椎名林檎、全国ツアー『椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015』がWOWOWにて独占OA

1998年のデビュー以来、次々とクオリティの高い楽曲を世に送り続け、多くのリスナーを魅了してやまない孤高の音楽家・椎名林檎。大晦日の「第66回NHK紅白歌合戦」で見せたパフォーマンスも記憶に新しいが、「自作自演」を標榜する彼女は、その音楽性もさることながら破格の芸術性でステージプランを構築し、それを圧倒的な表現で自ら体現する、言わばセルフプロデュース力についての評価も高い。

そんな椎名が、ソロとしては2003年の『雙六エクスタシー』以来、実に12年ぶりに展開した全国ホールツアーが『椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015』。大盛況のうちに幕を閉じた全国11ヵ所18公演のなかから、WOWOWでは12月9日、神奈川県民ホールで行われた公演の模様を独占放送する。

“MANGARAMA”の文字が刻まれた御札(おふだ)のような物体が宙を舞う。その暗闇の中央から、椎名は結界を破るかのように登場すると「凡才肌」を歌い出す。艶かしい振袖姿から発せられる、ほとんど絶唱のようなその刹那の歌声は、観客を一曲目から釘付けにする。次いで「やさしい哲学」で“どこにだって行ける”と宣言し、「いろはにほへと」で“浅い夢 見やしゃんせ”と惑わせる。そして「尖った手口」の終盤、虚無僧に扮したのMUMMY-D(RHYMESTER。※映像ゲスト)が念仏よろしくラップを唱え終えると、一同は“娑婆”へと降臨を果たし、“期待通りに思惑通り”と現世を謳歌する「労働者」へと突入する。スリリングかつドラマチックな目を見張る展開に、観客はもはや彼女の虜だ。

ツアータイトルの「彼奴等」とは、スペシャルバンド「MANGARAMA」のことを指す。玉田豊夢(ds)、鳥越啓介(b)、ヒイズミマサユ機(key)、浮雲(g&vo)、名越由貴夫(g)、村田陽一(trombone)、西村浩二(trumpet)、山本拓夫(sax・flute)という日本最高峰の演奏家たちは、ロック、デジタルからファンクのスパイスが効いた高速ジャズなど、あらゆるジャンルを咀嚼し、呑み込み、吐き出していく。その盤石の演奏スキルはまさしく“もののけ”そのものである。

だが何より圧巻なのはやはり椎名のボーカルだ。声量といい、テンションといい、このクオリティをツアー中ずっと維持していることが、半ば信じ難いぐらいだ。さらに中盤ではヒットシングル「本能」リリース時のビジュアルを彷彿とさせるナース服(!)で、コケティッシュなダンスまで披露するのだから驚かされる。

最新アルバム『日出処』の収録曲「走れわナンバー」や、東京事変の楽曲である「群青日和」に、多くのリスナーへ自身の存在感を鮮烈なまでに刻み込んだ「罪と罰」など、新旧のナンバーにコラボ曲や他のアーティストへの提供曲を加えて構成された珠玉のセットリストは、ファンのみならずとも値千金だ。特に「至上の人生」「神様、仏様」「長く短い祭」という最新シングル曲に対する観客からの熱いレスポンスは、つねに最新曲が最高の作品で在り続けているという、椎名の比類なき音楽家としての存在感を物語っているかのようだ。

黄泉と娑婆とを自由に行き来する椎名と彼奴等のパラレルな百鬼夜行は、「NIPPON」で爽快な大団円を迎える。楽曲に合わせて次々とフォーメーションを変える4基の大型のLEDスクリーン。そこへ映し出されるウイットに富んだ数々の映像。そして和装に洋装、モードにセクシーと様々に表情を変えていく衣装の早替えなど、どの角度から観ても見どころしかないスペクタクルなライブである。観客に自身のキャリアを一望させながら、そのうえでさらなる極みを、しかも美しく見せつけたこの一大エンタテインメントショー、ぜひとも心ゆくまで堪能してほしい。

TEXT BY 内田正樹


番組情報

WOWOWライブ『椎名林檎ツアー「椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015」』
02/21(日)21:30〜


番組特設サイト
http://www.wowow.co.jp/music/ringo/


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