Chara – 約2年半ぶりとなるフル・アルバム『Secret Garden』が完成。彼女の音楽は彼女そのものでもある──今のCharaに触れて、感じて、包まれて……。

Chara

Charaと愛──今さら言うまでもなくベストな組み合わせ。けれども今回は両者の関係がやや様変わり。誤解を恐れずに言うなら、これまでCharaが愛を包んでいたのだとしたら、今回は愛がCharaを包んでいるような。それくらい大きな違いを感じた。だが、だからと言ってCharaのCharaたるゆえんであるガーリーさ、切なさ、愛しさ、温かさ……みたいなものが損なわれているわけではない。それどころか、そこは、むしろいつも以上。全作詞作曲+サウンド・プロデュース+鍵盤などの楽器演奏と、その才能を惜しみなく注ぎ込んだ2年半ぶりのフル・アルバムは、今までで最もChara度が高い作品として完成した。

INTERVIEW & TEXT BY 前原雅子

毎回、自分が女であることがテーマで、それを今回はこの言葉で

──『Secret Garden』は女性の子宮をイメージしたものだそうですが。なんだか言葉にするとインパクトがありますね。

ねっ(笑)。最初からコンセプトは“子宮”って言ってたわけじゃないんだけど、毎回、自分が女であることがテーマで、それを今回はこの言葉で言ってみたというか。そもそも歌い始めたきっかけが失恋だしね(笑)。メロディを書いたり、詞を書き起こす作業自体が、心の中の女のCharaっていうところが大きいから。ま、先に言っちゃうけど、今、幸せなんで。

──そんな感じがします(笑)。

するでしょ~(笑)。でも経年による身体変化の足音がヒタヒタしてきている私の感じも、いろいろ出てるアルバムだと思う。なんかこう……噂には聞いてるけど、切ないようなね。なんとなくそんなことを考えてた日が、たまたま、のちに「Secret Garden」という曲になっていく詞を書こうと思った日で。そのときに“Secret Garden”っていいなぁと思ったんですね。

──“Secret Garden”っていう言葉が。

そう。直訳したら“秘密の花園”ってことになるんだけど、言ってみれば、私たちミュージシャンって、本来は心の中に秘密にしておくものをさらけ出してるわけじゃない?(笑)そんなことも繋がって“Secret Garden”、いいな、気になるなって思ったんですよね。

──特に、この感じがいい! 好き! と思ったところというと?

まず、かわいらしい。あと「シークレットよ。シーッ……」って言ったら、ちょっとガーリーな感じもするし。それでいて、ちょっと悪い感じもするし、エロさも感じるし。そもそも男の人って、女の人が怖かったりするじゃない? わかりえない部分が怖いというか。まぁ、そこが魅力になってたりもするんでしょうけど。

──“シークレット”も“ガーデン”も、ちょっと刺激される言葉ですよね。

そうそう。人間って、いろんな真実や秘密を抱えて生きて死んでいくんだと思うんですよ。私もそうだと思うし。でも若い子が“Secret Garden”って言うと、また違う感じになるような気もして。それだと、ホントに“秘密の花園”のほう、長靴下系になっちゃうというか、“冒険!”みたいなね。私だってまだ冒険はしてるけど、闇雲に冒険というより、“冒険はもうずいぶんして参りましたので。さ、お話を読むわねぇ”っていう年頃なのかなぁて(笑)。だからうまく言えないけど、私みたいなお姉さんが言うのが……これがね、気に入ったんです(笑)。

ちょっとした憧れかなぁ……美和と呼ばれたい、みたいな

──だからというわけではないですが、この『Secret Garden』は、いい意味でキャリアを感じるアルバムだなぁと思いました。

マジですか?

──マジです。これもいい意味で、寛ぎを感じるアルバムだなぁと。

うれしいっす。今回はわりと家で録ったりしたものもあるし、リラックスして作れたかもしれない。なんて言うか、ここ何年か、本当の私ってなんだろ……みたいなことがちょっとあって。そういうのは、もちろん昔からあったとは思うんだけど。ほら、Charaって呼び名は、小学校3年生くらいからだから。もはや、その名前のほうが付き合いが長いくらいで。親友と知り合ったときも、もうすでにCharaだったし。もっと言うと、Charaで活動し始めてから知り合った人のほうがずっと多いから。で、ふと思うわけ、本当の友達っているのかなって(笑)。

──本名で付き合いのある友達が。

そうそう。名前なんて関係ないって話もあるんだけどね。でも考えるってことが、歌とか、歌ってる私たちの仕事でもあると思うんで、考えて、考えて、みたいなことをするんだけど。そうすると、“そ~よ、子供ふたり、独身の美和ちゃん(=本名)がねぇ……”って。

──自分がふたりいるような感覚ですか?

っていうより、ちょっとした憧れかなぁ……美和と呼ばれたい、みたいな。女性としてね、思うときがあるわけ、何十年もCharaやってると(笑)。だってさ、恋人になったり結婚したりしたら美和って呼びそうなもんじゃない? でも、ずっとCharaだったから。だから危うく「ママの名前はCharaです」ってなっちゃいそうだったんで、「ママは美和だけど」って子供に教え込んだんだけどね。でも初めてそこの部分に着目してくれるパートナーが出てきたので。

───きっとその感覚って、本名を呼ぶ呼ばないだけのことに留まらないんでしょうね。

それ、あるかも。ギスギス、キリキリしなくなったというか。いくら見返りは求めないことが愛だと思ってても、絶対、ついつい愛されたいって思うじゃない? で、キリキリしてたようなとこもあったと思うんですね。でも今はちょっと待てよ、と。言ってみれば普通のことなのかもしれないんだけど、なんか私、普通の生活みたいなのを味わってなかったのかもしれなくて。その普通のカップルっぽいことを今味わってるような気がしてる。

──その“普通”っていうのは、どんな感じのことですか。

本名で呼ばれたり、とか(笑)。

これまであんまり使ってなかった“愛される才能”というかね

──そういった変化のようなものは、アルバムからも感じられますね。もちろんこれまでも恋愛観を含めた愛観みたいなものは、その都度違ってきていましたけど、今回の変化はかなり大きくないですか? っていう気はしました。

変わったと思いますよ。なんか……今ふと思ったのは、あきらめる勇気みたいなことかな。それは悪いことじゃなくて、そうしないと次が始まらないってこと、あるじゃない? もともとCharaって名前の由来は、名づけた小学校の先生曰く“しゃらっと”(普通はできないことを平然とする、という意味)からきてるらしいんだけど。音楽をやってる以上、その“しゃらっとさん”が、どんなにつらいこと、悲しいことがあっても次に向かっていけるようにしてくれたから。そういう中で感情もひと回りして、心の筋肉運動もひと回りして、そこに年齢も関係して、これまであんまり使ってなかった“愛される才能”というかね。そういうのが、今は上手なんじゃないかな、どっちかっていうと。

──それ、すごくよくわかります。愛することは昔から上手だったと思うんですけど、今回のやさしい感じは“愛されること”からきているような。

それはあるかもねー。しかもそれが素直にできてるかも。誰だって変なプライドあるじゃない? でもそういうところじゃなくって、という感じかも。

──やはり全部出てしまうものなんですね、音楽には。

そこにサウンド・プロデューサーとか、誰かが入ってくると、また違うのかもしれないけど。今回はいなかったから、等身大よ~(笑)。

──なんだかひとりのシンガー・ソングライターの歌をずっと聴き続ける楽しさ、醍醐味って、こういうところにあるんだなと改めて思いました。

そう……かもしれない、そうだね。

“ソウル・ミュージックが好きなんだね、Chara”っていうのが出れば

──そういったことも含めて、この『Secret Garden』は本当にChara度の高いアルバムですね。

そうだと思う、Chara度は高いですよ、おそらく。ひとつ前のアルバム『Cocoon』もChara度は高かったけど、もうちょっとファンキーっていうか。それに比べて今回は、私が好きなゆっくりしたミディアム・ソウルっぽいものが多いから。“ソウル・ミュージックが好きなんだね、Chara”っていうのが出ればいいなって思ってたしね。だって私、ロックかソウルかって言われたら、ソウルのほうがいいなぁと思っちゃうし。ソウルへのちっちゃい頃からの憧れがあるから、リアリティもあるし、なにより自然なんですよね、自分にとって。

──それは感じました。ゆったり踊れるソウルというか。

そうそう。広い意味でのダンス・ミュージック。狂うように踊るばかりがダンス・ミュージックじゃないから。でもCharaの中にはちっちゃいときから変わらないものがあって、そこを守り続けた結果、表現することに熟練してきたっていう(笑)。そういうことでしょうね。そんなに難しいコードは使ってないし、テクニックとかでもないし、Charaっていう超個性的な楽曲をCharaの声を使ってやる、っていうところでの熟練。

──すると今回はサウンド面で“ソウル”はキーワードになっていました?

ちょっと意識してたのは、エレキ・ギターは少なくていい、だったかな。その代わりエレピとか鍵盤は多めにしようって思ってました。もともと私、鍵盤で曲を作り始めたんで。鍵盤のほうが、目つぶってても曲ができるみたいな感覚なんです。けど、ギターはそれより熟練してないの。でも衝動的なパンク・ロックっぽかったり、ブルースっぽかったりする曲はギターのほうが感じが出るんだよね。ただ今回はソウルっぽい、シンガー・ソングライターっぽいのにしたかったから、それで鍵盤を多めにって思ったんですよ。

──鍵盤だと、心と手が直結してるような感じなんですか?

うん、そう。祈り、みたいなもんかな。それでか、派手じゃないよね、今回のアルバム。でも本来そういうのが好きだから。

──それにしても今回のフンワリと柔らかくてやさしい感じ、とってもいいですね。特に「不器用」が好きでした。

アコギを弾く曲も一曲入れたくて。いつものことですけど、全体で46分くらいに収まるアルバムが好きだから、そうなるとバランス的に一曲しか入らないなぁと思って。家で録音して、普通だったらもう少し音を整理するところなんだけど、トラックダウンしないでデモのままのものを使ってるんですよね。

──そこがまたいいですよね、温かい感じがあって。

そう、荒削りだけどね。隠さない良さってあるなぁと思って。

──「Rainbow」もかわいらしくていいですね。

この曲は“KOE”というファッション・ブランドのイメージ・ソングとして書いた曲なんですけど。子供服、レディス、メンズ、マタニティって全部あるブランドだから子供と一緒に歌う曲がいいなと。それと、世界進出も考えてるってことだったので英語とかでもいいな、みたいな感じで「Rainbow」は考えていって。雨上がりに裸足でビシャビシャ踊ってるようなイメージがあったんで、妹の旦那のデイビットに、彼が娘と初めて虹を見たときの素敵なエピソードを歌詞にしてもらって。で、その姪っ子と一緒に歌ったの。

──また、“KOE”のもうひとつのイメージ・ソング「せつなくてごめんね」に漂う包容力が、とっても心地よかったです。

これはね、パートナーに向けて作った曲でもあるんだけど。ほら、もともと捧げ系だから(笑)。“KOE”のコンセプトが“小さな声を聞こう、心の声を聞こう”みたいなことでもあったんで、それは私がいつも思ってることでもあるし、なんか共通するなぁと思って。「こういうのもあります~」って聴いてもらったら、両方気に入ってもらえました。「せつなくてごめんね」は“KOE”の洋服を着させてもらって撮ったMVもあって、それもやさしくていい感じなんですよね。

このオールドな楽器は、もうヴィンテージになってきちゃってる(笑)

──そして今回は完全限定生産盤としてアナログ盤もリリースされますが。これはジャケットもまったく別のものになるんですね。

そうなんです。色もまったく違うしね。CDのほうは赤って感じで……なんか赤、多いよね。どうも自分の勝負のときは赤ってこと、多いかもしれない(笑)。プライベートでも赤を取り入れるのは、なんかラッキーな気がするし。

──ジャケットはどちらも“子宮”がテーマなんですか?

そうですね。なんかアルバムのコンセプトをいろいろ考えてたら、子宮の中に佇む、子宮の女神みたいな自分が思い浮かんで。いろいろ子供たちが遊びにくるのを、穏やかに見つめてるんだけど……みたいな妄想をデザイナーに話して。そしたら、このCDのデザインが出てきたんですけど。で、アナログのほうはね、これ、スーパーセンチメンタル号っていうの。

──“号”ってなんですか?

これは雪男で、身体の中が教会になってて。そこにあるパイプオルガンで演奏された切ないメロディとか和音の響きで、この雪男は動くという(笑)。“誰なの! あたしの誰かはどこなの!”って、バーン! タラリララ~~ン♪って、吹雪いてる白い世界を弾きながら歩いていく(笑)。「スーパーセンチメンタル」っていう曲のイメージ・キャラクターで、なかなか切ない目をしてるんだなぁ。

──だけどローラースケートは履いてる(笑)。

そうそう、ファンキーさは残ってるんですね。

──お腹のクネクネ模様は鍵盤のようにも見えますね。あと、頭には十字架ですか?

そーね、ホーリーさを出してるのかも(笑)。私、昔からホーリーな感じが好きで。ゴシックっぽい、バロックっぽい響きのオルガンとかもすごく好きで。なんか祈りっぽい感じが好きみたい。そこはもうブレてない。幼稚園からブレてないね。

───幼稚園からっていうのがすごいですね。

幼稚園に足踏みオルガンがあって。「美和ちゃん、先生の代わりに弾いて」って言われて弾いたりしたんですけど。ちょっと讃美歌っぽい曲を弾くのが好きで。ちょっと音が濁るの、コードが幅寄せして。そこも、ブレてない(笑)。

──あぁ、Charaっぽいですね、そのコード感(笑)。

でしょ? かまやつ(ひろし)さんにも「幅寄せるね~」って言われたこと、あります(笑)。自分じゃ気づいてない手癖みたいなものだと思うんですけど。そこもブレてないっす(笑)。

──そのブレてないCharaさんも、来年がデビュー25周年だそうで。

そうよ~。2013年に『JEWEL』っていうセルフカバー・アルバムを出して、自分の作品を振り返って。そういうことでもないと振り返らないでしょ? 振り返るって、曲が出来ない人みたいでカッコ悪いしさ、曲は全然できるタイプだし。だからカッコいいセルフ・カバーを作るっていうことで取り組んで、オリジナル・バージョンが好きな人にも「こっちもいいよね」って言ってもらえるようなものを作ろうと思って。そしたら、すごい勉強になったというか。自分の昔の声や個性と改めて向き合えたというか。

──そこで発見などもありました?

“生涯ガーリー”とか言ってますけど、実際、いろんな老いってあるじゃない? 例えば、私は自分の身体を楽器として使ってますから。声帯も筋肉で、それを使って頭蓋骨に声を響かせて歌ってるわけなんで、身体がすごい関係してるから、実はかなりストイック。もともとすごく歌える、持ってるものが違う人なら話も変わってくるかもしれないけど、あたしは歌手としてはハッキリ言って、そんなでもないんで。シンガー・ソングライターだから雰囲気やバランスもいいし、曲との相性もいいっていうだけで。歌だけだとねぇ……っていう人だから、ちゃんと調整をしないと。このオールドな楽器はさ、もうヴィンテージになってきちゃってるから(笑)。

──だからこその良さも、ありますけど。

そう。ヴィンテージのギターだって、ちゃんと手入れすれば、鳴らす人によってはいい音で鳴ってくれるんで。そういう部分も、わかったうえでやってるところがあるので。

──という“ヴィンテージ楽器”Charaを生で味わえるのが、3月末から始まるツアー“Chara Concert 2015 – Secret Garden – ”だと思うのですが。楽しみです。

私もです。1991年9月がデビューなので25周年に向けてのツアーになるなぁと。でも、いろいろと考えてることはあるので。まだちょっと言えないんだけど。よかったら気にしていてくれてると、うれしいです(笑)。

DISC INFORMATION

ALBUM 2015.03.04 released
『Secret Garden』
キューンミュージック

20150304_chara_cd

初回生産限定盤<CD+DVD>
初回仕様限定盤<CD>

20150304_chara_vinyl

アナログ盤

【CD】①スーパーセンチメンタル②恋は目を閉じて③ひかりの匂い④Secret Garden⑤hug⑥はちみつ⑦恋は危険さ⑧ラッキーガール⑨不器用⑩愛が素敵なものに惹かれていくだけだよ⑪せつなくてごめんね⑫恋文<Bonus Truck>⑬Rainbow<Bonus Truck>
【DVD】①hug②恋文③せつなくてごめんね④Heaven〜Chara Debut 23rd Anniversary Live〜

LIVE INFORMATION

“Chara Concert 2015 – Secret Garden -”
3月27日(金)大阪 NHK大阪ホール
3月28日(土)大阪 NHK大阪ホール
3月31日(火)北海道 Zepp Sapporo
4月3日(金)愛知 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
4月5日(日)福岡 Zepp Fukuoka
4月7日(火)岡山 倉敷市芸文館

4月16日(木)東京 中野サンプラザホール

※詳細は、CHARAWEB LIVE NEWS で。

PROFILE

1991年にシングル「Heaven」でデビュー。1996年には女優として出演した映画「Swallowtail Butterfly -あいのうた-」が大ヒット、1997年にはアルバム『Junior Sweet』が100万枚を超えるセールスを記録。2014年から、クロスカンパニー社のグローバル新ブランド“KOE”のアンバサダーとして、娘のSUMIREと親子共演も果たしている。

関連リンク

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・ Twitter
・ facebook

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