いつの時代にもカリスマはいる。カート・コバーンも、90年代を代表するカリスマのひとりだ。
ニルヴァーナのフロントマンとして活動した彼は、1991年に発表したアルバム『ネバー・マインド』で4000万枚を超えるヒットを飛ばし、「グランジロック」ムーブメントを牽引した。
その後、人気絶頂の1994年に猟銃自殺によって、27年という短い生涯に幕を下ろした。
そんなカリスマ、カート・コバーンの生まれ育った家が、破格の値段で売りに出されている。
ロックスターの生まれ育った家が、3000万で買える!
売りに出されているのは、アメリカのワシントン州アバディーンにある一軒家。この家で、カート・コバーンは2歳から9歳までの幼少期と、両親が離婚した後の思春期を過ごした。
気になるお値段は、2016年4月現在で26万3263ドル(約2850万円)。2013年に売りに出された当初の値段は50万ドル(約5400万円)なので、半額近くの大幅値下げだ。
ファン必見!カートの思春期の痕跡
しかもこの家には、カートの思春期の痕跡が数多く残されている。例えば、壁にはカートが夢中になっていたアイアン・メイデンやレッド・ツェッペリンの名が書かれた「落書き」、そして思春期の拳が開けた「穴」が残っている。
「郊外にある1992年製の屋根裏部屋付きの平屋」にしては高額かもしれないが、世界的ロックスターの生まれた家としての文化的価値を考えれば……。
ロックの歴史において重要な人物の貴重な生家が、しっかりと管理されていないことは問題だという声もある。
過去にはファンやジャーナリストによって、「カート・コバーン・ミュージアム」として管理するための募金活動が行われたこともあったが、集まった金額が売却額に遠くおよばず、挫折。現在も一般の不動産市場で販売されたままだ。
一方、ビートルズメンバーの実家は……
ところで、60年代にロックを一躍人気音楽ジャンルにした立役者、ビートルズのメンバーの生まれた家はどうなっているのだろうか。
例えば、ジョン・レノンが5歳から住んでいたリバプールの家は、妻オノ・ヨーコによって購入され、歴史的建造物を保護する団体であるナショナル・トラストへと寄付され、観光資源として管理されている。
またポール・マッカートニーの育った家も同様にナショナル・トラストによって管理されており、ビートルズ初期にジョンとポールが曲作りをしていた部屋もきれいなままに残っている。
さらにはジョンとポールが初めて出会った場所である、セント・ピーターズ教会の裏にあるには記念プレートまで設置されているほどの徹底ぶりで、ビートルズの痕跡は文化財産として守られているのだ。
ロックスターは国の宝、そして人類の宝だ。カート・コバーンの実家も、放置されることなくしっかりと管理されることが望まれる。
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