BIGBANG、東方神起……トップアーティストに訪れる「徴兵問題」。そもそもそれってどういうこと?

BIGBANGのT.O.Pが来年2月の入隊を発表

2016年末、デビュー10周年を迎えたボーカルグループ・BIGBANGの最年長メンバーT.O.Pが、2017年2月に兵役に就くことを発表した。これにより、BIGBANGメンバー全員揃っての活動はしばらく休止。そして、G-DRAGONをはじめとする残ったメンバーも、順次軍への入隊が確実視される。

韓国では現在も徴兵制度がとられている。満19歳を迎える前年に適性検査を受け、特別な理由や健康上の問題がない限り、すべての韓国人男性は、19~29歳までに約2年間の兵役に就く義務がある。

「韓国は現在も戦争中」と聞いても日本人はあまりピンと来ない。1950年に起こった朝鮮戦争により、北緯38度線を境に北朝鮮と韓国に分断された朝鮮半島は、1953年に休戦協定が結ばれ、以後大規模な戦闘は起こっていない。

しかし、結ばれたのは休戦協定であり、講和条約が結ばれない限り国際法上は戦争状態継続中。朝鮮戦争から60年以上が経過した今も、いつ戦闘が再開されるかわからないという不安のなか、日本の半分程度の人口である韓国では、一定の兵員確保のために、徴兵制に頼らざるを得ないのだ。

多くの韓国人男性は、大学在学中に休学して兵役に就く。兵役による休学の場合、その間の学費は免除され、体力的にも若いうちに入隊したほうが軍隊の生活に慣れやすい。遅くなるほど体力的に厳しく、自分より若い上官に命令され、いじめられることになる。ただ、芸能人となると話はそう簡単ではない。

“兵役と共に契約解除”という時代も

10代でデビューするK-POPスターの場合、20代はまさに人気が頂点に達する時期。そこでの2年間の活動休止は大打撃。実際、2000年代前半まで、「男性アイドルの人気は入隊まで」と考えられ、兵役と共に事務所の契約を打ち切られてしまうことも多かった。

ファンが兵役免除の署名運動を展開することもあったが、韓国では兵役に行っていないと一人前とみなされない傾向があり、一般の学生でも就職で不利になる。

芸能人の兵役には世間も注目し、2002年に人気だった歌手のユ・スンジュンは、アメリカ国籍取得が兵役逃れだとして入国禁止処分を受け、外国籍アーティストの活動にも制限がかけられた。

2004年には大規模な兵役逃れ斡旋組織が摘発され、複数の韓流スターが関与していたことが発覚。また、「江南スタイル」で世界的ヒットを飛ばしたPSYも、IT企業への公益勤務が批判を受け、再度の入隊を経験している。

このような世間の批判を回避するには、結局入隊するしかない。人気と義務の板挟みのなかで、多くの男性芸能人は、兵役期限ギリギリまで入隊を先延ばしにする(30歳までなら理由によって730日の延期が可能)のが通例だ。

芸能人が配属されやすい「公益勤務」や「軍楽隊」とは

30歳でも新兵として扱われるので「憧れのスターが年下の教官にいじめられるかも?」という不安もあるが、人気芸能人の場合は、比較的訓練や規律の緩い公益勤務や、軍楽隊、義務警察などに配属されやすい。

公益勤務とは、市役所など公的機関でのサービス業務に従事することで、自宅からの通勤が可能。健康面などに問題があり通常の軍務が難しいと判断された者が配属される。

軍楽隊は、ブラスバンドなどで有名だが、軍全体の軍楽隊のほか陸海空の師団ごとにも軍楽隊があり、公式行事での演奏や各地でのコンサートなどを行なう。楽器演奏が主なので歌手としての実力は発揮しにくいが、バンドの場合は特技を活かせる。

一方で義務警察は、本来は警察のアシスタント業務が主な仕事だが、ミュージカルやコンサートなどの公演によって広報活動を行う警察広報団に配属される。歌手としての力を発揮できるうえ、ファンにとっても兵役中でも見ることができる貴重な機会となる。

以前には、国威発揚と軍の活動アピールのための「芸能兵」という制度があった。しかし、RAIN(ピ)の服務期間中のデート、SE7ENの出張時の風俗店利用など、芸能兵に配属された人気スターの不祥事が相次いで発覚したことから、2013年に廃止された。

軍楽隊や義務警察での広報活動が、芸能兵に変わったという意見もあるが。規律も選抜される基準も以前よりずっと厳しい。

現在は「入隊=人気低下」ではない

また、近年では兵役が即人気低下とならないこともわかってきた。90年代後半から活躍した男性グループのSHINHWAは、2008年に兵役のために活動を休止。しかし、全員兵役を終えた2012年に5年ぶりに活動を再開すると、以前と変わらぬ人気を誇った。

同時期に大人気だったSechs Kies(ジェクスキス)も、2016年に再結成すると音楽チャートで1位を獲得。兵役期間中も待ち続けるファンが多数存在することから、兵役のリスクも以前ほど深刻に考えられなくなった。入隊前のお見送りと、除隊後のお迎えファンイベントも定着してきた。

もちろん、よほどのビッグスターでない限り、不在中も人気を保つのは難しい。そのため、SUPER JUNIORや超新星など、大人数のグループでは入隊時期をずらし、兵役中のメンバーがいても活動を続ける手法が取られている。

逆に少人数グループの東方神起などは、ふたりの入隊時期を同じ年にして、空白期間をなるべく短くするなどの工夫がされている。

BIGBANGの場合、最年少のV.Iまで兵役期限ギリギリでの入隊となると5年近く全員揃うことはなくなる。ただ、メンバー全員がソロ活動もできるBIGBANGなら、その間の空白も十分埋められるだろう。ファンが待ち続けている限り、スターはいつでも戻ってくることができる。

TEXT BY 菊池昌彦
PHOTO:(C) Alex_Mac – Fotolia.com


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