野口五郎が、恒例となった渋谷Bunkamuraオーチャードホールでのコンサートを2月5日に開催した。
オープニングは、オーケストラの生演奏とともに野口が奏でるエレキギターが響きわたる、オリジナルアレンジの「愛の賛歌」で壮大な幕開け。開始早々のMCでは「今年は素直に自分をさらけだして、気楽に生きていく」と2017年の誓いを発表し、客席を沸かせた。
その後、野口いわく「大ヒットという金メダルはとれなかったけど、自分の中では銀メダル級の素晴らしい歌」と言う「青い日曜日」「告白」「きらめき」が続く。
暗転とともにステージ上のスクリーンに映されたのは「ちびっこのどじまん」で荒木一郎の「今夜は踊ろう」を歌う11歳当時の野口。貴重な映像に客席から歓声があがると、そのまま61歳の野口が同曲を熱唱。歌い終わると「昔のほうがウマいな」と苦笑いし爆笑をさそう。しかし、当時から楽曲のキーをすべて変えずに歌っているという事実に、会場から「エーッ!」いう驚きの声が。そして、のど自慢で出会った天童よしみとのエピソードも語った。
「君が美しすぎて」「青春の一冊」「愛ふたたび」と新旧の人気曲を歌いあげ、情熱的なギターの音色が印象的な「愛がメラメラ」では会場中からハンドクラップが響きホール内が熱量を帯びていく。
そして、いったん、暗転するとステージには野口ひとり。“カラオケボックスにひとりで来た”という設定でトークがはじまると、なんと相席のお願いが! 「カラオケボックスに相席なんてあるの?」とコミカルな芝居を見せながら、やってきた相席の相手は早見優。2月22日に発売される全曲デュエットソングのニューアルバム『風輪Fu-Rin』にも参加している早見と「愛が生まれた日」を、まさに“大人のデュエット”の雰囲気で歌う。
すると、もうひとり相席したいという女性がいるとのこと。そこで登場したのは元AKB48の板野友美だ。アイドル時代には見せたことのない妖艶な歌声で「東京ナイト・クラブ」をデュエットした。歌い終わると、野口からは「色気があるよね」と絶賛。「今回のアルバムで<東京ナイト・クラブ>のアレンジを聴いて、どうしても板野さんにお願いしたかった。だから、僕が直接、板野さんのマネージャーに連絡してオファーしたんです」と裏話を披露。そして野口、早見、板野の豪華メンバーで「愛の奇跡」を歌い「僕がいかに『風輪Fu-Rin』に力を入れているかわかるでしょ(笑)」とニューアルバムの意気込みを語った。
野口が「運命の出会い」と呼ぶ筒美京平の楽曲「さらば恋人」「魅せられて」「私鉄沿線」を歌うと会場は大盛り上がり。そして「愛を歌います」という野口の言葉どおり、「ある愛の詩」「愛は限りなく」「アドロ」とバラードナンバーをしっとりと聴かせた。
ラストMCでは「アイドル時代の若い頃は、“早くコンサートを終えたい”と思っていた時期もあったけど、年齢を重ねるごとにコンサートで皆さんと会う時間が愛しくなる。歌わなくても、このまま話していたいほど」とファンへ感謝の思いを述べ、「されど青春」から「歌がある限り」でいったん、幕を下ろす。
拍手喝采の中、再びステージにあがりアンコールへ。「All By Myself」、そして、おもむろにジャケットを脱ぐとマイクを置き、「A Song For You」を熱唱。その美しく、力強い歌声に涙ぐむ観客の姿も見られた。
全23曲を休むことなく歌い続け、軽快なトークで客席を盛り上げたエンターテイナーに客席からは惜しみない拍手が。天賦の美声と努力の人、野口五郎の魅力を存分に堪能できた一夜だった。
リリース情報
2017.02.22 ON SALE
ALBUM『風輪』
野口五郎 OFFICIAL WEBSITE
http://goro-net.com/