MOROHA – MOROHAーー1MC+ギターで圧倒的な言葉の力を発するユニットだ。音楽に感情を込めることの素晴らしさを再認識する待望の新作について聞いた。

MOROHA

生々しいのではなく、ここで生きているという生き様そのものとしての言霊を吐き、集め、紡ぐ——。スポークン・ワードとラップの境界線に立ち、不屈のファイティング・ポーズをとるMC。絶え間なく放たれる言葉に離れがたく寄り添い、ときにせめぎ合って扇動しながら、リスナーを強く揺さぶるリアリズムを高めていくアコギのループ。アフロ(MC)とUK(g)のふたりきりから成るMOROHAが、3年ぶりの2ndアルバム『MOROHAII』を完成させた。この3年、彼らが何を見て、何を感じ、そしていま何を射抜こうとしているのかが、全10曲に余すところなく刻みつけられている。本作に収録されている「三文銭」と「ハダ色の日々」のMVがYouTube上に公開されているので、とにかくまずは楽曲に触れてみてほしい。そして、何かを感じ取ったらぜひ以下のインタビューを読んでもらえたらと思う。

INTERVIEW & TEXT BY 三宅正一

 

3年かかった自分のふがいなさ、そのふがいなさと一生懸命向き合った

──まず、3年ぶりのアルバムを完成させた率直な思いから聞かせてください。

アフロ うれしいっすね。盤を出さないと届かない相手もいるので。そこに届けられることがすごくうれしいですね。

──前作もそういうものだったと思うけど、今作も全10曲に全身全霊を注げましたか。

アフロ そうですね。追われて作った曲はひとつもなくて。もちろん、作らなきゃという焦りはあったんですけど——それによって間に合わせの曲を作るのは絶対やめようと思ってたので。自分のなかで曲にしたいと思った出来事が起こったときにはじめて書ける。無理矢理、曲を作ることはとにかくしたくなかったし、しなかったです。

──自らの身に起こったことをドキュメントしないと意味がないし。

アフロ そうですね。“これでいいや”を一生懸命押さえつけてやれたのがよかったと思います。

──3年かかったのは必然だったと思いますか?

アフロ うん、思います。ホントは1年くらいのスパンで盤を出したほうが今の時代の流れ的にいいのはよくわかってるんですけど。自分たちにそこまでの力がなかったんだと思うんですよ。間隔を空けずにいいアルバムを作るのも絶対的な力だと思うので。それがなかったんだと思いますね。

──それが素直な気持ちだし。

アフロ はい。ホントに一生懸命やったけど、3年かかったというのは——時間に追われて間に合わせで曲を作ってるやつらとは違うんだという思いも0ではないですけど——それよりもやっぱり3年かかった自分のふがいなさ、そのふがいなさと一生懸命向き合った時間を思いますね。

──UKさんはどうですか?

UK 全10曲というのに僕らはこだわって。作品を出そうと思えば5曲でミニ・アルバムだったり、8曲でフル・アルバムだったり、いくらでもパッケージの仕方はあったと思うんですけど。でも、やっぱりどうしても10曲にこだわりたかった。ただ、3年かけて制作したことに関して特に思い入れはなくて。さっきアフロも言ってましたけど、制作期間というよりも、どれだけ1曲1曲に自分自身を込められたかに重点を置いてきたので。結果的に3年かかったんですけど、1stを出して以降の自分たちを全部出せた実感があるので。聴く人によっては“へたくそだな”とか“1stのほうがよかった”って思う人もいるかもしれないけど、少なくとも僕ら自身はそういう意見を削れる自信をもってます。

「これがヒップホップだ」ってムキになって言ってました

──このインタビューでMOROHAの存在を知る人も少なくないと思うので、改めてなぜこの音楽的なスタイルと方法論に至ったのか、その経緯を聞かせてもらいたいんですけど。

アフロ 僕はこいつ(UK)と組む前に地元(長野県上田市)の友だちとクルーを組んでラップしてたんですね。クラブの音響ってみんな首を振りたいからローを強くするじゃないですか。当時は俺のスキルのなさもあって、リリックが全然伝わらなかったんですよね。

──それはいろんなラッパーが抱えている普遍的な問題でもありますよね。

アフロ そうですね。でも、ホントにこだわってるやつらはPAを連れていくわけじゃないですか。そこまでやって聴き取ってもらえないなら誰かのせいにもできたんですけど、当時の俺たちはオリジナルのビートを作ってるわけでもなく、持ち込みのレコードを流してラップしていて。PAもハコの人に任せてたし。自分自身も音の知識が全然ない状態でやってたんですよね。今思えば“もうちょっとてめえで頑張れよ”って思うけど、当時は“もう、方法論自体を変えちゃおう”と思って。で、クルーの活動を止めて、ギターを弾けるこいつが近くにいたので、“一緒にやろうぜ”と。それからこいつとラップとギター1本でライブをやり始めたときに、いろんなことを言うやつがいたんですね。「こんなのヒップホップじゃねえ」とか。

──ああ、言われそうですね。

アフロ 別に「俺たちはヒップホップだ」って声を大にして言いたいわけじゃなかったけど、「そんなのヒップホップじゃない」って言ってるのは大抵格好ばっかりつけてアングラぶってる寒い奴だったから、「これがヒップホップだ」ってムキになって言ってました。

──UKさんとは高校時代の同級生なんですよね。

アフロ そうですね。もともと高校時代から仲が良くて。お互い高校を卒業して上京してからずっともがいてる感じで。こいつはこいつでバンドを組んでいて、活動を爆発できてない感じもあったし。俺もすごくもがいてたし。こいつは高校時代も軽音学部でバンドを組んでギターを弾いていて、俺はへたくそなくせにずっと野球をやってたんですね。

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