Lyu:Lyu – バンドが持ち合わせる現時点での力を存分に放出した“The 1st “Best of Lyu:Lyu” tour”の最終日、LIQUIDROOM公演をレポート!

Lyu:Lyu

TEXT BY 森 朋之/PHOTOGRAPHY BY 大参久人

歌の世界と自分自身を重ねることで、自らの感情を揺さぶる

 シングル「潔癖不感症」のインタビューの中でコヤマヒデカズ(vo、g)は、こんな言葉を残している。 

「アルバム(1stフル・アルバム『君と僕と世界の心的ジスキネジア』)を発売したときから、このツアーを見据えてたんですよね。このツアーに向けてアクセルを踏み込んできたし、ファイナルのリキッドで全部出し尽くすっていうのは、今年のやるべきことだと思ってるので」

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 全国ワンマン・ツアー<The 1st “Best of Lyu:Lyu” tour>のファイナル、恵比寿LIQUIDROOM公演。この日、Lyu:Lyuの3人は(コヤマのコメントどおり)、“現時点におけるベスト”と称するにふさわしいライブを見せてくれた。心にたまった葛藤、現実と理想の乖離、周囲への違和感と自己嫌悪などをリアルに映し出しながら、圧倒的なカタルシスを伴ったロック・ミュージックへと結びつける——それはまさに、このバンドにしか体現できないステージだったと思う。

 オープニング・ナンバーの「空-カラ-」(’10年にリリースされた1stミニ・アルバム『32:43』の1曲目に収録。つまり、Lyu:Lyuのスタートを象徴する楽曲だ)が鳴り始めた瞬間から、3人の気合いがダイレクトに伝わってきた。鋭さと強さを兼ね備えた純市のベース、重厚にしてしなやかなビートを放つ有田清幸のドラムもパワーアップし、バンド全体の芯がさらに太くなっていることがはっきりとわかる。もちろん、コヤマのテンションも最初から全開。人間のなかにある根本的な虚しさ、悲しさを爆発させるようなボーカルはまさに圧倒的だ。

「ワンマンの始まりには、いつも同じことを言ってます。ここに来てくれた人、誰ひとり欠けることなく、最後まで全力で相手をします。みんなも最後までついてきてください」というコヤマの言葉を挟み、「アノニマス」「文学少年の憂鬱」が続けざまに演奏される。

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“滑稽に映ろうが 他人の真似しなきゃ不安で仕方ない”(「アノニマス」)

“誰か名前を呼んで 僕の/突然悲しくなるのは何故”(「文学少年の憂鬱」)

 人間の本質を鋭く突き刺すようなフレーズを、一人ひとりのオーディエンスがしっかりと受け取っている。全員が同じように盛り上がるのではなく(会場の中にはまったく身体を動かさず、曲に入り込んでいる人もいた)、歌の世界と自分自身を重ねることで、自らの感情を揺さぶる——この感覚もまた、Lyu:Lyuのライブの特徴だろう。 

 ライブ中盤で披露された新曲「メシア」も心に残った。濃厚なバンド・グルーヴの中で、“死ねやしない。だから、生きてくれ”というメッセージを含んだ歌が響き渡るこの曲は、Lyu:Lyuの表現がさらに深まっていることを明確に示していたと思う。

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最初の到達点と言うべきこの日のライブ

 ライブ終盤では有田が立ち上がり、バンド結成時のエピソードを話した。電話嫌いのコヤマから連絡があり、バンドに誘われたこと。最初のスタジオでthe pillowsの「Funny Bunny」をセッションしたこと。そのときに“この3人だったら、デカいことが出来る”と感じたこと。その後3人は、様々な困難を乗り越え(このツアー中にも機材車が故障しかけたり、純市が足を骨折するなど、数々のトラブルに見舞われたという)、最初の到達点と言うべきこの日のライブを迎えた。その事実に強く心を動かされてしまう。

「潔癖不感症」からは、高揚感を備えた楽曲が続く。エッジの効きまくったギター・リフ、心地よいダイナミズムを備えたリズム・セクションがひとつになり、開放的なバイブレーションが広がる。“楽しく騒いで、嫌なことを忘れる”ではなく、複雑な感情を抱えたまま、ロックの爆発力とともに前に進んでいく。このバランスこそがLyu:Lyuの本質なのだと、改めて実感できるシーンだった。

 終演後、コヤマに「節目のライブになりましたか?」と聞いてみると、「それよりも、次にやりたいことがどんどん出てきてるんですよね。明日から新しい曲を作ろうと思って」という答えが返ってきた。<The 1st “Best of Lyu:Lyu” tour>と題されたツアーをやり遂げた彼らは今、新しい場所へと進もうとしている。そこで生まれる楽曲をさらに多くのオーディエンスと共有したいと心から願う。そう、このバンドを必要としている(そして、まだ彼らの音楽に触れていない)人たちはまだまだたくさん存在しているのだから。

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SETLIST

01. 空-カラ-
02. Seeds
03. カッターナイフと冷たい夜
04. アノニマス
05. 文学少年の憂鬱
06. 嘘と朝日
07. わずか60cmの長さで
08. Y
09. メシア(仮)(新曲)
10. 生命線上の8ビート
11. 神経町A10街
12. 潔癖不感症
13. 黒煙
14. 回転
15. それは或る夜の出来事
16. 花よ花よ
-ENCORE-
01. Started World
02. 暁
-W ENCORE-
01. 心臓

PROFILE

リュリュ/コヤマヒデカズ(vo、g)、有田清幸(ds)、純市(b)により’09年に結成された3ピース・バンド。現在までにシングル「嘘と朝日」「潔癖不感症」、ミニ・アルバム『32:43』『太陽になろうとした鵺』『プシュケの血の跡』、フル・アルバム『君と僕と世界の心的ジスキネジア』をリリースしている。

SPECIAL INFORMATION

ww_lyulyu_03ディストーテッド・アガペー」更新中。
コヤマヒデカズが5回にわたり連続短編小説を執筆します。
本格的に小説を書くのは初めてだというコヤマヒデカズによる小説。
現在は第1回目となる「田中の話」を公開中!
更新は毎月25日。ぜひご覧ください!!

「ディストーテッド・アガペー」特設サイトはこちらから

LIVE INFORMATION

【ワンマン】
The 1st ” Best of Lyu:Lyu” tour 2013 extra ~Side-B~
2014年01月16日(木)渋谷O-Crest

【イベント】
COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013年12月28日(土)・29日(日)・30日(月)・31日(火)幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール
※Lyu:Lyuの出演は12月30日(月)

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