Suck a Stew Dry EP「世界に一人ぼっち」ディスクレビュー

世界に一人ぼっち

EP

Suck a Stew Dry

世界に一人ぼっち

LASTRUM

2013.11.20 release

<CD>


“世の中みんな一人”を生きていく強さに替えて伝えるEP

Suck s Stew Dryを聴いていると、’00年代以降の日本の音楽シーン、わけても“J-ROCK”と言われるバンドが築いてきた道の太さを思い知る。ここ数年の間に力をつけてデビューしてきた“J-ROCK”系バンドの多くが、BUMP OF CHICKEN、ASIAN KUNG-FU GENERATION、あるいはRADWIMPSや9mm Parabellum Bulletあたりを聴いて音楽を志したと認めているし、’09年に結成されたSuck a Stew Dryも少なからずそうした“J-ROCK“の進化の中から誕生したバンドだろうと思える。

最も大きな特徴は、例えば彼らの6曲入りの新しいEP「世界に一人ぼっち」のタイトル曲でも象徴的な、スピーディーにかきならされたギター・サウンドの上で、その二分の一倍速で1音1音に旋律を乗せていくスタイル。AメロもBメロもサビもほとんどが拍通りにメロディが与えられている。この二層構造によって、立体的なギター・サウンドが形成され、劇的なサビが聴き手になにがしかのドラマを喚起させる、という構造だ。だから、この「世界に一人ぼっち」も、“いつだってみんな気づいているように世界で一人なんだ”という孤独を綴った歌詞ではあっても、決して寂寞感を伝えない。むしろ、その孤独を力に替え、外に向けて発信していく強さを大らかに訴えていく。一見、厳しさを孕んだネガティブな言葉も、こうした二重構造の高揚的なギター・ロックをバックにすると、それは自身や聴き手に向けての激励となって届くのだ。“世界で一人ぼっちかもしれないけど、一人でも僕は平気だよ。だってみんな一人なんだから”というような激励。

彼らがそうした構造を意識しているかどうかはわからない。間奏としてギター・ソロを挿入していたり、終盤のサビ前で音数をいったん少なめにして抑揚をつけてみるような方法論は決して新しくはないし、彼ら自身も斬新なスタイルを探しているわけではないかもしれない。音作りをわかりやすくし、ドラマチックにすることで、言葉を真意を明確に伝えたい。誰が何と言おうが、Suck a Stew Dryというバンドの根幹には、そんな至極当たり前の思いがあるのかもしれない。

(岡村詩野)

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