マーベルを愛するアーティストが『スパイダーマン』新作を観に行ったら、その後盛り上がりすぎて終電を逃した

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回は大ヒット中の『スパイダーマン』新作。マーベルはマンガもしっかり読み込むほどの小出部長とハマ・オカモトが、マーベル素人の福岡とレイジの前でしゃべりまくり!

活動第37回[前編]『スパイダーマン:ホームカミング
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)

近年のマーベル・シネマティック・ユニバースでいちばん素直に楽しめました

──「みんなの映画部」第37回目。今回は久々にハマくんが参加しております!

一同 (拍手)

ハマ 恐縮です!

小出 君がいない間にもうだいぶ進んでますよ。だって今年はまだ来てなかったもんね?

レイジ そうだ、昨年末のJ-WAVE特番(活動第31回 特別編)が最後じゃない?

福岡 あけましておめでとうございます(笑)。

──祝・ハマカミング(笑)。というわけで、今回はまたまた再始動した「新スパイダーマン」一発目の『スパイダーマン:ホームカミング』です。まずは小出部長から恒例のひと言をお願いします。

小出 面白かった。近年のマーベル・シネマティック・ユニバース(編註:マーベル・スタジオによるアメコミ・ヒーロー映画のシリーズで、すべて同一の世界観で繋がっている構成。一本の映画に他作品のキャラクターが登場する)のなかでいちばん素直に楽しめましたよ。「フェイズ3」(第三章)に入ってからでは間違いなくいちばん好きかな。

ハマ おぉ! それは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年/活動第25回参照)以降ということですか?

小出 うん。『シビル・ウォー』はすごい良かったんだけどさ。最近の『ドクター・ストレンジ』(2016年)と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年)は、面白かったけど正直、長くも感じちゃってて。

ハマ 上映時間の話ですね。だんだん『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ監督のようになってました(笑)。

小出 そうそう。話のスケールも尺も膨らみがちで、てんこ盛りのギャクもその緩和剤なんだろうなとか考えちゃって。そこからすると今回の『スパイダーマン:ホームカミング』は、青春モノっていうタイトなスケール感でしょ? この設定でもう勝ちだなって。

──尺自体は133分だから長いことは長いんですけど、語りは効率的で上手いですよね。

小出 効率と言えば、またベンおじさん(両親を亡くした主人公ピーター・パーカーを育ててくれた叔父)のくだりから始まるのかなと若干構えてたんですけど、そのへんの因縁話をすっぱりカットしちゃっててね。

ハマ 初期設定のぶっ飛ばし方が爽快でした。

小出 なんでピーターがスパイダーマンになったのか、みんなはもう知ってるよね!? みたいな(笑)。特殊なクモに噛まれて超人能力が身に付いたってことに関しても、劇中での説明は最小限。「俺もそのクモに噛まれてぇなぁ、もういねぇの?」「死んだ」とか(笑)。その処理が最高だなと思って。

──詳しく知りたい方はググってください、と。

小出 そうそう。恒例の「大いなる力には、大いなる責任が伴う」も言わないし。ぜーんぶすっ飛ばして、本人がヒーロー活動したくてうずうずしてるところから始まるっていう(笑)。余計な説明がなくて気持ち良かった。この判断、絶対正解だと思うんですよね。

キャスティングもめっちゃええやん

レイジ 実際、俺は(前提の情報とか)ほとんど知らないけど、別に曇りもなかったっていうか。「これ、どういうことなんだろう?」という引っかかりもなく楽しめました。

ハマ ほぼなかったね。

レイジ 逆に言うと、スパイダーマンがなんでああなっているかということを、まったく知らない人はこの世にいない状態なのかも。

小出 少なくとも映画館に来る人たちはなんとなくわかってるよね。あっこはどうだった?

福岡 めっちゃ面白かった! 前に映画部で観に行ったスパイダーマン(前のシリーズの2014年作品『アメイジング・スパイダーマン2』/活動第2回参照)より好きになったかもしれない。キャスティングもめっちゃええやん。

ハマ ピーター役のトム・ホランドとかすごすぎ。

小出 すげえ良いよね。あと素晴らしいのは、やっぱり悪役のマイケル・キートンですよ。バットマンこと、バードマンこと、バルチャー(笑)。

──ティム・バートン監督の『バットマン』シリーズ(1989年~1992年)で主人公バットマンを演じ、アカデミー賞作品『バードマン あるいは(無知がよたらす予期せぬ奇跡)』(2014年)では架空のヒーロー、バードマン役をかつて演じた落ち目の俳優役に扮したキートンさん。それが今回の鳥男バルチャーに繋がっている(笑)。

レイジ あと、このあいだ日本公開された『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016年)も良かった。俺、最近マイケル・キートンがすごい好きです。なんだ、あの顔! って。

ハマ しわくちゃで。

レイジ 顔だけで怪優・名優っていう。あと俺が気になったポイントとしては、冒頭と最後、ラモーンズの「ブリッツクリーグ・バップ」(邦題「電撃バップ」)が主題歌的に流れるところで。ものすごく音悪いなと思いました(笑)。

小出 あははは!

ハマ ハンパなく悪いよね!

レイジ 結構最近映画でよく使われるじゃないですか、70年代の往年のロックのヒット曲。そのなかでも史上最悪でしたね、音(笑)。いや、だからこそ最高だった。

小出 今の映画館の最新スピーカーシステムで聴く必要がまったくないよね(笑)。

レイジ 本当にそう思います。でもラモーンズは、やっぱりニューヨークのクイーンズの名物バンドなので、クイーンズが舞台の『スパイダーマン』でようやく使われたのはうれしかったです。

ちなみにラモーンズは「スパイダーマンのテーマ」(1967年に放送されたスパイダーマン初のアニメシリーズのテーマソング)のカバーもやってますけども。

小出 そうだね。

ハマ サントラのスコアで「スパイダーマンのテーマ」をアレンジしているのも良かったです。こういうの、過去の旧シリーズでやってましたっけ?

小出 いや、やってないと思う。

──サム・ライミ監督の『スパイダーマン2』(2004年)ではストリートミュージシャンが歌っていたり、『アメイジング・スパイダーマン2』ではピーターの口笛とか着信音で使われていたりと、オマージュ的な使い方にとどまっていたと思います。

小出 なるほど。

TEXT BY 森 直人(映画評論家/ライター)

歌舞伎町が似合わない4人。終演後、感想会へ。ハマくんの久しぶりの参加もあってか話が尽きず、終電を逃すのであった……。

突如、小出部長が泣ける思春期話を始める[後編]は8月31日(木)配信予定

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