ラッパーを「人柄」から読み解くと、こんなに親しみやすかった!

1996年に開催された伝説の日本語ラップイベント「さんぴんCAMP」。このイベントが今年、20年ぶりに復活することが決定し、当時の盛り上がりを知る人々の間で、大きな話題となっている。

しかし“伝説のイベント”とはいっても、開催は20年も前。「さんぴんCAMPってよく聞くけど、一体何?」という人も多いのでは?

今回はそんな“日本語ラップ新参者”にとって、良き入門書になること間違いなしの名著「LEGENDオブ日本語ラップ伝説」を紹介しよう。

 

日本語ラップ好きの先輩の部屋に遊びに来たような感覚

本書は、ヒップホップユニット「サイプレス上野とロベルト吉野」のMC・サイプレス上野と、音楽ライター・東京ブロンクスによる対談形式。

毎回ひとつのアルバムをお題として、発売当時の思い出を中心に、ヒップホップの熱心なファン=ヘッズとして両氏が感じていたことを、ただひたすたら語っていくスタイルだ。

そのあまりの自由さから、読者はまるで「日本語ラップ好きの先輩の部屋に遊びに来た」感覚になるはず。

自由に語りながらも、日本語ラップの歴史の重要事項はしっかりと紹介。

例えば、キングギドラのアルバム『空からの力』を「やっと渡された教科書」と解釈して、このアルバム以後に日本語ラップの韻の踏み方が“文末1〜2語”から“単語レベル”に進化した経緯を、詳しく分析している。

 

日本語ラップが好きすぎたサイプレス上野の少年時代

また、日本語ラップの音楽面以上に、「アーティストのパーソナリティー」が紹介されているのも本書の特徴。

例えば、「高校生のサイプレス上野が、クリスマスに彼女とデートしているBUDDHA BRAND(ブッダ・ブランド)のNIPPSに話しかけたら、一緒に買い物に連れていってくれた」というエピソードを読めば、曲を聴いたことがなくとも、BUDDHA BRANDに不思議な親しみを感じるはずだ。

全編を通して読めば、サイプレス上野のパーソナリティーも丸わかり。あるときは、ECDの特典ステッカーを仲間に自慢するためにアルバムを3枚買い、またあるときは、宇田川町のレコード店のセールに朝5時から並び、知らない人とフリースタイルをして体を温めていた。

若き日の上野少年……彼の日本語ラップと共に過ごした青春が、本書には凝縮されている。

 

レジェンド本人による貴重な証言も収録

さらに実際に歴史を作ってきたレジェントたちによる、貴重な証言も多数収録。

テレビ番組「フリースタイルダンジョン」の審査員としてもおなじみ、日本語ラップのパイオニア・いとうせいこうも対談ゲストとして登場している。

クラブカルチャー以前のディスコ時代を知るいとうせいこうは、当時の音楽現場の最前線で起きていたことを個人史を振り返りながら紹介。

また「港区のレストランに、紐なしアディダスを履いて、ジャージに、カンゴールのハットの服装で行ったら、入店を断わられた」など、80年代ならではエピソードも満載だ。

 

ラッパーたちのパーソナリティー、サイプレス上野を含むヘッズたちの熱狂、そしてレジェンドの証言。

日本語ラップの歴史が凝縮されたこの一冊で、あなたも日本語ラップの深イイ世界に足を踏み入れてみよう。

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