『ミュージックステーション』の企画はこれでいいのか。僕は“この番組ならではのもの”を期待している

音楽ブロガー・レジーが、『ミュージックステーション』の放送内容を基に最新のJ-POP事情についてお届けする連載「月刊 レジーのMステ定点観測」。10月のMステは、なんと2時間スペシャルの1回のみ(13日)のみという超イレギュラーケースでした。というわけで今月はこの放送の模様についてお届けします。

 

2時間スペシャルの出演者についてざーっと

この日出演したのは全7組のアーティスト。どんな様子だったかをざっと振り返っていきたいと思います。

最初に登場したのはSexy Zone。この日のトークでは、菊池風磨のお父さんが嵐のデビュー曲「A・RA・SHI」の作詞をしたというエピソードが披露されました(「A・RA・SHI」の作詞は菊池常利。この曲ではJ&T名義)。

ジャニーズというのは先輩グループから後輩グループにいろいろな文化が継承されていくのが特徴ですが、親子2代でジャニーズに関わるという形(Hey! Say! JUMPの岡本圭人もこのケースです)はこの先もっと増えてくるかもしれません。

新曲の「ぎゅっと」は、“セクシー”というより“キュート”“ハートウォーミング”という感じの一曲で、人懐こい雰囲気からはグループの間口をさらに広げそうな予感を感じます。個人的にはSMAPの「君は君だよ」的な温かさと切なさがあるように思いました。一緒にパフォーマンスしたジャニーズJr.の面々も楽しそうです。

Sexy Zoneに続けてパフォーマンスしたのはデビュー10年目を迎えた西野カナ。タモリも「10年目だ! 早いねえ……」と感慨深そうに述べていましたが、若い女子のカリスマも今では立派なベテランシンガーです。新曲「手をつなぐ理由」は、歌詞を伝えるためにシンプルなアレンジを施したとのこと。童謡っぽい和風なメロディが印象的です。

乃木坂46のトークパートでスポットが当てられたのは、センターの重圧に苦しむ西野七瀬がちあきなおみ「喝采」に励まされてきたというエピソード。「コーヒーのCMで好きになって、新幹線の中で聴いている」と一生懸命話す姿からは、この曲が本当に好きという空気が伝わってきます。

この日披露された新曲「いつかできるから今日できる」は、ザ・乃木坂とでも言うべき清楚なダンスナンバー。この日は映画『あさひなぐ』(この曲が主題歌です)にちなんでなぎなたの袴を着てのパフォーマンスとなりましたが、個人的には衛藤美彩の美しさと卒業が決まった伊藤万理華の躍動感溢れる表情に目がいきました。

高橋 優はドラマ『オトナ高校』の主題歌「ルポルタージュ」を披露するということで、ドラマに出演する三浦春馬、黒木メイサ、高橋克実がトークに登場。最近のMステではあまり記憶にない露骨な番宣で少し面食らいました。

社会風刺を交えた歌詞を硬質なバンドサウンドとアコギの組み合わせで聴かせる「ルポルタージュ」は、往年の“デジロック”という感じでちょっと懐かしい匂いがしました。

この日のMステのひとつの目玉だったのが、続いて登場した東方神起。兵役が終わって活動再開後のテレビ初登場ということで、代表曲「Why?(Keep Your Head Down)」を5年半ぶりに披露しました。

トークパートでは、「久しぶりに日本語しゃべってる?」というタモリの投げかけに対して「日本語を忘れないように、たまに日本語で日記を書いていた」という地道な努力を明かしていました。K-POPが海外市場にどんどん進出していく背景にある各アーティストの頑張りの一端を垣間見た感じがしました。

ソロとしてMステ初出演となったのがEXILE TAKAHIRO。今回の楽曲は自身作詞のラブソング「Eternal Love」。「意外と最近ラブソングをEXILEで歌っていなかった」というトークの流れで飛び出した「(ラブソングを)本能的に歌いたくなった」という独特な言葉遣いがとてもインパクトありました。

番組ラストに登場したのは嵐。トークではこの日披露する「「未完」」について相葉雅紀が「いろんなジャンルが混ざっていてまとまりのない曲」というなんとも言えない説明をしてしまい、みんなに失笑されていました。たしかに展開がコロコロと変わるユニークな楽曲ではあります。途中挿入されるサクラップも例によって良かったです。

今、CDセールスを軸にした企画をやることへの違和感

この日の放送では、ゲストパフォーマンス以外に「1番売れたアーティストは誰だ?21世紀J-POPヒストリー」という企画がかなりの時間を割いて行われました。2001年以降のJ-POPの名場面を振り返りながら各年のCDセールスを積み上げていき、「今世紀で一番CDを売っているのは誰か?」というのを明らかにするというものです。

大物アーティストの過去のMステ出演時の映像など見どころはあるにはありましたが、個人的には「いくらなんでもポイントを外しすぎているのでは……?」と思ってしまいました。「CDの売上を追うだけでは音楽シーンのことはわからない」と言われるようになって久しいですが、そんなタイミングでいきなり売上ランキングを延々引っ張られても……とかなり冷めてしまいました。

「AKB48がぶっちぎりの1位!」と言われても、この時代にだからどうしたという感じです。そういう意味で、男性1位になった嵐の面々(CDが売れづらい時代でもジャニーズのパッケージは引き続き好調です)が「え、ミスチルさんとかじゃないの……?」という感じで困惑していたのには救われた気分がしました。

前回の当連載でもウルトラフェスについて少し辛口に語りましたが、Mステの企画には“この番組ならではのもの”を期待したいです。老舗歌番組のこの番組こそ、ある意味ではJ-POPの本丸。Mステが退屈ならば、それは「J-POPが退屈」と近しい意味を持つと言っても決して過言ではありません。さすがMステ! というものをまた観せてほしいと心から願っています。

 

次回のMステは11月3日(金)。すでに各所で話題を呼んでいる欅坂46「風に吹かれても」に注目です。それでは次回もよろしくお願いいたします!

TEXTBY レジー(音楽ブロガー/ライター)

 

【2017年10月13日放送分 『MUSIC STATION 2時間SP』出演アーティスト】
Sexy Zone「ぎゅっと」
西野カナ「手をつなぐ理由」
乃木坂46「いつかできるから今日できる」
高橋 優「ルポルタージュ」
東方神起「Why?(Keep Your Head Down)」
EXILE TAKAHIRO「Eternal Love」
嵐「Song for you」「「未完」」

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