ベボベ小出の仮面ライダー愛が出過ぎ!ミュージシャンの課外活動「みんなの映画部」

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。ミュージシャンのなかで1、2を争う小出部長が満を持してシリーズ最新作「仮面ライダー1号」を観賞。レジェンド登場の話題作にご満悦かと思いきや……。


活動第24回[後編]「仮面ライダー1号
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)

 

作品を観てモヤモヤしている部長が語る[前編]はこちらから

今回の映画はライダーに悲哀みたいなものがない

──レイジくんの全体の感想は?

オカモトレイジ いやぁ、まぁ、フツーにこんなもんかなって。

福岡晃子 うふふふ(笑)。

小出祐介 そう軽く言うなよ!(笑)

レイジ 俺、本当に仮面ライダーはまったく詳しくないので何も語れることはないんですけど、ただ「仮面ライダーZO」のインパクトは強くて、結構トラウマっぽい感じで……小さい頃に。

──世代的に?

レイジ 世代よりもちょい前なんですよね。コイちゃんぐらいの世代が、ちょっと大きくなってから観たぐらいじゃないですか? シリアス系ライダーの最初の頃ですよね?

小出 そうだね、「仮面ライダーBLACK RX」終わったあとでね。

レイジ あ、そうなんですか。

小出 「真・仮面ライダー」っていうのがオリジナルビデオ作品であって、映画で「仮面ライダーZO」「仮面ライダーJ」が公開になったんだよ。

レイジ そっか。それはどこかすげぇ悲しいというか、切ない雰囲気がめっちゃ盛り込まれていて。なんか心に引っかかるものがあるんですよね。でも今回の映画はライダーに悲哀みたいなものがない。

小出 まさにそこが、僕もいちばん引っかかっていたところで。ショッカーに改造人間にされてしまった現実を乗り越えて、日夜平和のために戦い続ける戦士の悲哀こそが、「仮面ライダー」の原点だと思うし。そこもっと欲しかったよね……。

──「仮面ライダー」って一時期「子供向け」から抜けていることをすごく評価されていたけど、今回だけ観ると「やっぱり子供向けだな」っていう印象になるかも。

レイジ 子供が楽しむものでしたね、完全に。

小出 最近その傾向がちょっとまた強くなってきたんですよ。子供が楽しめているからいいのかもしれないけど、そもそも「仮面ライダー」も、あと「ウルトラマン」も今でもちゃんと続いているのは、どちらも平成シリーズ初期に気合を入れて作って、ちゃんと評価されたからこそだと思うんですよ。つまり、親も一緒に楽しめるものを作ったと。

だから今この2016年、もう大人になった自分が観ても「仮面ライダークウガ」はすごいですよ。「ウルトラマンティガ」もすごい。よくこれやったなぁって。

レイジ 「ティガ」もすごいんですね。

小出 「ティガ」はこないだ観直したんだけど、ラスト3話はずっと泣いてたからね(笑)。「仮面ライダー」だと「クウガ」「アギト」「龍騎」、「555」ぐらいまでかな。このあたりまではストーリーが本当に太い。

「555」は、さっき([前編])言った井上さんが全部手掛けているやつで、今も続く、“変身ベルトという名のガジェット”で変身する仮面ライダーの走り。

適合者じゃないと変身できないんだけど、逆に、適合者であればみんなそのベルトで変身できる。敵も555になっちゃったりするのよ。そんなベルトをめぐる話。

で、戦う相手はオルフェノクっていう怪人なんだけど、そちらも実は元々人間で、最終的に主人公も実はオルフェノクだった、っていうことがわかるんです。

福岡 おぉ~!

小出 オルフェノクにはその力に苦悩するやつもいるし、人間側にはベルトで強大な力を得ようと企むやつもいる。善悪の二元論を押し付けるのではなくて、何が自分にとっての正しいことなのかを自分で見極めろよ、っていうメッセージが込められていた。

「555」は終わり方もハッキリとしていなくて、「(主人公は)死んだの? 死んでないの?」みたいな、一種のオープンエンディング。

ただ、昨年の劇場版「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」(2015年)に555が久々に出てきたのね。

10年ぶりぐらいに主人公の乾巧役を半田健人さんご本人が演じて、公開後に配信された「d ビデオスペシャル 仮面ライダー4号」っていうスピンオフ作品にもそのまま出演しているんだけど、僕的には「むしろこっちが本編!」ってくらいのやつで。

レイジ へぇ~。

小出 「555」の“魂の最終回”みたいな感じだった。こういう“あの日の決着”みたいなのもできるんだ!って思っていたから、今回の「仮面ライダー1号」もすごく期待していたんですよ。前回はうまくやったなっていうのがあったからね。

どうなるのかな? って思っていたら、すごい藤岡さん……本郷猛感というよりは藤岡弘、イズムが強い作品だった(笑)。

ヒーローとしてのイズムとヒューマニズムが混同

福岡 私は単純に演技のギャップっていうか。今の時代に沿っている若い子たちの演技と、それに沿ってない大人たち演技のチグハグ感がすごくて(笑)。完全に昔っぽい世界だったらまだよかったんだけど、「どっち?」っていう。

──戸惑うよね。どっちのスタンスで観たらいいのか。

福岡 そうそうそう(笑)。入り込みたいけど、わりと普通に今風の演技をしている子たちもいるし、みたいな。あと、本郷猛が「生命の授業」をやったけど、その後に「俺は不死身だ」って言っちゃった~と思って。

レイジ 矛盾ですよね。

福岡 たぶん今の子供たちに「命は大事なんだよ」っていうことをどうしても言いたい、って想いがあったんだろうけど。

小出 そうね。ヒーローとしてのイズムとヒューマニズムが混同されていて。

一同 たしかに!

小出 「改造人間だからこそわかる人間の命の素晴らしさ」っていう人間賛歌にもできただろうし、オリジンとしての「仮面ライダー1号」の存在感を強く打ち出すこともできただろうし、若手の仮面ライダーへの「ヒーローとは」みたいなものの継承もできただろうし、描かれていなかったこの40年の孤独な戦いの結末を見せることもできただろうし……。

もうどこに着地してもグッと来る要素しかなかったはずのに、どこでもない斜め上の着地だったじゃないですか(笑)。それがこのいびつさの原因なのかなぁと。

福岡 うん、うん。

小出 1号のマッチョになった新スーツも好きだったし、画がかっこいいシーンもたくさんあったから余計に、いろいろ惜しいなぁというモヤモヤが残りました。

 

C-20160410-MK-2101当連載お決まりの喫茶店にて、仮面ライダー文脈を部員たちにていねいに教えてくれた小出部長。この人に喫茶店で語られるとマルチなアレの契約書でも納得して判を押しちゃいます。

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