若者だけのものじゃない!結成20周年を迎えたバンドが起こしたフェスの奇跡

さいたまスーパーアリーナにて、自身と縁深い仲間を集めた一大フェスをやり遂げた、ACIDMAN。本公演が映像化されたことをうけ、運営から携わったという大木伸夫(vo、g)に改めて『ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL“SAI”」』を振り返ってもらった。

【インタビュー】
ACIDMAN

ニワトリを育てていたはずなのに龍になった、くらいの(笑)

──結成20周年の集大成として昨年11月に行われた『ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL“SAI”」』 。今振り返ってみるとどんなフェスでしたか?

大木伸夫 自分の想像をはるかに超えるような素晴らしいフェスになったと思います。出演してくれたバンド、観に来てくれた人たちを含めて、いまだに「素晴らしかったね」と言われるし、奇跡が起きたんだなって。ニワトリを育てていたはずなのに龍になった、くらいの(笑)。

大木伸夫 (vo、g)

佐藤雅俊 (b)

浦山一悟 (ds)

人間が好きだから、ジャンルを問わずいろんなバンドと関わってきた

──ASIAN KUNG-FU GENERATION、ストレイテナー、THE BACK HORNなど同世代のバンドが一堂に会する貴重な機会でもありました。

大木 そうですね。一瞬だけ今をときめく若いバンドも呼んだほうがいいかな”と考えたんですけど、それは自分が目指しているフェスとは違うなとすぐ思って。

アラフォーのバンドばかりのフェスになるけど(笑)、それがウリになると思ったんです。この世代のバンドだけで2万人集められたらカッコ良いじゃないですか。

実際、チケットは即完だったし。皆さんに「ACIDMANにしかできないフェスだよね」と言ってもらったのもうれしかったです。

俺は良い意味で八方美人というか、人間が好きだから、ジャンルを問わずいろんなバンドと関わってきたんですよ。

交流のなかでたくさんの刺激を与え合って、音楽シーンのなかで20年間生き残って。どのバンドが欠けてもこのフェスは成立しなかったし、ヒーローが勢ぞろいする『アベンジャーズ』みたいなものですね。

すごく疲れるんだけど、人に何かをしてあげるのが好き

──フェスの計画、運営も大木さんが中心になって進めたとか。

大木 トータルプロデュースをさせてもらいましたが、たくさんの方に協力していただいたし、そのおかげで想像以上に素晴らしいフェスになりました。

会場の飾りつけ、レイアウトからポスターまで、すべてにアイデアを出させてもらったり、作らせてもらいました。これまでにいろんなフェスに出演させてもらったから、フェスにおいて何が重要かもわかるんですよ。バンドマンが唯一できる音楽以外の仕事は、フェスの運営かもしれない。

──“SAI”を作り上げるうえで、いちばん大事にしていたことは?

大木 まずはアーティストの食事ですね。有名な鮨屋さんに出店していただいたんですけど、そのお店に何回も通って、きちんと筋を通してからお願いしたり。とにかく出演するバンドに気持ち良く演奏してほしかったんですよね。

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自分が出演者側で“ないがしろにされている”という思いをしたこともあって、すごく寂しかったなって。だから、自分たちのフェスに出てくれるバンドには、絶対にそういう気持ちになってほしくなかった。

もちろん、いちばん大事なのはお客さんですけどね。ステージの観やすさ、転換のやり方、会場内の導線、寒さ対策、ごはんエリアの場所などもすごく考えました。

──人をもてなすのが好きなのでしょうね。

大木 うん、それは思いましたね。子供のときから“気ぃ使い”だったし、すごく疲れるんだけど、人に何かをしてあげるのが好きなんだろうなって。

モノを売ることとライブの両軸で活動できるのがいちばん良い

──“SAI”に出演したバンドは当然、ライブが素晴らしいバンドばかり。ACIDMANがデビューしてからの20年で音楽業界はCDビジネスからライブ、エンターテインメントへと移行しましたが、その変化にも完全に適応してますよね。

大木 適応しようと意識していたわけではないんだけど、ライブに重点が移ったことはたしかですよね。俺らがデビューした時はまだ“ライブはCDを売るためのプロモーション”という考え方が残ってたんですよ。

当時、その考えは逆にカルチャーショックだったし、そんな価値観じゃダメだとも思って。当時のインタビューでも「CDビジネスはすぐに終わる。ライブこそが大事」「アーティストは独立すべき。それができない場合はレーベルがマネージメントも兼ねて、360度でケアすべきだ」みたいなことを偉そうに言ってて(笑)。

──実際、その通りになりましたね。

大木 ただ、ACIDMANはレコード会社からの恩恵を受けているので、モノを売ることも諦めてないです。モノを売ることとライブの両軸で活動できるのがいちばん良いと思うので。

本当は始まる前、怖くてたまらない

──もちろん現在も“ライブこそがバンドの生命線”というスタンスですよね?

大木 はい。ただ“ライブがやりたくてたまらない”というタイプでもないんです。ライブはすごく大事だし、ステージの上で感動して泣くこともあるんだけど……本当は始まる前、怖くてたまらないんですよ。

いつも悩んでるし、できればやりたくないというか……。実際にやったことがないのでわからないですけど、登山やマラソン、格闘技も似た感じじゃないかな? 相手を殴りたくてたまらない人なんて、いないですよね。 戦うのは怖い、でも、強くなりたいという気持ちがあるから挑むというか。

ライブもそれに近いんですよ。エンターテインメントを超えた、すごいものを味わいたいし、味わってもらいたいという欲望があるからライブを続けているんだと思います。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之
PHOTOGRAPHY BY 三吉ツカサ


ライブ情報

ACIDMAN LIVE TOUR “Λ(ラムダ)”
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プロフィール

アシッドマン/大木伸夫 (vo、g)、佐藤雅俊 (b) 、浦山一悟 (ds) 。1997年7月結成。2002年、1stアルバム『創』でメジャーデビュー。

ACIDMAN OFFICIAL WEBSITE


リリース情報

2018.03.28 ON SALE
Blu-ray & DVD『ACIDMAN 20th ANNIVERSARY FILM “SAI”』
Virgin Music

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