MCバトル好きにおすすめしたい日本語ラップ解説マンガ「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」とは?

MCバトルを中心に盛り上がる、日本語ラップシーン。そんななか、日本語ラップを扱ったマンガ「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」が異例のヒットを飛ばしている。

本作は、日本語ラップに精通した女の子・美ー子ちゃんが、日本語ラップの名曲をレコメンドする1ページマンガだ。

日本語ラップへの深い造詣とユーモアセンスを感じる作風がTwitter上で話題となり、同人誌にも関わらず、レコードショップや書店での販売がスタート。ディスクユニオンでは、数ある人気音源をおさえて「日本語ラップコーナー売上1位」を獲得するなど、好調な売れ行きを記録している。

今回は、そんな話題の日本語ラップ解説マンガ「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」を紹介しよう。

 

ヒップホップ漫画を描き続けることの困難に直面した作者


「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」の作者である服部昇大は、2004年に「未来は僕等の手の中〜J.P.STYLE GRAFFITI〜」というヒップホップカルチャーをテーマにした作品でデビューしたマンガ家だ。

ただ、デビュー作連載時に「ヒップホップに対する当時の世間の冷笑的なイメージに限界を感じた」ことから、その後は少女ギャグマンガに作風を変更したという。

しかし、日本語ラップへの情熱は冷めることなく、その後もコラム執筆などを続けていたところ、MCバトルブームが到来したことをきっかけに、「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」を描き始めたそうだ。

 

美ー子ちゃんの解説力には、コアなファンも納得!


そんな経緯もあって、マンガのなかでの美ー子ちゃんによる “日本語ラップヘイター”へのツッコミは鋭い。

例えば、「日本人がラップとか草生えるわ〜w」という若者を登場させたかと思えば、「典型的な洋楽に入りたての人ね」と彼の音楽観をバッサリ否定。その若者には、車で轢き去るというユーモアたっぷりな処罰を与えたうえで、読者には「日本語ラップへの誤解」を考えるには欠かせないRHYMESTERの名曲「ガラパゴス」を紹介してくれる。

このように「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」は、日本語ラップへの偏見に対する豪快なアンサー、シーンの歴史をおさえた正確な解説、昨今のMCバトルブームヘ媚びることのない適切な苦言など、日本語ラップリスナー歴18年の作者だからこそ描ける内容が多数。

ファン心をくすぐる細かい描写が、コアなファンが多いことで知られる日本語ラップ界において、幅広い支持を得ている。

 

ファン目線のコラムが、日本語ラップ入門に最適

また「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」に収録されているのは、マンガだけではない。1989年のいとうせいこうから現在の「フリースタイルダンジョン」まで、長いリスナー体験に裏打ちされたファン目線でのコラムやディスクレビューが多数掲載せれている。

実は、かつて日本語ラップが主張する「東京発であること」や「悪そうな雰囲気」に、嫌悪感を抱いていた岡山県出身の作者。本書のコラムを読めば、その服部昇大がいかにして日本語ラップの魅力に気づき、のめり込んでいったのか、その過程を追体験できる。そのため、ヒップホップ新参者にとっては、良い入門書になるだろう。

1995年の『さんぴんキャンプ』前後からの日本語ラップのヘビー級リスナー、はたまた「フリースタイルダンジョン」で興味を持った日本語ラップ初心者。「日ポン語ラップの美ー子ちゃん」は、そのどちらのリスナーにもおすすめできる稀有な一冊だ。

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