風味堂 ALBUM「風味堂5 ~ぼくらのイス~」ディスクレビュー

風味堂5 ~ぼくらのイス~

ALBUM

風味堂

風味堂5 ~ぼくらのイス~

ビクターエンタテインメント

2013.11.10 release

初回限定盤 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


すべて新曲によるベスト盤!? とも言うべき5thアルバム

親しい人の、ふとした仕草やちょっとした口癖に“その人らしさ”を感じたとき、なんだかとてもうれしくなる。“そうそう、これこれ”といった“らしさ”には人を安心させ、くつろがせてくれる温かさがある。

風味堂、4年ぶりの5thアルバム『風味堂5~ぼくらのイス~』は、そういううれしさに溢れた作品だ。アルバムの紹介文に、「風味堂の風味堂らしさとはどんなものなのか深く考えさせられました。その答えを僕らはこの作品で模索しています」(vo&p・渡 和久)とあったが、たぶん風味堂の3人が意識している以上に、この作品に収められた10曲は”風味堂らしさ”に彩られているような気がした。

ピアノトリオ・バンドとしてのシンプルかつ自由度の高い演奏、ジャズやファンクやブラック・ミュージックといった“黒っぽさ”の流れを汲んだフレージング、けれども全体にはポップでロック……。特にコード感とリズムには、“そうそう、これこれ”という風味堂“らしさ”が歴然とある。

思えばこの3人、それぞれがリズムを紡ぎ出すと言っても過言ではないバンドだ。ドラムとベースはもちろん、ピアノもかなり打楽器の要素は高い。ゆえにスカっぽい「パズル」、リズムの間が面白いヒップホップ調の「光の道」、マーチな感じもある「夢を抱きし者たちへ」などは、ものすごく似合う。また「夢は二度目から」「ワガママンのテーマ」のコード使いなども、待ってました! の“らしさ”全開だったりする。さらにラップを取り入れた楽曲(「光の道」)や、こんな低音のボーカルは聴いたことがないと思った鳥口JOHNマサヤ(b)作詞作曲の「銀河鉄道」(今回は鳥口作の楽曲2曲を初収録。もう1曲は「静かな夜の向こうへ」)をはじめ、あらたな試みも散りばめられている。

ここ数年、ソロ活動がメインだった風味堂。けれど3人が別々のフィールドで手にしたものを持ち寄って作られた新作が、まるで代表曲を集めたベスト盤のような“らしさ”に満ちている──。その事実がなんとも素敵な、10周年イヤー突入にふさわしいアルバムである。

(前原雅子)

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