bloodthirsty butchers ALBUM「youth(青春)」ディスクレビュー

youth(青春)

ALBUM

bloodthirsty butchers

youth(青春)

キングレコード

2013.11.14 release


吉村は言った、「俺の最高傑作な音像なのよ」と。

いや、参ったなこれは。聴いていて、いやおうなしに表情が歪んでしまう。ひとつには豪快にして痛快極まるサウンドに思わず笑ってしまうからであり、もうひとつには、どうしたって今年5月27日に急逝してしまったリーダー・吉村秀樹のことが思い起こされるからであり。いずれにせよ「俺の最高傑作な音像なのよ」という、氏が唯一本作について言及したツイートに100パーセント首肯せざるを得ないブッチャーズ最高傑作といえる金字塔、それが通算13作目のアルバム『youth(青春)』だ。

何しろ1曲目から「レクイエム」、つまり鎮魂歌であり、「人は死んだらここから 消えて何処へ行くんだろう あたり前の様に又 夜に手をかける」という歌い出しに一気に心が鷲掴まれてしまう……。いや、ここはひとつ感傷を振り払って、作品それ自体を解読してみよう。その「レクイエム」から「コリないメンメン」、そして「デストロイヤー」へと連なる冒頭からとにかく圧巻で、名手・小松正宏と射守矢雄による重戦車のごときグルーヴ、幾千のコトバを圧縮したような倍音ギターの共鳴、透明感溢れるチャコちゃん(田渕ひさ子)のコーラス、そして武骨だが底深い哀しみと優しさを湛えた吉村のボーカルと、ロック・バンドとしてのカタルシスに満ちた、あの唯一無二のブッチャーズ・サウンドが威風堂々と奏でられる(この巨大空間で鳴り響くようなサラウンド感はなんだ!?)。とりわけ「デストロイヤー」は、アルバム・タイトルを体現するようにエモーショナルな疾走感とともに青春の絶頂へと駆け上がる珠玉のナンバーで、「史上最高にポップな曲!」と完成時に吉村が語っていたのも納得。そして、アルバムの熱量がピークに達するのが終盤の「ハレルヤ」「youth パラレルなユニゾン」のフェーズ。獰猛な16ビートの前者から後者に至るその過程で、バンド・サウンドは昂りながらも極限まで浄化され、ココロの底から沸き上がるような、混じりっ気ないピュアな生命力で聴き手をすっぽりと包み込む。そう、すべての音とエモーションが清々しいほどまっすぐに解き放たれているのだ。ただ未来だけを見据えて。

本作のリリース日から遡ること28年前──1986年の11月14日に、札幌で初ライブを行ったブッチャーズ。彼らの結成28年目は、どこまでも気高く、そして儚くも美しい轟音と共に幕を開けた。

(奥村明裕)

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