TRUSTRICK
神田沙也加とBillyによるユニット、TRUSTRICKが1stアルバム『Eternity』でメジャー・デビュー! ”TRUST”と”TRICK”という真逆の単語をかけ合わせたユニット名どおり、遊び心あるサウンドといい意味での毒が混在した世界が広がる1枚。ぜひ、手に耳にしてほしい。
INTERVIEW & TEXT BY もりひでゆき
Billyの曲を聴いて、すぐに歌ってみたくなっちゃったんです
──TRUSTRICKはどんな経緯で生まれたユニットなんですか?
神田沙也加 私の中にはグループとして活動したいっていう思いがずっとあったんですよ。それがユニットになるのかバンドになるのかはわからないけど、作曲できる人がメンバー内にちゃんといて、セルフ・プロデュースみたいな形でやっていけたらいいなって。そういう思いから先輩のミュージシャンの方にいろいろな方を紹介していただいていた中、“あ、この人とだったらやっていけそうだな”と思えたのがBillyだったんです。
──どんな部分で“やっていけそう”と思ったんでしょう?
沙也加 ミディアムとアップの2曲を発注したら、今回のアルバムに入っている「ATLAS」と「wonder」を送ってきてくれたんですけど、それがすっごい良かったんですよ。
Billy 音楽的な趣味や思い描いている方向性を聞いたうえで、パパッと作って送ったんです。そうしたら2時間後くらいに歌詞がついて、歌が乗っている状態のデータが返ってきて。
沙也加 もう、すぐに歌ってみたくなっちゃったんです。だから思わず歌詞を書いて、すぐ送り返してしまったという(笑)。
Billy 僕の音楽人生の中でそんなことっていうのは初めての経験だったので、すごく興奮しましたね。
──歌詞についてはどう感じましたか?
Billy 言葉選びがすごく洗練されているし、自分の書いたメロディに対して“こういう歌詞がついたらいいな”と漠然と思い描いていたものをより明確にしてくれる感じがありましたね。そういう人にはなかなか出会えないものなので、ほんとにビックリしました。
──ある種、運命的な出会いを果たしたおふたりだけに、ユニットとしての方向性もすぐに定まった感じですか?
Billy そうですね。そこはわりと最初から明確でした。沙也加さんはミュージカルをやられていたり、女優やモデルの仕事をされているので、総合的に考えてちょっとゴシックなイメージを目指そうということになって。
沙也加 ゴシックと言ってもゴスロリみたいなイメージではなく、どちらかと言うと高潔さとか高貴な部分を大事にしたいっていうことですね。
Billy そういう方向性を持ったうえで、沙也加さんの透明感のある声をいかに生かすかということを考えながら制作していきましたね。結果、今回はすごくバラエティに富んだ内容になったんですけど、次はもうちょっとコンセプチュアルなものをやってもいいのかなとは思っています。
沙也加 次の展望までもう話し始めた! 聞かれてもないのに(笑)。
Billy すみません、しゃべりすぎました(笑)。
今回はTRUSTが7、TRICKが3みたいな割合かな
──いやいや、先のビジョンが見えるくらいユニットとしての面白さがあるということですよね。今回のアルバムを聴かせていただくと、本当にいろいろな可能性を持ったユニットだということが伝わってきましたよ。
沙也加 今回はたまたま『アナと雪の女王』をやっている時期ということもあったので、聴き手の方が神田沙也加に求めているであろうクリーンなイメージの比重を大きくしたところはありました。そこが聴き手の方の“信頼(=TRUST)”に応えることだと思ったから。なので安心感を持って聴いていただけるとは思うんですけど。
──でも、いい意味での“毒”もちゃんと見えていますよね。それがユニット名に含まれる“TRICK=いたずら、策略”の部分だと思うんですけど。
沙也加 そうですね。今回はTRUSTが7、TRICKが3みたいな割合かな。このふたりでやれることの振り幅はもう感覚としてわかってきたから、次はもうちょっと照準を絞ってもいいのかなって……って先のこと言うと怒られるか(笑)。
Billy 聞かれてないから!(笑)
──あははは。最初に生まれたという2曲だけでも、その幅はしっかり感じられますよね。「ATLAS」はこれまでの沙也加さんのイメージを裏切らないドラマチックな曲。
Billy 静かな導入から、サビでドーンと盛り上がる感じですね。ちょっと冷ややかな温度感を入れたところがこだわりだったりするんですけど。
沙也加 自分の好きな王道さのあるサウンドだし、いい意味ですごく歌姫扱いしてもらえている感じがあって(笑)。なので、そこに乗っかった感はありましたね。とは言え、あまり魂込めて歌い上げると押しつけがましくなってしまうので、ちょっと淡々と歌ったんですけど。
──一方の「wonder」はロック・テイストのあるアップチューン。こういうスタイルは今までの沙也加さんのイメージにはなかったです。
沙也加 だと思います。今まではやってきてないですもんね。ひと言でロックと言っても、やっぱり適正があると思うんですよ。これは私でもイケるロックですね。
Billy 今までしてきたことをこのユニットでしても意味ないかなと思ったので、ちょっと試してみたというか。自分としてはイケるっていう確信もあったので。
──「Ever Blue」「君が居る未来のために」という2曲では、沙也加さんが作曲を手がけられていますよね。
沙也加 突発的に、風邪ひいたみたいにメロディが出てくることがあるんですよ。こっ恥ずかしいんで、ほんとすみませんっていう感じなんですけど(笑)。
Billy いやでも、音楽のルーツがしっかりある人なのでちゃんとメロディになっていますからね。歌手、神田沙也加の中に流れている音をそのままアウトプットできる絶好の機会だと思うので、ぜひアルバムには入れたいなと。今後もどんどん風邪ひいてもらえればなと思いますけどね(笑)。
1+1が無限になる感覚を味わえている
──この先、TRUSTRICKがどんな景色を見せてくれるのかが本当に楽しみです。
沙也加 私たちも楽しみ。1+1が無限になる感覚を味わえているので、もしかすると今が一番、音楽を心底楽しむことができているかもしれないです。
Billy 本当にふたりで音楽を作ることが今は楽しいでの、いろいろな可能性をどんどん探っていきたいと思ってます。
リリース情報
2014.06.25 ON SALE
ALBUM『Eternity』
日本コロムビア

【写真:初回限定盤CD+DVD】¥3,200+税
【通常盤CD】¥2,500+税