5000人と“踊らにゃそんそん”!チャットモンチー主宰「こなそんそんフェス」ライブレポ到着

昨年、メジャーデビュー10周年を迎えたチャットモンチー。そのアニバーサリーイヤーの総仕上げとして彼女たちが主宰する“こなそんフェス”こと“チャットモンチーの徳島こなそんそんフェス2016 ~みな、おいでなしてよ!~”がふたりの地元、徳島県徳島市にある四国最大級の多目的コンベンション施設・アスティとくしまにて2月27、28日の2日間にわたって開催された。

音楽を軸に据えたイベントではあるが、音楽一辺倒ではない。出演のそうそうたる顔ぶれにはバンド、アーティストのみならず、お笑い芸人も粒揃い。さらには徳島が誇る伝統芸能、阿波おどりの演舞まで披露されるという。そんな“こなそんフェス”の記念すべき開催第1回の初日である2月27日は好天にも恵まれ、屋外に設けられたフード&グッズエリアは午前中から大盛況。ライブエリアとなる建物のエントランス周辺にも開場を待つ人々が大勢詰めかけてこのフェスへの期待度の高さを伺わせた。

オープニングアクトにして、むせ返るような轟音、激しさと繊細さがせめぎ合う緊迫感に満ちた演奏、さらには持ち時間の20分を1曲のみにすべて注ぎ込む潔さで観る者にただならぬポテンシャルを印象づけた徳島発の2ピースバンド、白い朝に咲く。チャットモンチーもイチオシする地元の注目株だ。穏やかな祝祭ムードの場内に俄然、熱狂のスイッチが入る。

♪歌う阿呆に観る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃそんそん!開演時刻の13時まであと5分と迫ったとき、唐突に阿波おどりのお囃子とチャットのふたりの歌声が響きわたったかと思うと「スタート!」と開会宣言。直後、お揃いでグッズの法被(ハッピかもし連)を着た橋本絵莉子と福岡晃子が姿を現わした。

「来てくれてありがとう!」 「よう来たね~。こなそんフェスを企画して1年以上経ちますが、ついに実現するときがきました!」

大歓声を浴びて声を弾ませるふたり。続いてもうひとりの進行役として、彼女たちと親交の深い吉本新喜劇座長、小籔千豊を呼び込むと、公演中の注意事項などを笑いを交えつつ3人でアナウンス。ほっこりとした前説がすっかり場を温めたところでトップバッター、Base Ball Bearの登場だ。

パワフルに鳴るポップネス、甘酸っぱくも無敵な「17才」からスタートしたBase Ball Bear、図抜けて輪郭線の太いアンサンブルがキャパシティー5000人の大会場を揺らす。チャットモンチーと同じ所属事務所でデビューもほぼ同時期と、よき音楽仲間でありライバルでもあり続けている彼ら。

「イベントのトップバッターに呼んでいただいてありがとうございます」と口にしつつ、出番直前にステージ袖で待機していた際にふたりと言葉を交わしたエピソードに触れ、「絵莉子に“おめでとう!”って言われたんだけど、何がおめでとうなのか、全然しっくりきてない」とぶっちゃけて場内の笑いを誘った小出祐介のMCにも互いの絶妙に保たれた距離感、その心地よさが伝わってくるようだ。湯浅将平の体調不良により急遽、the telephonesの石毛輝をサポートギタリストに招いての演奏となったが、「今日はなかなかレアなセットです」との小出の言葉どおり、このステージでしか観ることのできないだろう、はっちゃけたBase Ball Bearを存分に堪能できた。

その名が綴られた赤、白、黒の幟はためくステージにほら貝の音が響きわたると、客席いっぱいに稲穂が揺れた。アーティストの数多しといえど、稲穂をグッズにするなんてレキシ以外いないだろう。

徳島には初上陸だというレキシ、予想以上の浸透度に感激を隠せないようだ。その稲穂を使う唯一の曲「狩りから稲作へ」では“♪縄文式土器 弥生式土器 徳島!どっちが好き?”と歌の中に地名を混ぜ込んで呼びかけたり“イナホ”でコール&レスポンスを起こすなどあっという間に5000人を独自のワールドに惹き込み、また“阿波の踊り子”ことチャットモンチーのフィーチャリングが話題を呼んだ「SHIKIBU feat. 阿波の踊り子」ではふたりを招いて生コラボを実現、オーディエンスを大いに沸かせた。

レキシいわく、この曲の衣装である十二単は実は橋本を想定して作ったそうだ。ふたりのコーラス参加も橋本が平安貴族っぽいという流れからオファーしたという。ソウルフルなレキシの歌声と阿波の踊り子たちのキュートな声の相乗がいつまでも耳の奥をくすぐった。

バンドとバンドの幕間は中山女子短期大学に池乃めだか、ダイアンという小籔のキャスティングによる吉本新喜劇の手練芸人たちが盛り上げる。重鎮、池乃めだかのステージは小籔とチャットモンチーも加わっての寸劇仕立てで爆笑を呼んだ。橋本の果敢なツッコミや得意の足技カニばさみにもがく福岡、ずっこけギャグにベタにひっくり返るふたりの姿というのもそう観られまい。

佐藤タイジの圧倒的な声量とブルージーな熱き魂、日本人離れしたファンキーなビート感で前半戦を締めくくるはシアターブルック。広がりを持ちながら、まっすぐに聴き手を捉える音像の立体的なスケール感、結成30年の余裕と貫禄が一音一音に宿り、それらが包容力となって会場全体を、あるいはオーディエンスのひとり一人を抱きしめるかのようだ。

「ここで徳島のみなさんにお願いがあるんよ。みんなでピースサインをしてるところが見たい」と「ドレッドライダー」の曲中に佐藤がそう呼びかけるのに応えて、オーディエンスのピースサインが一斉に天を突く。

「素晴らしいやんか、この徳島でこんな巨大なフェスができるなんて。さすがチャットモンチー、素晴らしい後輩ができました」、同じく徳島県出身の先輩としてふたりを讃える佐藤。「じゃあ、いちばん盛り上がる演奏をしてあげる。音楽に集中しよう」と2曲目「まばたき」へ。聴く者を軽やかに奮い立たせる、ブレイブミュージックとでも名づけたい1曲だ。100%ソーラーエネルギーでレコーディングされた歴史的名曲「もう一度世界を変えるのさ」、踊る阿呆に見る阿呆を徳島の哲学だと語り、5000人を鼓舞した「ありったけの愛」。彼らがステージを去った後には溢れんばかりの愛とメッセージが残った。

1時間の休憩を挟んで、後半戦の一発目はドラマー小籔が率いる吉本新喜劇ィズだ。名は体を表わすの慣用句を持ち出すまでもなくメンバーは本気でバンドをやりたい新喜劇の精鋭たち。ただしベースには福岡晃子が参加という異色のコピーバンドの登場に場内がざわつく。まだ1曲も演奏していないうちから激しく息切れしてみせ、「吉本新喜劇ィズはRED HOT CHILI PEPPERSみたいな発音、略すときは“よっチリ”と呼んでください」と言い放ち、笑いを取るボーカルの宇都宮まき。カバー曲の歌詞の一部は必ず新喜劇の誰かの名前に差し替えるという強引ワザながら、演奏自体は至極真っ当で、その不思議なバランスに却って興味が引かれた。今後、要注目かもしれない。

初日のライブもいよいよ大詰め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの名がコールされるや、2階席の最後列までオーディエンスは総立ちに。刹那の静寂を突き破り、「Easter」が容赦なく客席へと攻め入る。エモーションの塊から切り出されたばかりのような荒々しい熱がほとばしる。間髪入れずに「リライト」「ソラニン」とキラーチューンを畳み掛け、場内に巨大なシンガロングの渦を巻き起こした。

MCでは後藤正文が吉本新喜劇ィズの息切れネタを早速拾っては「1曲目から息切れてるわけないじゃんね」と爆笑を誘っては「なんか緊張してるように見えるよ、徳島の人たち!でも俺もそんなに明るいほうじゃないから、俺らはそういうのも否定しないよ。たぶん心の中ではダイブとモッシュでしょ?それぞれの楽しみ方で最後まで楽しんでくれたらうれしいです」と語りかけて客席をほぐす。そうして叩き付けるアジカンサウンドの最新形、新曲「Right Now」。「All right part 2」では「俺たちのど真ん中を呼び込みたいと思います」と橋本絵莉子をコーラスに迎えて会場にさらなる一体感を生み出した。

「みなさんこんばんは!チャットモンチーです」 「初日に来てくれてありがとう!すごいよ、徳島にこんなに人が集まるなんてホンマにうれしいです」

橋本、福岡が口々に感謝を伝える。ライブアクトのトリはもちろんチャットモンチーが務める。前説に、レキシに、池乃めだか師匠に、吉本新喜劇ィズに、アジカンと振り返れば丸1日、ほぼ出突っ張りの橋本と福岡だったが、チャットモンチーとしてはこれが正真正銘の本番だ。恒岡章(ds)と下村亮介(key、g)の男性サポートメンバー“男陣”、北野愛子(ds)と世武裕子(p、syn)の女性サポートメンバー“乙女団”と一緒に6人の大所帯で披露する「8cmのピンヒール」に今なお進化をやめないチャットモンチーの、今だからこその等身大を見る思いがした。ツインドラムの分厚いリズムも、下村の弾きむしるギターも、世武のダイナミックな鍵盤プレイも、今のふたりの等身大にぴったりとそぐう。故郷に飾る錦は彼女たちの存在そのものであるような気さえした。

男陣との4人で駆け抜けるように演奏した「こころとあたま」、かわいさとやるせなさとしたたかさが三つ巴で溢れ出す乙女団との「ときめき」、それぞれがそれぞれとでなければ生まれなかっただろう両極に位置する2曲を同じライブで聴けてしまう、贅沢な幸福感。

「初めての“こなそんフェス”の記念すべき初日でこんなに成功してしまったらこのあとどうなるんやろ?“苦あれば楽あり”が染みついてるから、次は苦が来るんじゃないかって」と少々不安そうな橋本に「あったらあったでしゃあない。今日はみなさんの笑顔が見られてホンマよかった。これだけ成功したら、ちょっとした苦は受け入れましょ」と鷹揚に返す福岡が男前だ。橋本も橋本で「わかった、そうする!」ときっぱり。そうした微笑ましいやり取りの中にもふたりがどれほどこのフェスを念願していたかがわかる。デビュー当時の10年前には描いてすらいなかっただろう夢が、今、たしかにここに実って、大きく鳴り渡っていた。

徳島でも指折りの有名連(連とはひとつの踊りのグループのこと)、蜂須賀連による見事な演舞と、さらにはチャットモンチー率いる“かもし連”が客席を踊りながら練り歩き、5000人全員を“踊る阿呆”と化した阿波おどりでクライマックスを迎えた初日。一緒になってお囃子に身を委ねては一心不乱に踊る。そこには音楽に内在するプリミティブな喜びがあった。それはジャンルも何もかも取っ払って残る核だ。“こなそんフェス”は改めてその大切さを教えてくれる無二のフェスとなるかもしれない。2日目はもはや楽しみでしかない。

<2月27日(土)セットリスト>
白い朝に咲く
1. 日々の泡

Base Ball Bear
1. 17才
2. そんなに好きじゃなかった
3. 不思議な夜
4. 曖してる
5. 十字架You and I
6. changes
7. 祭りのあと

レキシ
1. 狩りから稲作へ
2. 年貢 for you
3. SHIKIBU feat. 阿波の踊り子
4. きらきら武士

シアターブルック
1. ドレッドライダー
2. まばたき
3. もう一度世界を変えるのさ
4. ありったけの愛

ASIAN KUNG-FU GENERATION
1. Easter
2. リライト
3. ソラニン
4. Re:Re:
5. Right Now
6. 今を生きて
7. All right part2
8. 君という花

チャットモンチー
1. 8cmのピンヒール
2. シャングリラ
3. こころとあたま
4. いたちごっこ
5. ときめき
6. Last Love Letter
7. 風吹けば恋
8. きみがその気なら

愛する地元への恩返しと、さらには愛する音楽を通じて出会った大切な人たちを自慢の故郷へ招待したいというおもてなしの心とが結実した最高のフェスティバル。チャットモンチーがデビュー10周年の節目に主宰する“こなそんフェス”こと“チャットモンチーの徳島こなそんそんフェス2016~みな、おいでなしてよ!~”がそれだ。初日を大成功に収め、迎えた2日目は前日にも増して暖かなフェス日和で場内も場外もいっそうの盛り上がりをみせた。

2日目のオープニングアクトはTHE NINJA。黒子のお忍びトオルが打つ拍子木を合図に忍び装束の頭巾をかぶったメンバーが登場し、場内をざわつかせる。バンド演奏の脇で演目の台紙をめくっては番傘を操る黒子のパフォーマンスもさることながら、徹底して和の世界観を歌詞に織り込んだポップセンス溢れる音楽性で客席を惹きつける。こちらも徳島を中心に活動する、チャットモンチーおすすめのバンドだ。

開演に先立っては初日同様、橋本絵莉子と福岡晃子のふたりに加え、共同で今フェスのプロデュースを務める吉本新喜劇の小籔千豊の3人がステージに現われ、フェスをより楽しむための“こなそんルール”を解説するなど、大いにオーディエンスの期待を煽る。ここで小籔が口にした「“こなそんフェス”はたいやきで言えばケツまであんこが入ってますな」はけだし名言だ。「じゃあ、一組目のアーティストを紹介します」と橋本、福岡が声を揃えてバンド名をコール。そうして2日目の幕が上がった。

メンバー手製のすだちくん(徳島県のマスコットキャラクター)に乗り、客席を横断するという型破りの登場でのっけから場内を沸きに沸かせる四星球。徳島に拠点を置き、全国各地で年間100本以上のライブを行なっている、その名に違わぬ地元の星だ。チャットモンチーとは大学時代の軽音部で一緒だったという、いわば同級生バンドであり、おそらくもっとも付き合いの長いバンドでもある。2階の観客に向けて「見えてますか!」とこれまた手製の視力表を広げたり、「全員が振り付けをしてくれたら、あっこちゃんの秘密をひとつバラします!」などと結成15年のキャリアで培った熟練の力技であっという間に5000人を一体に。

結成当時からのライブの定番曲「クラーク博士と僕」ではメンバーの身代わりに紙人形をフロアにダイブ、「運動会やりたい」では事前に座席に仕込んでおいた紅白の紙で客席を二組に分け、腿上げなどで対決させるなどやりたい放題。エンタメ精神炸裂の奇天烈なライブが展開される中、「あの子らはステージでメッセージを発する子ではないけど、その活動のスタンスこそがメッセージになっている日本の数少ないバンド。僕たちもそうなりたいし、ジジババになっても長いこと一緒にやっていきたい」と語り、「今度は僕たちがここをいっぱいにしてチャットモンチーを誘います」と宣言したボーカルの北島康雄のMCがひときわ胸を打つ。

KANA-BOONのステージは、シーンの最前線を突っ走る彼ららしい勢いに満ちて、アスティとくしまを興奮の渦に巻き込んだ。昨年の大ヒットチューン「なんでもねだり」からライブに欠かせない鉄板曲「ウォーリーヒーロー」と分厚くソリッドなアンサンブルを響かせる堂々とした佇まいは、これが徳島初上陸とは思えないほどだ。

MCでは谷口鮪と飯田祐馬のふたりが「KANA-BOONはチャットモンチー姐さんの所属するレコード会社の後輩で、僕らが小6だとしたら高3ぐらいなんですけど、そういう意味でもチャットモンチー先輩はかわいいですよね」などメロメロトークを繰り広げてオーディエンスの共感を誘う。初めての土地ながらも、リリースされたばかりのアルバムから「anger in the mind」を披露する意気やよし、演奏が進むにつれ、突き上がる拳で埋め尽くされていく光景は痛快の一語。

「ないものねだり」では満場のコール&レスポンス、「フルドライブ」では大合唱が起こり、ステージと客席の距離もみるみるうちに近しいものに。「さっきもおいしい徳島ラーメンを食べさせてもらって、もう住みたいくらい。ツアーでもぜひ来たいです」と徳島再訪を誓ったあとは「ランアンドラン」「シルエット」で狂騒に拍車をかけた。

熱いのはバンドの演奏だけではない。今日の幕間を盛り上げるのは吉本興業の人気コンビたち。しずる、千鳥、笑い飯と、それぞれのキャラクター全開で届けられる爆笑ネタに喝采が相次ぐ。生で見る漫才、コントの破壊力はまた格別だ。

THE SPECIALSの名曲に琉球民謡をミックスした自身によるカバー曲「Enjoy Yourself (It’s Later Than You Think)」をSEに登場したのはMONGOL800。沖縄と徳島、地元愛の邂逅とも言おうか、阿波おどりのお囃子同様、独自のリズムと音階がオーディエンスを魂の根底から揺さぶる。高里悟が徳島市の四国大学卒業という縁から今回の出演をオファーするに相成ったそうだが、こうして地と地の繋がりをリアルに体感できるのも今後、このフェスの魅力となるだろう。「徳島ー!あーそびーましょー!」と上江洌清作の掛け声一発、「DON’T WORRY BE HAPPY」の陽気なビートが会場いっぱいにほとばしった。

「もっと遊ばにゃそんそん!」と畳み掛けるは「あなたに」だ。サビの“あなたがいれば どこでもいいよ”が“徳島”に替え歌されると客席も大喜び。5000人の温かなシンガロングが応えて響きわたる。「こっちに来るの、久しぶりだね」と儀間崇が懐かしそうに声を弾ませれば、上江洌は「完全に吉本の芸人さんのおかげでハードル上がってますね。こんばんは、BEGINです。……これで許してください!」と渾身のギャグを披露と人柄の滲み出たMCもまた温かい。「小さな恋のうた」で再び大きなシンガロングを起こし、「最後まで“こなそん”楽しんでいってね!」と宴にぴったりの「PARTY」でフェス前半戦は大団円。

1時間の休憩タイム中にもステージ両サイドに設けられたスクリーンではチャットモンチー自らのナレーションによる徳島観光VTRや、橋本が踊り手を、福岡が解説をそれぞれに務める阿波おどり講座の映像が上映されるなど隅々まで行き届いたふたりの心遣いが客席を楽しませる。

そうして後半戦、緞帳がゆっくりと開くと、ステージには凛とした佇まいでスタンバイするPerfumeの姿があった。大勢のアーティストが登場するフェスという都合上、凝った舞台装置も照明も何もない。まっさらなステージ上で、しかし指先まで神経の行き渡ったしなやかな身のこなし、3人揃っての寸分乱れぬ華麗なパフォーマンスワーク、そして中毒性の高い音楽と歌声、ただそれだけで圧倒的な存在感だ。

1曲目「Pick Me Up」の感情を一切排しアンドロイドに徹するかのような完璧なダンスに息を呑みながら、彼女たち自身の放つ光そのものが目をみはるほどに眩しいのだと改めて知らされる。近県である広島出身ながら、これまた徳島には初上陸だというPerfume。実は今年初めてのライブでもあるらしい。チャットモンチーの心づくしのもてなしを大絶賛し、さらに「お客さんもあったかい!こんな空気は初めてよ。おかげで私たちホコホコです」と、あ~ちゃん。

Perfumeライブでは恒例の“「P.T.A.」のコーナー”では、“す”“だ”“ち”のコール&レスポンスで5000人全員がすだちくんポーズを決め、「今日ここだけの名曲を仕上げよう!」と会場全体を巻き込んでチャットモンチーの「長い目で見て」を歌い上げるなどチャットに負けぬサービス精神を発揮。最後は「チョコレイト・ディスコ」で明るく盛り上げ、6月には再びツアーでこの会場に戻ってくることを告げてオーディエンスを喜ばせた。

楽しい時間は瞬く間に過ぎる。いよいよライブのラストアクト、チャットモンチーのステージだ。ギターとベースをそれぞれに構えた橋本絵莉子、福岡晃子の背後で高速ビートがはじける。どよめく客席、ドラムを叩いているのはなんと小籔千豊ではないか。“こなそんフェス”ならではのスペシャルな編成で披露されたのは「風吹けば恋」だ。テンポも速く、ドラムの手数も多いだろう曲だが、ふたりが“大阪のチャットモンチーメンバー”と呼ぶ小籔千豊のプレイは驚くほどにパワフル。しかも今日初めて3人でこの曲を合わせたのだというから二度びっくり、もちろんチャットのふたりも大興奮だ。

「2日目、来てくれてありがとう。みんなの笑顔を見ているだけで、もうすでにやってよかったです。見てるだけで満足だけど、一応、主宰だからライブやります!」

小籔を拍手で見送ったあとはサポートメンバーの“男陣”と“乙女団”が揃って登場し、「シャングリラ」で6人一体となった迫力満点のアンサンブルを響かせる。昨年11月にはこの6人で日本武道館のステージを大成功に収め、確実に手応えを得たのだろう。“こなそんフェス”2日間を通して、彼女たちのサウンドにはもはや1ミリの迷いもない。さらには地元の安心感、フェスのいい空気も伸びやかさに作用しているに違いない。いつにも増してリラックスした力強さが音全体に宿っているのを感じる。

スタッカートが効いた鍵盤とリズムを伴奏に“♪今日は気持ちがいいな まさにこなそんの2日目”と橋本が歌って客席に太い歓声を起こした男陣との「いたちごっこ」。元気よく腕を振りながら♪デューワ、デューワと声を重ねる、ふたりの牧歌的なコーラスも目に耳に心地よい。一転、乙女団との「Last Love Letter」は切実かつスリリングで、歌詞に描かれた心情がいっそう生々しく胸に迫った。

「今日も裏でいろいろ取材を受けて、いっぱい聞かれたんですよ、“また絶対やりますよね”って。でも、この1年、フェスをやるってホンマに大変なんやなって思ったんですよ。もちろん私たちができないこともいっぱい、いろんな人にやってもらったし。だから“はい”って答えながらも、簡単に“やります”とは言いたくなくて。また、昨日と今日みたいな日がもう一回、作れるならまたやりたいと思ってます。すごく大事にしたいフェスです」

この2日間を振り返りながら、福岡は率直な想いを打ち明けた。その想いにオーディエンスが満場の拍手で応える。「どうでしたか?」と振られた橋本の口からはもはや「最高!」しか出てこなかった。2日間の出演者の名をひと組ずつ挙げながら、感謝を述べるふたり。“こなそんフェス”のラストソングは「きみがその気なら」だ。朗々とした歌声と演奏がステージを晴れやかに締めくくったが、もちろんこれで終わりではない。

今日もまた見事な演舞で客席を釘付けにした蜂須賀連、そしてチャットモンチーのふたりが有志による“かもし連”を率い、先陣を切って客席を踊り歩いた阿波おどり。オーディエンスも率先して踊りに没頭、ステージ上でも昨日と同様に出演アーティストたちが法被をまとっては一緒になって手を足をひらひらと動かしている。「やっとさー」、ふたりの掛け声に「やっと、やっと!」と5000人が叫ぶ。最強の一体感、このうえなく美しい光景がそこにはあった。

♪歌う阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃそんそん こなそんそん!

最後は全員でそう声を揃えて迎えたフィナーレ。会場いっぱいに溢れる笑顔がこの2日間の大成功を物語っていた。

<2月28日(日)セットリスト>
THE NINJA
1. 切り捨て御免
2. SHU-RI-KEN
3. Oh!myちゃんこブルース
4. 寿司と芸者
5. 別府温泉ぶらり旅

四星球
1. 妖怪泣き笑い
2. クラーク博士と僕
3. 運動会やりたい
4. ネタ
5. Mr.Cosmo
6. 豪華客船ドロ船号

KANA-BOON
1. なんでもねだり
2. ウォーリーヒーロー
3. anger in the mind
4. ないものねだり
5. フルドライブ
6. ランアンドラン
7. シルエット

MONGOL800
1. DON’T WORRY BE HAPPY
2. あなたに
3. himeyuri ~ひめゆりの詩~
4. OKINAWA CALLING
5. Rise & Shine
6. Oh Pretty Woman
7. 小さな恋のうた
8. Love song
9. PARTY

Perfume
1. Pick Me Up
2. エレクトロワールド
3. ナチュラルに恋して
4. STAR TRAIN
5. FAKE IT
6. チョコレイト・ディスコ

チャットモンチー
1. 風吹けば恋
2. シャングリラ
3. こころとあたま
4. いたちごっこ
5. ときめき
6. Last Love Letter
7. 8cmのピンヒール
8. きみがその気なら

TEXT BY 本間夕子
PHOTO BY 古溪一道


リリース情報

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ALBUM『変身(ForeverEdition)』


チャットモンチー OFFICIAL WEBSITE
http://www.chatmonchy.com/


 

 

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