アーティストからスタッフまで全員が“平成生まれ”。新世代レーベル「Tokyo Recordings」とは?

「昭和生まれのミュージシャン」と「平成生まれのミュージシャン」。年号の区切りに大きな意味を見出すかはともかく、思春期における音楽メディア環境の激変を考慮すれば、両者は離れた存在かもしれない。

例えば、現在の音楽シーンであらたに活躍している平成元年(27歳)から平成5年(22歳)の若い世代は、CDの販売枚数がピークであった1998年にまだ小学生。

彼らにとって思春期に音楽に触れるメディアとしての存在感が強かったのはおそらくCDではなく、動画サイトであっただろう。

日本にとっての“動画サイト元年”は、日本版YouTubeとニコニコ動画の本格的サービスがスタートした2007年。彼ら彼女らがちょうど中高生の時期である。

思春期に中古レコード屋にまで足を運ぶことなく、部屋のPCで世界中のあらゆる音楽と無料で触れてきた世代。そんな環境で育った彼らの音楽観が、先行世代とは違うものであったとしても大きな疑問はない。

そして、平成元年生まれが27歳となる2016年。平成生まれのメンバーのみで構成されたレーベル「Tokyo Recordings」が、注目を集めている。

法人化している同レーベルは、所属アーティストのみならず、代表取締役からスタッフにいたるまで全員が平成生まれ。今回は、不況がささやかれる音楽業界に新しい風を吹き込む新興音楽レーベル・Tokyo Recordingsを紹介しよう。

 

ユニットデビューからレーベル立ち上げへ


Tokyo Recordingsは、OBKR(小袋成彬)、酒本信太、小島裕規らを中心に運営される音楽レーベル。

設立のきっかけとなったのは、大学卒業を間近に音楽の道への思いを捨てきれなかったOBKRが、國本怜と音楽ユニット・N.O.R.K.(ノーク)を2013年の夏に結成したことだ。

N.O.R.K.は、海外の最新音楽シーンのトレンドにクラシックの要素が加えられた音楽性が評価され、海外メディアに取り上げられるなど順調なスタートをきった。

その後、OBKR はN.O.R.K.でのボーカリストとしての活動に飽き足らず、2014年春に酒本信太と都内の5畳ほどのスペースで、レーベル「Tokyo Recordings」を設立。

当初は、工事現場のバイトなどをかけもちして運営資金を補填し、音楽制作からビデオ制作、プロモーション、CDの配送などのレーベル業務を行っていた。

 

謎の美少女、綿めぐみが話題に


そんなTokyo Recordingsが、レーベルとして話題を集めることになったのは、“謎の美少女”綿めぐみの音源のリリースがきっかけ。

綿めぐみは、2014年7月にインターネット上にアップロードされた楽曲「災難だわ」が話題を呼び、同年12月に発表した限定300枚の1stアルバム『災難だわ』を約1ヵ月で完売させた逸材である。

“香港生まれ・インターネット育ち”を自称し、アニメ好きを公言。ネット文化慣れした美少女アイドルにも気鋭のアーティストにも見える振る舞いには、平成生まれの新生代感が滲み出ている。

前述の「災難だわ」は、綿めぐみの放つ、ゆるやかで不思議な雰囲気と、“教科書って高いよね あれって誰のせい? よそでぼやいてばかり 不思議になるわ”というOBKRによる歌詞の世界観が魅力の一曲。

2016年2月2日には、Tokyo Recordingsプロデュースで、全国デビューとなるミニアルバム『ブラインドマン』をリリースしている。

 

他にも、ボストン育ちのシンガーソングライター・CapesonとのEP『Portrait 1』の共同制作や、水曜日のカンパネラ「ナポレオン」のプロデュースなど、新世代の才能と柔軟なコラボレーションをしてきたTokyo Recordings。

“平成生まれの新世代”の看板に偽りなし。レーベル設立2周年の今年は、日本の音楽業界の台風の目となる活躍を期待したい。

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