tofubeats EP「Don’t Stop The Music」ディスクレビュー

Don’t Stop The Music

EP

tofubeats

Don’t Stop The Music

ワーナーミュージック・ジャパン

2013.11.13 release

Limited Edition/写真 <CD+ソノシート>
Normal Edition <CD>


ポスト・インターネット世代のメジャー・デビューEP

のっけから個人的な話で恐縮だが、tofubeatsの名前を初めて聞いたのは、たしか、DE DE MOUSEからだったと記憶している。当時、神戸に住む高校生だった彼が、DE DE MOUSEに送ったという音源のクオリティが驚くほどに高く、そこから交流が始まったという話を聞き、多くのリスナーと同じく、筆者もSoundCloudやbandcamp、ネット・レーベル、Maltine Recordsを通じて公開されている音源を聴くようになった。そこでは住んでる場所や有名無名、ジャンルなどを問わず、音を介してリスナーやクリエイターが繋がる、もうひとつの音楽の現場があり、その柔軟にしてフラットなコネクションから生み出される作品の耳新しい響きとその響きをフレッシュなままに届ける作品リリースのスピード感は、新しい技術を駆使して、音楽で遊ぶことに長けた新しい世代の感性そのものであるように感じられた。

そして、彼は今年4月に名曲と名高い「水星 feat.オノマトペ大臣」を収録したアルバム『lost decade』をリリース。さらにこの作品のアウトテイク集『lost decade (outtakes)』をbandcampで、フリー・ダウンロードのリミックス盤『lost decade remixes』をMaltine Recordsで公開。増殖的に作品世界を拡大させると、リミックス仕事を集めた『university of remix』と内容の異なる配信限定バージョン『collage of remix』も同時リリースし、彼の楽曲を一気に溢れさせることで、tofubeatsの内に秘められたカオスのスリリングな感覚も鮮明に可視化してみせた。

そのうえでリリースされた今回のメジャー・デビュー・シングル「Don’t Stop The Music」は彼があらたなチャレンジへと踏み出した記念すべき作品だ。つまり、メジャーの枠組みの中で、おそらくはかつての作品リリースのスピード感と引き替えに、不特定多数のリスナーに音楽をどう届けるかという試行錯誤へ移行していく、その出発点としてのデビューEP。アイドルのオルタナティブ化をいち早く実践した森高千里を迎えたハウシーなタイトル曲に、神聖かまってちゃんのの子をフィーチャーした2曲目の「おしえて検索」。さらに自身のボーカルをフィーチャーした桜田淳子のカバー「神戸で逢えたら」とガラージ・チューン「In Real Life」という異なるベクトルの楽曲を並列させているところがいかにもtofubeatsらしい。さらに特筆すべきは彼の楽曲に見て取れるしなやかなビート・アプローチとメロディやリフのポップ感覚だろう。今後、作品リリースを重ねることで、彼の音楽の根幹を支えるそうした要素によりフォーカスが絞られていくだろうし、その強度の高まりが世代を超えて彼の音楽を広げていくことになるのだろう。この作品にはそんな予感が詰め込まれている。

(小野田雄)

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