今この季節でしか堪能できないAAAを、知っている人も知らない人も!

2016.10.31

バラードは、秋のAAAにとって欠かせないもの

まるで乞うように“涙のない世界があるのなら 今すぐに僕を導いて”と歌いながらも、しかし7人は(あるいは“この歌の主人公は”と言うべきか)涙のない世界なんてどこにも存在しないことを知っているように感じられる。

それは“君がいない未来で一人きり もう二度とめぐり逢えない愛を探してる”という悲しい結末を受け入れるということでもある。そう考えてしまうからだろうか、この曲を聴いている我々の胸の奥底からは、ほとんど無限に感じられるくらい大量の切なさが込み上げてくる。

というのは10月5日にリリースされたAAAの最新シングル「涙のない世界」の話。あんなにも愛に満ち溢れた日々を過ごしていたのに、いつしかふたりの気持ちは重ならなくなってしまった……そんな恋の終わりを描いたミディアムバラードだ。

こういった胸を締めつける切ない楽曲は、この季節の、つまり秋のAAAにとって欠かせないものになりつつある。

最初は2013年の秋。「恋音と雨空」だった。郷愁感をくすぐるメロディに乗せて恋人と別れた直後の心の揺れを繊細に表現したこの曲は、その年の「レコ大」と「紅白」で歌われたこともあって、それまでの“元気いっぱいにダンスする男女7人組”というパブリックイメージとは異なるAAAの姿を広く世に知らしめることとなった。

そして2014年の秋には恋が今まさに終わろうとしている瞬間を綴ったミディアムポップス「さよならの前に」が、さらに2015年の秋には痛いくらいエモーショナルな失恋ソング「愛してるのに、愛せない」が届けられた。

いつしか“喪失”を表現できる年齢になっていた7人

この3曲の系譜に連なるのが今回の「涙のない世界」。4年連続で秋に切なさ溢れるナンバーをリリースしていることになる。これら“秋の切ないAAA”には共通する感覚があって、それは「愛してるのに、愛せない」の冒頭のフレーズを引用すると伝わりやすいかもしれない。

“どうして大切なものって儚くうつろう 優しさや微笑みさえ色を変えてゆく”という一節だ。AAAの7人は、いつしか“喪失”をリアルに表現できる年齢になっていたのである。

昨年の秋に開催された『AAA 10th Anniversary SPECIAL 野外LIVE in 富士急ハイランド』で象徴的なシーンがあった。太陽が沈んで空の色が刻々と変化していく見せ場の時間帯に、これらの切ない楽曲が立て続けに披露されたのだ。

「風に薫る夏の記憶」から「ぼくの憂鬱と不機嫌な彼女」へ、そして前述の「さよならの前に」「恋音と雨空」という流れ。その深みのある歌とパフォーマンスはAAAが積み重ねてきた歳月と、それをくぐり抜けてきた彼らの成長を、ひしひしと感じさせてくれるものだった。

ハッピーなAAAもスタイリッシュなAAAも素敵だが、それと同じくらい、ある種の痛みをともなった“秋の切ないAAA”というのも魅力がある。彼らの11年間の歩みの中から、そういったタイプの曲だけを選んでコンピレーションアルバムを作ったら、なかなか面白いものに仕上がるのではないかと秘かに思っている。

TEXT BY 大野貴史


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