KAT-TUNが4人最後の出演&AKB48卒業生が暴走?Mステ観測コラムを読めば、J-POPシーンがわかる

音楽ブロガー・レジーが、「ミュージックステーション」の放送内容を基に最新のJ-POP事情についてお届けする連載「月刊 レジーのMステ定点観測」。3月のMステは11日の通常放送に加えて25日に3時間スペシャルが放送されました。

前後編でお届けする今回、まずはアイドルグループの過去と未来が交錯したこちらの話題からどうぞ。

 

時計の針を戻す場合:AKB48

11日と25日のそれぞれに出演したAKB48。11日の放送では“10周年記念シングル”として発表された「君はメロディー」を披露しました。

卒業生も特別に参加しているこの曲をパフォーマンスするということで、この日の放送ではオープニングから前田敦子や大島優子といった歴代のエースが登場。やはりこういう人たちがずらっと並んだときの華やかさや迫力は今のAKB48とはひと味違うものだなあと実感しました。

パフォーマンス時にはセンターの宮脇咲良を挟んで前田・大島が並び立つフォーメーションでしたが、さすがにその陣形は酷だったような……そう感じてしまうくらい、別格の存在感を発揮していたふたり。

前田敦子がおそらくアドリブで宮脇に抱きついたり、間奏では大島優子が変顔を決めたりと“(部外者であるがゆえの)良い意味での責任感のなさ”からくるであろう自由な振る舞いが目立ちましたが、「こうやって好きにやっていいんだよ」という彼女たちなりの現役メンバーへのメッセージだったのではないでしょうか。かつての戦友と並んでリラックスした雰囲気の小嶋陽菜や、大先輩の横で普段より柔らかい表情を見せていた島崎遥香あたりを見ながらそんなことを思いました。

「君はメロディー」はギターポップ風のイントロやピチカートファイブを思わせる間奏でのキーボードソロ、そこに組み合わさる切なげなメロディラインなど魅力的な箇所がいくつもあり、個人的にはAKB48のシングル曲で久々に「掛け値なしに推せる!」という感触があります。裏方サイドもスペシャルな楽曲として力を入れて作ったのでしょうか。

と、ここまで卒業生メンバーの参加について好意的な意見を述べてきましたが、25日の放送にも卒業生がぞろぞろと出てきて(川栄李奈や秋元才加など「君はメロディー」に参加していないメンバーまで)トーク時の最前列に鎮座している光景を見た際には「ちょっとやり過ぎでは……?」と思ってしまいました。

今のメンバーが卒業生に比べて“小粒”なのは衆目の一致するところでもありメンバー自身も自覚しているはずなのですが、いくらメモリアルなタイミングとは言えこのやり方は現役メンバーのモチベーションに影響しないのでしょうか。

この一連の企画から垣間見えるグループとしての世代交代の失敗、さらに今年の選抜総選挙における主要メンバーの不参加表明続出など、48グループはあらたなフェーズに進むうえでの難しいかじ取りを迫られているように思います。

 

時計の針を進める場合:KAT-TUN

AKB48が卒業メンバーを改めて引っ張り出してきたのに対して、メンバーを送り出したのが25日に出演したKAT-TUN。昨年12月に田口淳之介の脱退が突然発表されてからも複数の歌番組に出演していましたが、この日が4人体制での最後のパフォーマンスとなりました。

デビュー曲の「Real Face」を4人で歌い終えた後、グループに残る3人だけが別のステージに場所を移して披露したのは「Real Face」と同じくスガシカオが作詞した「君のユメ ぼくのユメ」。

“メンバーの脱退”という場面にありながちなファンの悲鳴や本人の挨拶といったウェットな演出を挟まずに、残されたメンバーのために書かれたバラードを3人で熱唱するストイックな姿に、これまでもパフォーマンスで魅せ続けてきたグループとしての矜持を見ました。

この日の田口は放送スタート時からすっきりとした表情を見せていましたが、比較的緊張した面持ちだった亀梨和也、関係者への感謝を述べるなどこういう場でも礼儀を忘れない中丸雄一、ステージ後に涙するなどセンチメンタルなムードを漂わせていた上田竜也と残るメンバーの態度が三者三様だったのも興味深かったです。

 

あれから5年経って:高橋 優、いきものがかり

11日の放送に出演した高橋 優が披露したのは新曲「さくらのうた」。一度散ってしまっても、また花を咲かせようという歌詞と美しく切ないメロディの組み合わせが胸に迫るバラードです。前作「明日はきっといい日になる」のようなアップテンポなナンバーも良いですが、こういう静かな曲と彼の熱いボーカルスタイルも相性が良いです。

同じくこの日出演していたのがいきものがかり。デビュー10周年記念のベストアルバム『超いきものばかり〜てんねん記念メンバーズBEST セレクション〜』(初回盤には全60曲を収録!)をリリースした彼らですが、この日演奏したのはそのアルバムに新曲として収録されている「翼」。“積み重ねた日々が たどりつく場所”と語りかける、いきものがかりらしいポジティブなメッセージのこもった楽曲です。

この2組が出演した3月11日は、東日本大震災が起こった日です。あの地震は日本の社会全体に大きな影響を与えただけでなく、いろいろな音楽の聴こえ方が変わってしまうきっかけになった出来事でもありました。

いきものがかりのソングライターでもある水野良樹は、震災後初めての新曲「笑ってたいんだ」をリリースする際に「今まで普通に使っていた言葉たちの意味合いが急に変わったりするので、何を書けばいいか悩んでしまった」と心情を吐露していました。

また、震災直前にリリースされていた高橋 優の「福笑い」は、震災後にラジオで多数オンエアされて多くの人を励ます楽曲となりました。

「震災の記憶を風化させないためにどうすればいいか」という話題はいろいろなところで語られますが、当時の音楽シーンで何が起こっていたかということについても改めて整理すべきタイミングに来ているように感じたこの日のMステでした。

 

[前編]はここまで。[後編]ではあの世界的スターとお笑い芸人の共演について取り上げる予定です。3月31日のアップをお待ちください!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー)

【2016年3月11日放送分 出演アーティスト】
いきものがかり「翼」
GENERATIONS from EXILE TRIBE「AGEHA」
AKB48「君はメロディー」
aiko「もっと」
高橋 優「さくらのうた」
TK from 凛として時雨「Secret Sensation」
KAT-TUN「UNLOCK」
Underworld「If Rah」「Born Slippy (Nuxx)」
RADIO FISH「PERFECT HUMAN」

【2016年3月25日放送分 3時間SP出演アーティスト】※出演順
ケツメイシ「さらば涙」「友よ〜この先もずっと・・・」
AKB48「365日の紙飛行機」
Kis-My-Ft2「Gravity」
Kiroro「Best Friend 〜Mother Earth Version〜」
BEGINと桐谷健太「海の声」
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「Feel So Alive」
AKB48「君はメロディー」桜の花びらたち」
いきものがかり「SAKURA」
浜崎あゆみ「A Song for ××」
ケツメイシ「さくら」
藤巻亮太「日日是好日」「3月9日」
KAT-TUN「Real Face」「君のユメ ぼくのユメ」

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