床に鼻水垂れるぐらいミュージシャンたちが泣いた、ピクサー最新作『リメンバー・ミー』

活動第42回[前編] 『リメンバー・ミー
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、世武裕子、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)

バンド界で一二を争う映画論客とも言われるBase Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回は大ヒット中のピクサー映画『リメンバー・ミー』を。感想会冒頭から部員全員がテンション高めです……。


右3、左2ぐらいで泣きました

──「みんなの映画部」第42回でございます。思えば当連載でアニメーションをがっつり取り上げるのは初めて! 天下のディズニー/ピクサー最新作です。

小出 奇しくも「42(シニ)」の回で……。

──そう、「死者の国」(メキシコの祭礼「死者の日」に由来する)をモチーフとした『リメンバー・ミー』。恒例の小出部長のひと言からお願いします。

小出 最高でした。みんな観な! 以上です。

レイジ みんな観な。「#みんな観な」付けて。

世武 あはは。

レイジ これは面白かったっす。最高でした。

小出 最高でしたね。以上です。

──それじゃ記事作れないよ!

小出 いや、実は今日ねテンションが低かったんですよ。昨日全然寝てなくて、さっき事務所で1時間半ぐらい仮眠してきたくらい。だから正直、映画2時間近くもちゃんと観てられるか? と思ってたんですけど。

レイジ それ、家でホラービデオ観てたんじゃないですか?

小出 違うよ!(笑) 制作だって。それがまあね、フタを開けてみたらきっちり泣かされましたから。まあ泣いた!

レイジ 俺も泣きました~。

小出 おっ、やっぱり?

世武 私も泣きました。珍しく泣いた、ほんとに。

レイジ 床に鼻水垂れるぐらい泣いた。だから今鼻クソほじってます(笑)。

小出 じゃあもう、言わずもがなですよね。このメンツが泣くぐらいですよ。クライマックスから最後の主題歌で涙ボロボロ。右3、左2ぐらいで泣きました。

──なんでバラバラなんだ(笑)。

レイジ 俺も右多めでした。

小出 右多めだったね。

世武 感性のね。

レイジ 右脳から。絞られた雫が。

──自己実現の夢か、それとも家族の絆か、っていうのが最初に置かれるテーマなんですよね。主人公の少年ミゲルのご先祖様はミュージシャンなんだけど、家族を捨てて音楽の道に進んじゃったので、ミゲルの一家では代々音楽を厳しく禁止にしているっていう。

小出 とても良い設定だと思いましたよ。「夢か仕事か」じゃないけど、夢を天秤にかけるような選択を迫られるバンドマンは多いわけで。いや、むしろ、すべての夢見る人に起こり得ることだろうね。

レイジ しかも結構、先の読めない展開でしたよね?

小出 そうなんだよ。大変無駄のない構成でしたね。

レイジ こんなにぶっ飛んだ話なのにツッコミどころがないし、ほどよいサスペンス要素もあるし。

世武 よくできてるよね。リアルな共感もできるし、ファンタジーとしてもエモいし。

小出 王道にして、お手本のような作品だったと思う。

 

 

運指見て、何を弾いてるのかがわかるアニメ映画は初めて

小出 もはや、良すぎて話したいことなんて全っ然ないんだけど、一応本業の音楽のところでいえば、ギターを弾くシーンが完璧でしたね。

──指使いとかめっちゃアップで映してるけど。

小出 運指見て、ここまで何を弾いてるのかがわかるアニメ映画は初めて観ましたよ。

世武 そこらへんも自信があるから、あんなアップにしてるんだろうね。ぬかりないですよ。

レイジ でもミュージシャン的な観点からして唯一揚げ足をとるなら、チューニングが合いすぎ(笑)。

小出 あはははは。

世武 そこはね(笑)。

レイジ 手作りのギターを無造作にパッて取って、いきなり弾き出してるのにチューニングばっちり合ってるんだもん(笑)。もしあそこで少しでも音がズレてたら、さらにすげえ! となるところだけど。

小出 でも逆に、どんな状態でもチューニングをばっちり合わせられるぐらい耳も天才じゃねえのっていう。押弦の力加減でも調節してたりさ。

世武 うん、そういうことなんじゃないの? 楽器うんぬんとかじゃない、みたいな。

レイジ たしかに。

──良い映画ってみんな勝手にポジティブな解釈してくれるよね(笑)。

世武 あはははは。前向きにね。

レイジ 画に説得力があるというか。

小出 あと序盤っていうか、ミゲルくんがテレビに合わせて弾いてる曲とかは、きっと往年の名曲なわけだよね。だからなのか、コードの使い方がシンプルなんだよ。D→E→Aとか。

ところが主題歌であり物語の重要なカギにもなる楽曲「リメンバー・ミー」になったとたんに、まあコードが細かくなる。テンション(コード)いっぱい入ってるね~ってなった。

レイジ あの曲だけ、往年の名曲の作りではない。難解にした感じもリアルですよね。

小出 コードの使い方が現代的なんだよね。あれから何十年経って、ポップスの作り方が出来上がったあとのような使い方。それはもしかすると「主題歌である」っていう事情からそうなっちゃったのかもしれないけど、それがまた“作曲者”の天才性を表現しているかのようで感心したなぁ。

それプラス、「名曲は時代を超える」みたいなことも表現されているのかなと。あの時代、他の曲と並べてみた時に、あの曲は楽曲構造が斬新すぎた。だからこそ何十年もの時を超えて、今でも現代的に聴こえる。

つまり「リメンバー・ミー」は“残る曲”として作られてるんだよ。って、考えれば考えるほどすごいわ(笑)。

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)

観賞を終え、良作だったことでいつもより足取りが軽い3人。道中で感想を話したい気持ちを抑えつつ、淡々と感想会会場(ファミレス)まで歩くのが暗黙ルールに。

[後編]へ続く

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