RIP SLYME SINGLE「SLY」ディスクレビュー

SLY

SINGLE

RIP SLYME

SLY

ワーナーミュージック・ジャパン

2013.11.13 release


これぞリップ。年齢不詳、時代不詳のヒット・チューン現る

 いわゆるダンクラ(ダンス・クラシックス)、’70年代後半のディスコ・ヒットの香りがプンプンするなんともあたらしなつかしな一曲。大人気ドラマ「リーガルハイ」主題歌ということで30~40代のリスナーをあえて狙ったのか、単なるFUMIYAのマイ・ブームなのかは不明だが、ファットな質感のキックとスネア、チャカポコしたパーカッション、ストリングスの短いパッセージ、キラキラした金物系の装飾音が2013年の耳で聴くとやけにフレッシュに響く。演奏のキモはハマ・オカモト(OKAMOTO’S)の弾くベース・ラインで、若さに似合わずオッサン感のある(良い意味です)骨太な音でぐいぐい迫る。20年ぐらい経って聴き直したらいつの時代の曲かわからなくなるような、年齢不詳、時代不詳のヒット・チューンですねこれは。

 SLY=ズルい、という言葉はもともと「リーガルハイ」の主人公=古美門のキャラからイメージしたもので、“ズルイ男とズルイ女の恋の駆け引き”をイメージした世界観は少々コミカルの入ったドラマ仕立て。こういうテーマで冴えるのは昔からSUさんと決まっていて、今回もやってくれてます。ディスコ時代のヒット曲によくあった“妖しげな男性ファルセット”を再現しているのだが、浮ついた声質といい微妙なウソっぽさといい(良い意味です!)、まさにハマリ役。何度聴いてもニヤける楽しさと、本物志向の巧みな曲作りが一体となった「SLY」は、RIP SLYMEのあらたな王道チューンの仲間入りをしたと、リリース前から断言してみる。

 カップリング「PRISM」は、PESが“’90年代トレンディ・ドラマのイメージで”作ったという、ソフトでメロディアスなAOR風サウンドが心地よい歌ものチューン。結果どっちもテレビ・ドラマに縁のある曲になったのだが、何を隠そう12月4日リリースのアルバム『GOLDEN TIME』のテーマが“テレビ番組のような多彩なエンタテインメント”だという見事な流れ。一見ノスタルジックな大人ムードを漂わせつつ、新しい時代のエンタテインメント音楽として成立させてしまうRIP SLYMEの手腕は相変わらずハイ・レベルだ。アルバムを楽しみに待とう。

(宮本英夫)

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