BOOM BOOM SATELLITES DVD&Blu-ray「EXPERIENCED Ⅱ-EMBRACE TOUR 2013 武道館-」ディスクレビュー

EXPERIENCED Ⅱ-EMBRACE TOUR 2013 武道館-

DVD&Blu-ray

BOOM BOOM SATELLITES

EXPERIENCED Ⅱ-EMBRACE TOUR 2013 武道館-

Sony Music Records

2013.11.06 release

永久仕様 <LIVE CD+DVD>
初回生産限定盤 <LIVE CD+Blu-ray>


先駆的ライブ・アクトが逆境を乗り越えた先で立った高み

イギリスを中心にダンス・ミュージックのカルチャーが爆発したセカンド・サマー・オブ・ラブのまっただ中の1990年に結成されたBOOM BOOM SATELITES。ファットボーイ・スリムやケミカル・ブラザーズに牽引されたビッグ・ビートの盛り上がりに後押しされる形でヨーロッパ・デビューを果たした中野雅之と川島道行のふたりは、2000年代に一般化することになるライブ形態でのダンス・ミュージックを実践した先駆的なグループでもある。

もともと、ダンス・ミュージックというのはその匿名性が好まれる音楽であったが、近年、コンピューターで簡単にダンス・トラックを作ることができるようになったことで飽和しつつある音楽シーンに対して、逆にBOOM BOOM SATELITESのふたりはそれぞれが個性を凝縮し、存在感を放つことで、そのライブもロック・バンドさながらのパフォーマンスへと時間をかけて変化していった。

そして、デビューから15年を迎えた2013年5月3日、“ロックの殿堂”とも呼ばれる日本武道館のステージに立った彼ら。その胸にはどんな想いが秘められていたのか。今年1月リリースの最新アルバム『EMBRACE』完成直後にボーカル川島道行の脳腫瘍治療により全国ツアー中止を発表。その回復、復帰直後に行われた初の武道館ライブということもあり、想像を絶する困難やプレッシャーがそこにはあったはずだ。

その日のライブを映像+CDに収めた作品集『BOOM BOOM SATELITES EXPERIENCED Ⅱ-EMBRACE TOUR 2013 武道館-』を前にして、彼らは“病気からの復活”という色眼鏡をかけずに楽しんでほしいと語る。しかし、ネガティブなものをポジティブなものへと転換するダンス・ミュージックの魅力を体現してきた彼らのライブ作品は、音楽の解放感とともに、一本のライブを通じて、その困難やプレッシャーに立ち向かい、乗り越えてゆく様を楽しむべき作品といえるだろう。長年培ってきた揺るぎないダンス・トラックと明暗のコントラストが際立つリリック、そうした要素を一身に背負うボーカルの川島と演奏、機材面で強力にバックアップする中野。映像効果や舞台装置を削ぎ落としたライブ映像、そして、スピーカーやヘッドホンのLRから伝わってくるのは彼らふたりのソウル、その爆発的な熱そのものである。

(小野田雄)

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