another sunnyday ALBUM「YOLO」ディスクレビュー

YOLO

ALBUM

another sunnyday

YOLO

ghost records

2013.11.27 release

<CD>


スキルと経験があればこその衝動

向上心や探究心旺盛な音楽家なら、自分たちの音楽の可能性をメインのバンドとは異なる角度からも追求してみたくなるのは、ごく自然なこと。ストレイテナーのドラマー、ナカヤマシンペイとギタリストの大山純が、伊藤文暁(元serial TV drama)と美登一(THE RODS)と共に2010年に結成したバンド、another sunnyday。彼らもまた、そんな音楽に対する純粋な情熱から誕生したバンドなのだと思う。

そのアナサニが完成させた3rdアルバム『YOLO』。これがもう、1stばりの初期衝動に溢れたストレートでフレッシュな一枚なのだが、実はこれこそが、各メンバーのスキルや経験がなければ作り得ないものだということに気づく。

例えば、ひずんだベースからカオスなバンド・アンサンブルに突入し、中盤のサビ前で超早口リーディング・ボーカルを炸裂させる「ユーグレナ」。ドラム×ベースが作る怒濤のグルーヴにギターが絡んでうねる「夜道のハイライト」。ほとばしるアドリブ感とライブ感から、完全に一発録りと思われる「ライオネルベイビー」。いずれも混沌寸前のスリリングなサウンドを響かせながら、アナサニならではの軽快なメロディ、リアリティある言葉、そして、「ハログレア」で際立つボーカル伊藤の、”永遠のロック少年”級のナイーヴな歌声を軸にして聞き手をまるごと受け止めるストレートでドでかい道を作り、あくまでも”わかりやすい楽曲”として完成させていく。

スキルや経験値が上がり、作品の数が増えると、知らぬ間に重箱の角をつつくような難解ラビリンスに陥りがち。まるでそこを逆手に取るかのようなアナサニの痛快すぎる猛撃は、“刺さった先から滲んでる衝動”(「MORNING STIR」)が消えない限り、これからも続くだろうと期待している。

(早川加奈子)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

M-ON! MUSICの最新情報をお届けします。

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人