これでいいのか?バラエティ化する「ミュージックステーション」

音楽ブロガーとして活動し、初の著書『夏フェス革命 -音楽が変わる、社会が変わる』を上梓したばかりのレジーが、「ミュージックステーション」の放送内容を基に最新のJ-POP事情についてお届けする連載「月刊 レジーのMステ定点観測」。

[前編]では清水翔太、WANIMA、乃木坂46についてお届けしましたが、[後編]はこちらの話題からどうぞ。

ボーカル選抜とのことでしたが:AKB48

26日に出演していたAKB48。いつもは20人近い人数で登場することが多い彼女たちですが、この日スタジオに現れたのは何とたったの8人(と言っても多めではありますが)。

グループ外でソロシンガーとしても活動する柏木由紀や山本 彩、先日ソロコンサートも行った横山由依や岡田奈々、ミュージカルでの活動も知られている田野優花などによる今回のユニットは、歌唱力に定評のある「ボーカル選抜」とのこと。

自分たちでそういうことを言うのも勇気あるな……と思って見ていましたが、それはメンバー当人たちも感じていたようで、番組からの紹介に対して「ハードルを上げないでほしい」と恐縮しきりでした。

この日披露されたのは、昨年リリースされたシングル「11月のアンクレット」のカップリング曲「予想外のストーリー」。90年代のJ-POP感のある懐かしい雰囲気の楽曲です(少し前から盛り上がっている「シティポップ」的なムーブメントを意識したものでしょうか)。

いつもとは違って生歌でのパフォーマンス、その歌唱力で視聴者を圧倒、というのが狙いだったのかもしれませんが……基本的に48グループに対しては好意的な自分にとっても、残念ながらそこまでのものにはなっていなかったように思います。

柏木由紀や山本 彩といったメンバーの歌唱力はその辺の女性シンガーをはるかに上回るものだと思いますが、そういった実力ががっつり発揮されたものには残念ながらなっていなかったように感じました(メロディラインがシンプルでない、それぞれの得意なキーと合っていない、など楽曲の問題もあるのでは?)。

チーム8の小田えりななど、知名度とは関係ないところで「本当に歌がうまいメンバー」を選べばまた結果は違ったと思うのですが、このあたりはなかなか難しいところです。

ただ、こういう個々の実力がクリアにわかるような取り組みはグループにとって有意義だと思いますし、仮に一時的に非難を浴びたとしてもきっとパフォーマンスの底上げに繋がるはずなので、ぜひまた同じようなことをやってほしいと思いました。

グローバル・ミュージックステーション:フランツ・フェルディナンド

26日のMステに出演したフランツ・フェルディナンド。スコットランド出身の、世界を代表するロックバンドです。放送日の前日に新木場スタジオコーストでライブがあったこと、また2月にはニューアルバムが発売されることと絡めてのMステ初登場でした。

この日はアルバムの表題曲「Always Ascending」を貫録たっぷりに披露しましたが、パフォーマンス以上に見どころがあったのは演奏前のトークパート。普段外国のアーティストが出演する際には通訳の方が横に座ることが多いのですが、この日はそういった段取りはなし。代わりに、この日出演していたJUJUが流暢な英語で通訳を務めました。

「日本食ではラーメンと餃子が好き」「それ、中華料理ですよ」「そうなの!?」という感じの和やかな会話をスムーズに演出し、その役割を十二分に果たしました。

また、同じくこの日出演していたHey!Say!JUMPの岡本圭人がイギリス留学時代に毎日のように彼らの音楽を聴いていたこと、共演できてうれしいことを直接英語で伝えるなど、普段はあまりない「英語が飛び交うMステ」というシチュエーションが出来上がっていました。

2月のMステには元フィフス・ハーモニーのカミラ・カベロの出演も決定。「グローバル」が今年のMステのひとつのキーワードになる?

番組企画について、今年も苦言を……

フランツ・フェルディナンドを基点にして珍しいMステの形が見られて面白かった1月ですが、以前からこちらの連載で何度かチクチク書いている通り、トータルの企画としては昨年後半から気になっている「バラエティ化」「生パフォーマンスの位置付けの後退」が2回の放送どちらにおいても顕著でした。

2017年が終わっても相変わらず「高校生のダンスパフォーマンス」に頼った12日、一般人のコメントVTRがやたらと長い26日、どちらも「生放送でアーティストがパフォーマンスをすること、それこそがMステである」というこれまでの番組のあり方とは対立するものでした。

今は「新しいMステのあり方」を模索している最中ということだと思うのでいろいろなトライ&エラーを繰り返して然るべきだと思いますが、いちMステファンとしては、番組の本分が崩れていかないかについては微力ながら意見を発信していきたいところです。

次回のMステ定点観測は星野源の新曲「ドラえもん」に注目していきたいです。それでは来月もよろしくお願いいたします!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)

 

【2018年1月12日放送分 出演アーティスト】
Little Glee Monster「Jupiter」「だから、ひとりじゃない」
NEWS「LPS」
WANIMA「シグナル」
乃木坂46「いつかできるから今日できる」
コブクロ「君という名の翼」
GENERATIONS from EXILE TRIBE「ALRIGHT! ALRIGHT!」「AGEHA」

【2018年1月26日放送分 出演アーティスト】
E-girls「あいしてると言ってよかった」
Hey! Say! JUMP「マエヲムケ」
フランツ・フェルディナンド「Always Ascending」
AKB48「予想外のストーリー」
JUJU「東京」
清水翔太「My Boo」

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事を書いた人