米津玄師、『はうる』ツアー最終公演オフィシャルライブレポート。「ツアーに始まりツアーに終わった1年でした」

米津玄師が、12月8日に東京・Zepp Tokyoにてライブツアー『米津玄師 2016 TOUR / はうる』のファイナル公演を行った。

「ツアーに始まりツアーに終わったような1年でした」とMCで米津自身が語っていたように、今年1月から2月にかけて行われた『米津玄師 2016 TOUR / 音楽隊』以来、約10ヵ月ぶりとなる今回のライブツアー。そこで彼が見せたのは、ライブパフォーマンスの驚くべき変貌だった。

アルバムのリリースを引っ提げたツアーではないので、セットリストは過去から最新曲まで満遍なく選ばれた選曲だ。演出や照明に凝った仕掛けがあるわけでもない。しかし、そのステージは、今までに観たこともないようなものに進化していた。新しい試みと、音楽的な挑戦が繰り広げられていた。文字どおり肉体的なパフォーマンスがそこにあった。

大歓声に迎え入れられて青い衣装を身にまとった米津がステージに登場し、ライブは最新シングルの「ナンバーナイン」からスタート。バンドメンバーは中島宏(g)、須藤優(b)、堀正輝(ds)という初ライブから変わらぬ編成だ。

「どうも米津玄師です。よろしく!」

そうひと声かけて「アンビリーバーズ」へ。気づいたのは、ハンドマイクを握って歌う米津が、曲中で手足をしなやかにくねらせること。何気ない仕草のように見えて、その一挙手一投足にコンテンポラリーダンスの躍動感が感じられる。

今年秋に公開された「LOSER」のミュージックビデオで、米津は初めてダンスに挑戦している。振り付けを担当したのはダンサー/コレオグラファーとして世界的に活躍する辻本知彦だ。「彼の踊り方は万人にひとりの芸術性を持っている」と彼もコメントしていたが、そこでの出会いと体験が、米津自身のパフォーマーとしての才能を開眼させたのだと思う。

中島と須藤がキーボードを弾くエレクトロニックなサウンドの楽曲が増える一方、「メランコリーキッチン」ではギター、ベース、ドラムのバンド編成となり米津自身もギターを抱えて歌うなど、曲ごとに目まぐるしく演奏のスタイルも変わる。「Undercover」では幻想的な青い光にフロアが包まれるなど、照明も音楽と同期して観客を惹き込む。

ダークな曲が続いた中盤も印象的だった。「KARMA CITY」は、つんのめるようなリズムに電子音のフレーズが折り重なる。曲の後半ではそのまま静寂と暗闇に包まれ、鐘の音のインタールードを経て、続いて「amen」へ。白い光に背後から照らされた米津の姿が浮かび上がる。歌いながらしなやかに踊る。かかとが滑るような、なめらかなステップを踏む。思わず目を奪われる。息を呑むような展開だ。

4人が激しくアグレッシブな演奏を魅せた「Black Sheep」に続いては、「12月10日に<かいじゅうずかん>という書籍が出るんですけど。それのために書いた曲が1曲あって。それをやりたいと思います」と、新曲「love」を披露。この日の会場でも先行販売された初の単行本「かいじゅうずかん」に付属するCDに収録された曲だ。ゆっくりとしたテンポで、後半に向けてどんどんとスケール感を増していく壮大なナンバー。ステージの各所、アンプやドラムセットに設置された電球の光が光る。最後には体全体を振り絞るようにして歌声を響かせる。

終盤は再び疾走感あるナンバーを続ける。「ついてきてくれますか? 声出してこうぜ!」という声に大歓声が上がった「LOSER」に続けて、「Neon Sign」では観客がジャンプ。「ゴーゴー幽霊船」「パンダヒーロー」も、とてもパワフルでダイナミックな演奏だ。まるでジェットコースターに乗っているかのような興奮に包まれる。ラストに「ドーナツホール」を披露し、米津は「ありがとうございました!」とひと声かけてステージをおりた。

鳴り止まない歓声に応えてアンコールに登場した米津は、原曲よりも数段パワフルになった演奏で「花に嵐」を披露。最後には「ホープランド」をプレイし、力強い咆哮のような歌声でステージを締めくくった。

そしてこの日のライブは、米津玄師の次なるステップを示した場所でもあった。MCでは「来年の2月15日に<orion>という新しいシングルを出そうと思っています」と告げる。NHK総合で放送中のテレビアニメ「3月のライオン」のエンディングテーマとして1月7日より放送される一曲だ。

「こんなに光栄な話はないですね」と感慨深そうに米津は語っていた。なんでも、以前に彼自身が住んでいた場所がマンガの舞台のひとつでもある月島で、描かれている風景は自分にとっても馴染みの深いものなのだとか。

目まぐるしい速度で表現者として覚醒していく今の米津玄師。2017年に彼が向かう先がいっそう楽しみになる一夜だった。

TEXT BY 柴那典
PHOTO BY 中野敬久

『米津玄師 2016 TOUR / はうる』
2016年12月8日(木)東京・Zepp Tokyo
<セットリスト>
01. ナンバーナイン
02. アンビリーバーズ
03. ミラージュソング
04. メランコリーキッチン
05. 駄菓子屋商売
06. Undercover
07. KARMACITY
08. amen
09. Black Sheep
10. love
11. アイネクライネ
12. LOSER
13. Neon Sign
14. ゴーゴー幽霊船
15. パンダヒーロー
16. ドーナツホール
-ENCORE-
17. 花に嵐
18. ホープランド


リリース情報

2017.02.15 ON SALE
SINGLE「orion」


番組情報

NHK総合「3月のライオン」
毎週土曜 23:00~

<スタッフ>
原作:羽海野チカ(白泉社 ヤングアニマル連載)
監督:新房昭之
キャラクターデザイン:杉山延寛
美術設定:名倉靖博
美術監督:田村せいき
音響監督:亀山俊樹
音楽:橋本由香利
アニメーション制作:シャフト
製作:「3月のライオン」アニメ製作委員会
(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

<キャスト>
桐山零:河西健吾/川本あかり:茅野愛衣/川本ひなた:花澤香菜/川本モモ:久野美咲/二海堂晴信:岡本信彦/幸田香子:井上麻里奈/高橋勇介:細谷佳正/島田開:三木眞一郎/三角龍雪:杉田智和/松本一砂:木村 昴/川本相米二:千葉 繁/幸田柾近:大川 透/林田高志:櫻井孝宏/宗谷冬司:石田 彰/神宮寺崇徳:玄田哲章/横溝億泰:阪口大助/辻井武史:中村悠一/後藤正宗:東地宏樹/藤本雷堂:大塚明夫/安井学:岩田光央 ほか


書籍情報

2016.12.10 ON SALE
「かいじゅうずかん」
本体価格:4,300円+税
商品概要:B5変形 88ページ+CD
CD収録曲:「love」
発売元:株式会社ロッキング・オン


TVアニメ公式サイト
http://3lion-anime.com/

NHK番組サイト
http://www.nhk.or.jp/anime/3lion/

米津玄師 OFFICIAL WEBSITE
http://reissuerecords.net/


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