OKAMOTO’Sが脱オタクで臨んだアルバム(!?) 少年から青年へ、歳を重ねて思うこと

OKAMOTO’S

“NO MORE MUSIC”という衝撃的なタイトルでも話題となった、OKAMOTO’S最新アルバム。各プレイヤーのスキルの高さや音楽玄人の耳を刺激する楽曲で熱い支持を得てきた彼らだが、そんな彼らだからこその悩みもあったという。

今回はアルバム制作の経緯から、OKAMOTO’Sの現在のモードについて、オカモトショウ(vo)、オカモトコウキ(g)に語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 岡本 明


俺たちが26~27歳の青年になってきた感じというか

──今回のアルバム『NO MORE MUSIC』ですけれど、これまでにないあらたな面が表れていて、バンドにとってのターニングポイントという気がしましたけど?

オカモトショウ 10代でデビューしてからずっと俺たちの好きな音楽や、やっていることがそれほど広がらないし、伝わらないという葛藤を持っていました。それを『OPERA』で一度出し切った感じがして、今回は改めて1stアルバムを作ったような気持ちもあるので、ターニングポイントというはまさにそうですね。サウンド、音の質感、歌い方、いろいろなところを見直して作り上げました。

──いろんな要素を詰め込むのではなくて、やりたいことがよく見える仕上がりというか。

ショウ まさに! ダビングをほとんどしませんでした。以前はやりたいことが多かったので詰め込んでダビングして、迫力を出すことが多かったのですが、今回そうはならなかった。たぶん、全都道府県ツアーを回ったのが大きいと思います。

オカモトコウキ たしかに鍛えられました。ここ最近作る曲はダビングが減っていっていたのですが、今回は本当に顕著です。

──“弾ける”というよりも、“体が揺れる”感じというか。

ショウ そこはエネルギーの放出の仕方が変わってきたからですね。俺たちが26~27歳の青年になってきた感じというか。大人の余裕が出てきて、肩の力が良い意味で抜け始めました。

あと、ここ1~2年の話になりますが、速いテンポの曲がそれほど求められていない気がして。ライブでやることはあっても、音源を作るときにBPMを遅くするのはOKAMOTO’Sにとって自殺行為のような、やりたいことが伝わらない気がしていました。

でも、振り子のように激しい曲とゆったりした曲、バカっぽい曲とインテリっぽい曲が交互に来るような時代の流れも感じつつ、このぐらいのテンポもありじゃないかと思えるようになりました。

そこはリスナーとしての感覚も大きいです、自分の耳や心が求めているものに従っているので。周りの目を気にしているというより、リスナーとしてこれを今やるのはダサいな、嫌だなという感覚に繋がると思います。

今は違うなと思ったら、後々やればいいじゃんって

──これまで曲の元ネタが透けて見えたり、影響が見えていましたけど、今回は露骨にそういうところがなくて。オリジナリティとして機能している感じがします。

ショウ そんなに意図しているわけではないんです。それでいうと、個人的に曲を書く段階で元ネタは存在していますが、参照する年代が近くなったのかもしれません。自分たちが生まれた年代に近くしてみたいという意識が今回あって。

あと、今まではやりたいと思ったことを全部注ぐクセがあったのですが、今は違うなと思ったら、後々やればいいじゃんという思考にいきついて。そうやってまとまっていきました。

──暗い曲が多いのも特徴ですね。

ショウ そこもノーコンセプトで作っているところで。暗くする気はなかったのですが、気づいたらものすごく暗い(笑)。コウキの書いた「WENDY」は良いメロですけど、切ない。結果、暗い(笑)。

コウキ “虚しみ”があります(笑)。

日常は楽しいですよ(笑)。でも、形にすると暗い

──何が反映してこうなったのでしょうか?

ショウ 人間性じゃないですか? 今回、わざわざ歌にしなくてもいいでしょと思ってきた、自分の日常を歌詞に落とし込んでいることが多くて。いろいろなラッパーの歌などを聴いているとまさにそういうことをやっていて。

今までは、ステージに立つからにはいわゆるスターというか、憧れに近づこうとしていた節がありましたが、最近になってラッパーの歌がリスナーとして胸に響いた部分もあって。じゃあ、俺もやってみようと、ようやく思いました。

なので、自分の当たり前を歌ったら暗くなった。ということは、俺は暗い人間なのかもしれない。いや、日常は楽しいですよ(笑)。でも、形にすると暗い。

──そういう曲が増えたから、歌詞も導かれたのですか?

ショウ 曲自体、マイナーコードが増えたのはカッコ良かったからという単純な理由で。いろいろなカッコ良いがあると思いますが、OKAMOTO‘Sがやってきたカッコ良さは、少し斜に構えたり、歴史的参照点を紐解いていくとカッコ良さがわかったり、ひと癖あるカッコ良さだと思っていて。

でも、そうではなくて、パッと聴いてカッコ良いという感覚が入ってくるようにしたかった。それで個人的に、カッコ良いといえばマイナーコードかな、と。

コウキ 意外にそのぐらいのレベルで作ってます。

ショウ 普通に自分の暗さが出てます。ハードボイルドな感じ、ということにしておきましょうか。

自分たちなりの今の世代のバンドっぽさですね

──それもあって歌い方を変えているんですね。

ショウ まさにそういうことです。7年目にしてようやく経験値も踏まえたうえで、年齢も伴ってきて、叫ばなくても伝わるようになったと思っています。喋るより少し声を張るぐらいのトーンで十分になりました。

──26歳なりの余裕もそうですけど、歌詞、サウンド、歌といろんな要素が今回はリンクしましたね。

ショウ はい。今の26歳の若者が今の時代に作るアルバムを作りたいという気持ちがありました。これまで自分たちがあまりにオタクであるがゆえ、50年代~60年代~70年代の音楽を掘り進めていましたが、それを面白いと感じてくれるのは一部の人ですし。

それを面白いって大々的に打ち出しても、伝わりづらいなと思って。もう少しありきたりな日常を歌にしてみよう、そういうところを意識しました。自分たちなりの今の世代のバンドっぽさというか。

コウキ 等身大です。何も考えずにこの作品が出来たということは、こういう人たちだったんだなという。だから説明が難しくて。

ただ、ここに至るまで、僕たちは様々な音楽をやっていて、なかなか受け入れられなかったり、いろいろな葛藤もあって……ちょっとしんどいなということも多々ありました。そういうたくさんの経験を経たからこそ『NO MORE MUSIC』を完成させることが出来たという気がします。

音楽玄人な面を持ちつつ、でもポピュラーなところにも攻めていきたい

──しんどかったのはいつ頃ですか?

ショウ 最初のアルバム3枚ぐらいの時期は、自分たちに酔ってるんです。

コウキ ナチュラルハイになってるというか。

ショウ それが終わって、一度つらくなって。そこからアルバム2枚ぐらい持ち直して作って、またつらくなって……。『OPERA』を作るぐらいまではつらかったです。あそこで出し切れたのが個人的には大きい。

コウキ わかりやすく何かに属したり、音楽シーンで何者なのかということが表現しづらいバンドだったので。音楽玄人な面を持ちつつ、でもポピュラーなところにも攻めていきたい、その間で悩んだりすることはあります。

ただ、状況は2年前とはだいぶ変わってきているし、無理にアッパーにしなくてもいい。そういったやりやすい環境もあって、周りのみんなもだんだんわかってくれているという感触もある。今はいちばん自然体です。

──気になるアルバムタイトルですが、これは皮肉も込めて?

ショウ 元々(コウキと)ふたりで80曲ぐらいデモを作って、そこからアルバムに向けて10曲ほど選ぶのですが、9割の曲は何にもならず死んでいくんです。それをもう7枚作っていて、自分も含めて曲に愛着を持つのが難しくなってきているというか。

無限に生み出していくからこそ、通り過ぎていく。どうやったら曲に愛着を持てるかということが、長くバンドを続けるために必要なことなんだろうなって思い始めていて。

そうやって、これはもう何にもならないんだろうなと思いながら書いた曲の仮タイトルが「NO MORE MUSIC」でした。今、みんな何を聴いているんだろう? と考える歌詞を当ててみて。いろいろ重なって、このタイトルになりました。

10年で来たら早いほうかもしれない

──今思う、音楽への強い気持ち?

ショウ 俺は音楽好きだけど、みんなはどれだけ好きなんだろう? って。この曲もアルバムに入らないで死んでしまうのかな? という気持ちだったり。

今、テクノロジーの進化によって音楽との距離がすごく近い時代になったと思っていて。データ化された音楽が当たり前になっている。音楽好きには理想郷ですが、ある種のディストピアでもある気がして。曲がありすぎて、入れない。本当にいるの? いらないの? もう、新譜を出すのを一回止めようよ、まだ聴けてないものがたくさんあるよ、ということなんです。

そんな思いを込めて、アルバムとしてまとまった時に、もしかしたらこれが落ち着きどころかもしれないということで、タイトルになりました。

コウキ キャッチーで良いタイトルだと思います。タイトルを見て、どういうことなんだろう? って思うだろうし、『NO MORE MUSIC』と言いながら音楽を作り続ける。そこも不思議で面白い。

──飽和状態だからこそ、本当に好きな音楽を聴きたいという想いですね。

コウキ 飽和状態がわかっていて、それでも出す。逆説的な表明でもあると思います。

ショウ 『WE LOVE MUSIC』というアルバムを出すのがいちばんカッコ良い時代が来てほしいですね。

今それをやるのは的外れだし。でも、それがイケてる時代が来たら、俺たちは絶対やっていると思います。

──10年ぐらいかかるかも?

ショウ 10年で来たら早いほうかもしれないですね。

今観とくべきだよと言いたい

──そして、10月からツアーが始まりますね。

ショウ 最近はアルバムのテイストに合わせて余裕が出てきた良いライブをやれていると思います。この間、東北で対バンツアーを回ったのですが、すごく良かったので、今観とくべきだよと言いたいです。

あと、お客さんが様子見じゃなくて、楽しみにして来てくれてるということが本当に大きくて。もちろん乗せるのは俺たちだけど、乗っかってくれたらさらに俺たちも乗れる。本当に今、みんなで楽しいライブを作れる時期なので、ぜひそこに加わってもらえたらうれしいです。

コウキ 自分たちにしかできないカッコ良い演奏をしたいと思います。ステージの上に4人だけのファンキーな演奏を見せたら、今いちばんカッコ良いんじゃないかという気がしています。フィジカルにカッコ良いライブにしたいです。


ライブ情報

OKAMOTO’S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC
10/30(月)東京・恵比寿LIQUIDROOM
11/04(土)宮城・仙台darwin
11/05(日)新潟・GOLDEN PIGS RED STAGE
11/12(日)石川・金沢AZ
11/17(金)静岡・浜松窓枠
11/18(土)京都・磔磔
11/19(日)和歌山・CLUB GATE
11/23(木)青森・Quarter
11/25(土)北海道・札幌PENNY LANE24
11/26(日)北海道・旭川CASINO DRIVE
12/02(土)山口・周南LIVE rise
12/03(日)熊本・B.9 V2
12/05(火)鹿児島・SR HALL
12/07(木)兵庫・神戸VARIT.
12/09(土)愛媛・松山サロンキティ
12/10(日)香川・高松DIME
12/15(金)栃木・宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
12/16(土)長野・CLUB JUNK BOX
[2018年]
01/13(土)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
01/14(日)福岡・DRUM LOGOS
01/20(土)大阪・なんばHatch
01/21(日)愛知・名古屋DIAMOND HALL
01/28(日)東京・Zepp Tokyo
詳細はこちら


プロフィール

オカモトズ/オカモトショウ(vo)、オカモトコウキ(g)、ハマ・オカモト(b)、オカモトレイジ(ds)。中学校からの同級生で結成。2010年3月にはアメリカ・テキサス州オースティンで開催されたS×SW2010へ日本人男子としては最年少で出演。同年5月26日にAriora Japanより『10’S』をリリース。

オフィシャルサイト


リリース情報

2017.08.02 ON SALE
ALBUM『NO MORE MUSIC』
Ariora Japan

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