Chara ALBUM「JEWEL」ディスクレビュー

JEWEL

ALBUM

Chara

JEWEL

キューンミュージック

2013.11.13 release


“時間散歩”を楽しめる代表曲満載のセルフカバー・アルバム

時を越え、一瞬にして気持ちが繋がる。今の時代のいちばんの浪漫は、そういうことになるのかもしれない。かつては距離を超えることも浪漫だったけれど、交通や通信手段が発達するにつれて、もはや現実的な意味での距離は軽く超えられるようになった。けれども時はいまだ越えられないし、タイムマシーンはまだまだ登場しそうにない。時を越えられるのは、相変わらず人の心の中でだけ。そして音楽は、そういう時間旅行ととても相性がいい。

Charaの『JEWEL』は、まさに時間旅行そのものと言ってもいいアルバムだ。1991年のデビューから今までの間に発表された楽曲の中から、厳選された12曲をセルフ・カバー。といってもアレンジ違いはもちろん、曲によってはメロディや歌詞もあらたに加えられたものもあるので、リメイクとも言える内容になっている。だがそのあたりの”手の入れ方”が、なんともいい塩梅。例えば「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」の浮遊感のあるイントロや、「やさしい気持ち」のズンズンしたリズム・パターンなどはキッチリ踏襲。基本的にどの曲も、もともとの色合いを尊重しながらライブ・バージョンの延長のような感じでリメイクされている。

かといって、だったらオリジナルとさほど変わらないかというと、そんなことはない。簡単に言えば、ほどよくユルい。いい意味でいい加減。”テキトー”ではなく”適当”。肩の力を抜いてアタシも楽しんじゃってます~的な気楽さがある。そこがキャリアであり、さすがChara。だから聴いているこちらも、なんの気なしに時を飛び越えていろんな時間を散歩できる。それが実に楽しい。

22年という音楽キャリアを背景に、音でたっぷり遊んだ『JEWEL』。ともに音を作ったミュージシャン、エンジニア、ジャケットと「やさしい気持ち(Special Kiss ver.)」MVにも登場する愛娘SUMIRE、「世界」のドラムを叩いている愛息Himi、そして音楽……。そうした宝物のお裾分けにあずかれる、とても豊かなセルフカバー・アルバムだ。

(前原雅子)

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