クリープハイプ – アルバムを携えてのツアー“秋、零れる程のクリープハイプ”。彼らにとってこのツアーはどんな意味があるのか? 金沢公演から探る。

クリープハイプ

 11月10日、横浜からスタートしたツアー“秋、零れる程のクリープハイプ”の9本目となる金沢EIGHT HALLを訪れた。このツアーは、7月にリリースされたニュー・アルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』を携えてのもの。全15本の折り返しを終えたばかりのこのライブで、彼らはどんなパフォーマンスを見せてくれるのか? 終演後にメンバーに聞いたこのツアーについての話とともに、この金沢でのライブをレポートする。

TEXT BY 河口義一(WHAT’s IN? WEB編集部)/PHOTOGRAPHY BY 関信行(go relax E more)

 

こっちも探ってお客さんも探っている状況は当たり前なんだから、
だったらこちらから先に提示して

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会場に到着したのは午後3時頃。その会場がある商店街には、もうすでにツアー・グッズの販売を待っているファンの長い列ができていた。ここ金沢はクリープハイプにとって初めて訪れる場所。だから当然ファンも、そしてメンバーの期待度も高い。
ただメンバーにとっては、「お客さんも楽しんでいるだけじゃなく、新しい曲をどうやって演奏するんだろうって思ってる感じはしますね。新しい場所だと特にそんな感じがします」(小泉拓)というように、初めての土地、そして新曲たちを携えてのライブがどうなるのだろう? というちょっとした不安も抱えて……なのかもしれない。

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会場に入るとちょうどリハーサルが始まる直前で、尾崎世界観はスチームでノドのケアをしているところだった。ステージでは小泉拓が一足先にサウンド・チェックをしている。徐々にメンバーが加わり、4人揃ってのリハーサルに突入した。セット・リストの中から、いろんなナンバーを順不同で合わせていく。モニターからの音のバランスを各人が確認。そんなちょっとした音合わせの演奏でも、曲にすっと引き込まれてしまう。ライブを重ねて演奏が練れてきた証拠だろう。
リハーサルも無事に終わり控室に戻ると、このライブを撮影するカメラマンが先日撮影した写真を4人で見たりしたりしながら開演までの時間を過ごす。開場時間も過ぎ、オーディエンスが入ってくると会場内はすぐに人で溢れる。そして場内が熱気で包まれた頃、ついにライブがスタートした。

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おなじみのアッパー・チューンでスタート(まだツアー中なので詳しい話が書けなくてすみません)。そして2曲目にいく前、尾崎はオーディエンスを挑発するかのように目をむいて客席を見わたした。それに煽られるように会場中のテンションが一気に跳ねる。

「やっぱり初めてのところが難しいというのはありますね。でも前まで、“それはこちらのせいだから頑張ろう”ってことだけでやっていたけど、今回のツアーはそれをちゃんと受け止めて、何が違うかってことを考えて。こっちも探ってお客さんも探っている状況は当たり前なんだから、だったらこちらから先に提示して、お客さんが安心して楽しめるようにしようってバンドで話し合いました」(尾崎世界観)

この日、彼らのライブに初めて触れたオーディエンスが、自然に音に身を任せているのは、楽曲の持っている力はもちろんだが、彼らが今、大事にしているこんな気持ちのせいに違いない。

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シングルだけでなく、新作からは次々と初めて披露されるナンバーが演奏される。アルバムを代表するナンバー「ラブホテル」、ライブ・チューンとして永く愛されていくだろう「あ」、カオナシ作の「かえるの唄」、ファニーなサウンドが魅力の「マルコ」などなど。今日が9本目ということもあるが、その新曲たちはCDとはまた違った表情を見せ始めていた。それが今までの楽曲と並ぶことによって、過去から現在までを包括した、“今”のクリープハイプを見せてくれる。クリープハイプの楽曲は、人の生々しい感情がリアルに瞬間パックされているが、新作は、その感情の幅も表現の幅も格段に大きくなった傑作。それらの曲がこれまでの曲と交わったライブを目の前にすると、逆に過去の曲も新曲に引っ張られるかのように変化しているのがわかる。

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