家入レオ SINGLE「太陽の女神」ディスクレビュー

太陽の女神

SINGLE

家入レオ

太陽の女神

ビクターエンタテインメント

2013.11.06 release

初回限定盤/写真 <CD+DVD>
通常盤 <CD>


あなたにとっての太陽のような存在は誰ですか?

 家入レオの歌詞の書き方が変わった。通算5枚目となるニュー・シングル「太陽の女神」は、現在、オンエア中の月9ドラマ「海の上の診療所」の主題歌として、高校卒業後に初めて書き下ろした新曲である。彼女はこれまでもドラマやCMのための、いわゆるタイアップ曲を書き下ろしてきたが、基本的には作品のテーマに自身の経験や心情を重ねたうえで、自分の生き方や考え方をまっすぐに歌ってきた。例えば、4枚目のシングル「Message」は、ドラマ「確証〜警視庁捜査3課」の主題歌だった。刑事ドラマという、彼女とはかけ離れた題材であったが、登場人物のひとりである若手の女性刑事と新人のシンガー・ソングライターである自分の心境をリンクさせ、最終的には、ファンレターに対する返事にも似た直接的なメッセージを込めた楽曲となっていた。簡単に言えば、ドラマの世界観に寄り添いつつも、あくまでも自身の強い意志を込めたメッセージ・ソングに昇華することが、彼女の歌の特徴のひとつでもあり、“私の気持ちをわかってほしい”という自意識をリアルに吐露することで、同時代を生きる10代からの共感を集めてきた。それは、決して悪いことではない。同じような悩みや葛藤を抱えている人にとっては、間違いなく必要な音楽である。

 しかし、「太陽の女神」の歌詞は、これまでよりも複層的な構造になっている。ここで歌われているのは、決意や信念といった“感情”ではなく 、“物語”である。ドラマのテーマとも繋がっているのだろうが、この3分30秒の歌の中に、別の、もうひとつのドラマがあると言っていいだろう。主人公である“僕”は、ある日、自分にとっていちばん大切な人は、何気ない日常の中にいたことに気づく。僕が進む道を照らし、種から花になるまで見守っていてくれたのは誰だったのか。自分にとっての「太陽の女神」が実は、そばにいた“君”であると確信した“僕”は、穏やかな気持ちで君に逢いにいく——。もちろん、そこには家入自身の想いも反映されているし、自分にとっての大切な人を思い浮かべてほしいというメッセージも込められているだろう。だが、これまで以上に、フィクショナルと自分のリアルを1本の脈略あるドラマにする技術が上がっているし、主人公の年齢や環境は断定されてないため、間口がより広がっており、聴き手も年齢や性別に関係なく、自分を投影できる内容となっている。また、サウンドや歌声の面でも、新しい変化がある。最初にイントロを聴いたときに、“あれ? 間違って違う人のCDを入れてしまったかな!?”と感じたくらいなので、まだ耳にしてない方は、その新鮮な驚きを味わって欲しい。

(永堀アツオ)

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