新山詩織 SINGLE「ひとりごと」ディスクレビュー

ひとりごと

SINGLE

新山詩織

ひとりごと

ビーイング

2013.11.13 release


微妙で宙ぶらりんな私の“ひとりごと”

淡々としたドラム・マシンにベースとギターのアルペジオ。そこに一瞬フルートのような音色の一吹き。それはまるで冷たい風の中で孤独に吐く溜め息のようだ。そのサウンドのメンタリティのままに聴こえてくる新山詩織のドライな歌声は、低めのレンジで現れる独特のシャリ感もあってドキッとする。「砕けた心」と歌うのは10代独特のペシミズムゆえなのか、「演技しながら生きる そんな日々は どこかに捨てるの」から想像できる大人の望むいい子でいる自分に愛想を尽かしたゆえなのか。とにかく何か漠然とした敗北感を抱えた自分を、新山詩織は俯瞰の目で見つめ、吐露する。「誰も知らない 笑顔の花が 待っているから」と未来への期待は口にするが、けっしてオプティミストになりきれていない。そんな微妙で宙ぶらりんな心境が横たわっているのだ。

前作「Don’t Cry」のときも感じたが、新山の作品にはそれを誰かにわかってもらおうとするウェットな必死さがない。もちろんいい意味で。自分の内面と正直に向き合い、結論はなくとも、その過程で出会った言葉たちを歌にしてみる。それを歌うことで、客観的にその言葉を選んだ自分を見つめて直す。そんな行為を続けているように思えるのだ。新山自身はおそらく無意識なのだろうが、「ひとりごと」とはまさにだなと思った。サウンド・プロデューサー笹路正徳が紡ぎ出す緊張感ある音も、歌声にまといつくメンタリティをていねいに支えていていい。

カップリングはいつものようにカバー曲シリーズ。今回の「イージュー★ライダー」は笹路から勧められて取り組んだとのこと。なんと新山はこの曲がリリース年された1996年生まれ。17歳が30歳の歌をうたうってどんなんかなぁ、どんな景色が見えたのかな、どんなふうに共感したのかな、そんなふうに想像しながら、どこかちょっと戸惑い気味な歌声を聴くのが楽しかった。

(藤井美保)

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