそ、“40年目にして最強”なのかもしれません。ここから次の節目となるバンドの50周年に向けて、何を見せてくれるのかとても楽しみです!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)
PHOTO BY 岸田哲平


サザンオールスターズ キックオフライブ 2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」
2018.06.26@東京・NHKホール

SETLIST

01.茅ヶ崎に背を向けて
02.女呼んでブギ
03.いとしのエリー
04.さよならベイビー
05.せつない胸に風が吹いてた
06.愛の言霊 ~Spiritual Message~
07.SEA SIDE WOMAN BLUES
08.汚れた台所(キッチン)
09.My Foreplay Music
10.私はピアノ
11.闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて
12.はっぴいえんど
13.真夏の果実
14.太陽は罪な奴
15.涙の海で抱かれたい ~SEA OF LOVE~
16.栄光の男
17.東京VICTORY
18.ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)
19.匂艶THE NIGHT CLUB
20.HOTEL PACIFIC
21.みんなのうた
[ENCORE]
01.DIRTY OLD MAN~さらば夏よ~
02.LOVE AFFAIR~秘密のデート~
03.ロックンロール・スーパーマン~Rock’n Roll Superman~
04.勝手にシンドバッド


リリース情報

2018.08.01 ON SALE
ALBUM『海のOh, Yeah!!』
タイシタレーベル

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