Suchmosが気になってるならこれも聴いてみる?

Suchmosが1月25日にリリースしたニューアルバム『THE KIDS』。キッズもオトナも色めき立つ重要作がついに放たれましたが、ここでは彼らのルーツとなった音楽を探っていきたいと思います。

ジャミロクワイ

Suchmosのルーツと言えば、まずはこちら、今年5年ぶりの来日公演が話題になっているジャミロクワイ。Suchmosはデビュー時からジャミロクワイの影響を口にし、しばしば“和製ジャミロクワイ”と称されていました。

ジャミロクワイは、イギリスのクラブシーンから生まれたアシッドジャズの代表格バンド。アシッドジャズは、ジャズやファンク、ソウルなどの要素を織り交ぜた踊れる音楽として、90年代に一大ムーブメントを巻き起こしました。

フロントに立つジェイ・ケイ(vo)のファッションも目を惹きました。ストリートファッションとしてアディダスのジャージを着こなすスタイルを、SuchmosのYONCE(vo)が取り入れています。90年代もそれをマネする男子が後をたちませんでしたが、「これから部活?」と言いたくなる人が続出。YONCEがキマっているのは、あのスラッとしたルックスだからこそでしょう。

ニルヴァーナ

新作『THE KIDS』は、以前に増してロック的な要素を強めた作風でもあります。ガリッと荒削りなギターの音色が現れるところにはニルヴァーナの影響を感じます。

ニルヴァーナは、90年代前半に時代を席巻したグランジロックブームの火付け役となったバンド。グランジは、“薄汚い”という意味の“GRUNGY”が語源です。

アウトサイダーな佇まいでありながら、危ういほどピュアで無防備な一面も感じさせたカート・コヴァーン(vo)は、まさにカリスマという言葉がふさわしい人でした。カートは27歳の若さで非業の死を遂げましたが、ニルヴァーナの歪んだギターサウンドは、今も血を沸騰させるような生々しさがあります。

マルーン5

そして、Sucumosが活動初期から横浜スタジアムでのライブを視野に入れて活動しているのは、ファンのよく知るところ。そこで次は、2000年代に入りブレイクした米国バンド、マルーン5。まさにスタジアム級の会場を埋める人気バンドです。

コールドプレイなどセレブ感のあるバンドは他にもいますが、マルーン5は特に女子ウケの高い、華のあるバンドと言えるでしょう。

初期曲「This Love」のミュージックビデオでは美人な彼女とベッドでイチャイチャしまくり。でもそれがいやらしすぎず、適度にしゃれた雰囲気があり、口当たりの良いポップなロックサウンドと相まって自然なモテ感を出していました。

男だけの内輪ノリだけでなく、女子の視線もちゃんと意識してスマートにふるまうスタイルを、Suchmosも意識しているように感じます。

ディアンジェロ

モテはモテでも、さらなる大人のセクシーさを醸しているのが、ディアンジェロ。70年代のソウルをヒップホップ的な感覚で再現したネオソウルと呼ばれるムーヴメントの代表格アーティストです。

ディアンジェロは完璧主義者として知られ、これまで発表したオリジナルアルバムはたった3枚。しかし、革新性の高い作品で世界中のミュージシャンに多大な影響を与えています。

これまでに築かれてきた音楽に敬意を払いながら、新しい時代の感覚で最先端のサウンドを生み出すディアンジェロのスタイルは、Suchmosに大きく影響しているようです。

そして何より、ディアンジェロの音楽には、内側から溢れ出るような大人の色気があります。Suchmosは、その薫り高い大人のムードを果敢に狙っているように思います。

冨田恵一

70年代の音楽に敬意を払いながら、現代的なサウンドにアップデートするアーティストといえば、日本には冨田恵一がいます。

冨田恵一は、MISIAや中島美嘉のビッグヒットを手がけるプロデューサー/マルチプレーヤー。緻密なコードワークや流麗なストリングスアレンジがトレードマークで、椎名林檎が2016年末の「NHK紅白歌合戦」で強烈なインパクトを放った「青春の瞬き」も彼がアレンジを手がけています。

そんな冨田恵一は、昨年ソロプロジェクトの冨田ラボ名義でリリースした新作『SUPERFINE』で、SuchmosのYONCEをはじめ、ふた回りほど年の離れた新世代ボーカリストをフィーチャーし、新機軸のサウンドを打ち出しました。

ベテランになっても、いやベテランだからこそ新天地を目指す冨田恵一の姿勢に、新世代のSuchmosも大いに刺激されたはずです。

映画『KIDS』(1995年)

そして最後に。今回、Suchmosが名づけた『THE KIDS』というタイトルから、個人的にパッと思い浮かんだ映画があります。それが、ラリー・クラーク監督の映画『KIDS』。1995年のアメリカ映画です。

『KIDS』は、NYで生きるストリートキッズの1日を描いたドキュメンタリー風の作品。脚本は当時19歳だったハーモニー・コリンが手がけ、ティーンエイジャーの無軌道な生活がドキッとするほど赤裸々に描かれています。

20年以上も前の作品なのでSuchmosのメンバーは観たことがないかもしれません。でも、大人や世間が押しつける規定にツバを吐き、“オレらだけのルール”で生きる若者たち独自のグルーヴを焼きつけた本作は、今観ても鮮烈です。そして、この映画で若者たちが放つ強烈なエネルギーは、Suchmosが今放っているオーラに通じるように思います。

オトナが踏み込めない、キッズだけがもつ旬のグルーヴ。それこそが、Suchmosの『THE KIDS』をスペシャルなものにしていると思うのです。

TEXT BY 廿楽玲子


utapassSuchmosの楽曲が「うたパス」で聴き放題!
Suchmosチャンネル】

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事を書いた人